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【音楽サブスクって稼げるの?】 #2 サブスクの構造、売上は?


\ポッドキャストでもお楽しみ頂けます♪/


タメになる音楽情報を発信中のポッドキャスト「アーティストのミカタ」では、 全5回にわたる大型企画が進行中です!

今、アーティストが最も気になるポイントのひとつである

「サブスクって稼げるの?」

という疑問の答えに様々な観点から迫ります。

企画の第2回目となる今回は、

・サブスクサービスの構造や売上について
・世界と日本を比べるとその現状はどう違うのか

などについてお話ししました。

noteでは、ポッドキャストの内容を文字に起こしてお届けしていきます。

↓前回の記事はこちら↓


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【参加者プロフィール】

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沢井原兒(サワイ ゲンジ)

20代より多くのジャズバンドに参加。
アルバムのプロデュースは40枚を超える。
矢沢永吉/RCサクセション/鈴木雅之/加山雄三/今井美樹/米倉利紀/REBECCA/中村雅俊/上田正樹/シーナ&ロケッツ/吉川晃司/小林克也 他、Stage Support / Produceを行う。
インストラクターとしてはヤマハ、音楽学校メーザー・ハウスなどで40年以上。現在は株式会社MOP代表、IRMA役員。


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Mink(ミンク)

→Pia-no-jaC←コピーバンド大会で優勝を果たし、テレビ番組への出演経験も持つ注目のピアニスト。
多くのプロ輩出実績のある音楽専門学校「音楽学校メーザー・ハウス」出身。
ストリートピアノ動画をYouTubeにアップするなど精力的に活動中。

中野…ポッドキャスト番組「アーティストのミカタ」進行役。

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中野:番組では、前回から新企画がスタートしています。
これからの音楽活動の軸となる「音楽サブスクリプションサービス」というところにテーマを絞って、この機会に丸ごと理解しようという企画です。

そして、音楽活動をする上で1番気になる「サブスクは稼げるか?」ということについても言及していこうと思います。
ただ、「稼げるか、稼げないのか」ということに対しての答えは最初に知った上で、その理由などを深く理解したいところだと思いますので、まず冒頭で、「サブスクは稼げるか?」という疑問の答えについて、番組としての答えを沢井先生に出して頂こうと思います。


沢井:稼げます。


中野:はい、ありがとうございます!
そう断言していただけると、音楽活動をされている方はだいぶ安心かと思います。
今回は「では、どうしたら稼げるのか?」というところを日本や世界の現状を見ながらみんなで考えていこうとと思います。

前回は、

・サブスクはどんなサービスなのか
・どれくらい普及しているのか

という点について沢井先生にお話し頂きました。

今回はさらに深堀って、

・サービスの構造や売上
・世界と日本を比べるとどうなのか

など、そういった部分をお話し頂きたいです。

そして今回も前回に引き続き素敵なゲストの方にお越しいただいています。

ピアニストのminkさんです。よろしくお願いいたします。


Mink:よろしくお願いします!


中野:では沢井先生、早速サービスの構造や売上がどうなっているのかについてお話しいただいても良いでしょうか。


沢井:サブスクサービスの仕組みっていうのを簡単に説明すると、ストリーミングで8千万曲くらいを月額料金で全部聞くことができるというものだね。

Spotifyは広告モデルというのをやっていて、再生中に広告が入ることで無料で音楽を聴くことができる、というビジネスモデルのことなんだけど、Apple Musicは広告モデルはないんだよ。

だけどそういう無料で聴けるプランがないサービスでも、世界中の曲が月額980円くらいで聴けるわけだからね。
まして、例えば1200円くらいで利用できる家族割を使った場合、4人家族だとすると、ひとり300円くらいで聴くことができるわけで、かなり安い。

俺はレコード世代だけど、当時レコードは1枚2000円とか3000円とかしたからね。
自分のお小遣いでようやく買えるかなっていう感じだったから、ラジオを録音して聴くということもしていたよ。
MinkはCDとか買ってた?


Mink:そうですね、CDは買っていました。
小さい頃はやっぱりCDしか聴く手段がなかったので、買うか、レンタルしたCDをウォークマンに入れたりとかそういう感じで音楽は聴いていました。


沢井:そうだよね。だから今は、CDを買っていた時と比べると音楽にかける金額は極端に少なくなったと思わない?


Mink:そうですね、好きな時に好きな曲を、しかもそんな定額で聴けるなんて夢のようですよね。


沢井:そうそう。こんなに安く音楽を聞けるなんて大丈夫?って思うよね。


Mink:そうですね。良くもあり、悪くもありかなと思います。


沢井;そういった現状も含めて、ここからは音楽の売上について話していきたいんだけど、ちょっとMinkも一度考えて欲しいんだよね。

今までで1番日本の音楽コンテンツが売れていた年の音楽売上は6300億円だったんだけど、今は2700億円くらいになってる。
つまり半分以下なんだよ。

6300億って言うと、日本の人口を1億人だと考えた場合、1人あたり年間6300円音楽コンテンツに払っていたということなるけど、それが今は1人2700円くらいしか払っていないってことになるよね。
1年にCDを1枚買うか買わないかっていう金額なんだよ。

Mink:なるほど。


沢井:そういうふうにマクロ的に考えていくのがわかりやすい考え方。
そういう意味でいうと、音楽の聴き方を変えて、サブスクサービスに加入した場合、支払うお金を1ヶ月1人1000円だとすると、年間で12000円支払うことになるでしょ。

12000円って言うと、日本で1番音楽売上が良くて、1人6800円払っていた年に比べても、2倍近い金額を払っていることになるわけ。
ということは、日本の国民の半分くらいがサブスクの有料会員になったら、1番音楽売上が良かった年くらいの金額に戻るわけだよね。


Mink:はい。


沢井:そういう考え方をするのが良いかなと思う。

多分、そういうふうな状態にアメリカは今なりつつあるんだよ。
だから音楽の売上が1番良かった時の金額に近くなってるわけ。
それだけみんながサブスクの契約をしているから、売上が増えてる。


Mink:なるほど!


沢井:でも日本はCDが売れていて、そこに依存してきたビジネスモデルだから、レコード会社は、サブスクモデルっていうものにあまり慣れていない現状があるんだよね。

日本のレコード会社のビジネスモデルは、音源をCDにして売るっていうもので、それをずっと続けてきているから。


Mink:それで普及してないんですね 。


沢井:サブスクが普及したらその分CDが売れないからね。
でもニューヨークには、もう何年も前からレコード屋さんが1店舗も無いんだよ。


Mink:えー!そうなんですか!


沢井:そう。
あとイギリスのCD売上ランキングを見てみると、今流行している曲はランクインしていないんだよね。
なんでだかわかる?


Mink:みんなCDを聴かずにサブスクで聴くからっていうことですか?


沢井:ううん、サブスクで音楽を聴いているのは、ほとんど若い世代の人。
高齢者はサブスクの使い方がわからないからCDを買っている、という現状があるんだよね。
だから、CDのランキングがどうなるかっていうとオールディーズのランキングになっちゃうんだよ。

 

Mink:そんなに顕著にあらわれているんですね。


沢井:だから、そういう面から見ても音楽の聴き方自体が変わってきてるってことだよね。

今まではCDを買うか、テレビかラジオで音楽を聴くしか方法がなくて、「本当は気になっているアーティストの音源を聴きたいんだけど、買うまではいかないから聴けない」みたいなことがあったんだよね。

それがサブスクだと、ちょっと気になっているアーティストを検索すればすぐに曲が聴けるわけで、そういう意味で言うと今まで聴いてもらえなかったアーティストが聞かれるようになっているよね。


だからビッグアーティストのためだけのサブスクじゃないってことなんだよ。


Mink:なるほど。


沢井:それがサブスクの良いところ。

ただサブスクの収益の仕組みの話をすると、Apple Musicは1回再生されるごとに1円くらいでSpotifyが大体0.5円くらい。

それを聞くと、アーティストとしては「はぁ?」ってなるわけだよね、「それだったらCD買ってよ」って。


Mink:はい。そうですね。


沢井:そういう風に考えるか、1回聴いて「いいな」と思ってもらえた曲を繰り返し聴いてもらえるとプラスに考えるかがポイントなんだよ。


Mink:そうですね、聴けば聴くほど収益が増えるということですもんね。


沢井:世界的なアーティストで言うとエド・シーランの「Shape of You」なんて20億回再生だからね。


Mink:えげつないですよね!


沢井:ずいぶん前の曲なのに未だに聴かれてるってことなんだよね。
20億回再生されていれば、1再生1円だとしても20億円入ってきてることになるわけ。

他の曲だっていっぱいあるし、曲提供もしてるからね。
ものすごい稼ぎだと思うよ。


Mink:そうですよね。1回0.5円だとしても10億入ってきてるってことですもんね。夢、ありますね!


沢井:夢あるでしょ!(笑)


Mink:ありすぎますね(笑)


沢井:そう言う意味で言うと、サブスクがアーティストにとってあまり良いサービスじゃないと考えるのは軽率かなと思います。
もっとうまく利用すればいいんじゃないかなと。


Mink:そうですね。


沢井:うん。収益の配分の仕方も、違う方式に変えようって話になっているんだよ。

それから、サブスクで音楽を再生する仕組みの話をすると、大体サブスクで聴ける曲って、どこかのサーバーに楽曲が置いてあるわけなんだよね。
それをストリーミング再生して聴いているわけだけど、大勢が同じ曲を聴こうとしてそのサーバーに集中してアクセスしたらダウンしちゃうと思わない?

でも実際サブスクで音楽を聴いていてもダウンすることはないよね。


MIink:しないです。


沢井:それに加えて、Spotifyはサービスの中で0.8秒以内に曲が立ち上がるっていうサービスを提供しているらしいんだよね。
でもサーバーをうろちょろして楽曲を探していたらもっと時間がかかるわけだよ。

Mink:そうですね。


沢井:そういうことを回避するために、サブスクサービスでは今説明した仕組みじゃない再生方法を採用しているんだよ。

それはちょっと難しいんだけど「Peer to Peer」っていう方法で、例えば俺がエド・シーランの曲を聴いたとして、Minkがまた同じエド・シーランの曲を聴くとするでしょ。
そうすると、Minkが聴いたエド・シーランの曲っていうのは、俺のコンピューターに残ってるキャッシュから聴いてるかもしれないんだよね。


Mink:なるほど!


沢井:そういう再生の仕組みを採用しているんだよ。

Mink:へー!


沢井:だから世界中のコンピューターがサーバーになっているということなんだよ。


Mink:面白いですね。


沢井:そういうのが、「Peer to Peer」っていう仕組みなわけ。
それを開発したのがNapsterなんだよ。


Mink:そこにたどり着くんですね!


沢井:そうなんだよ!そういったところで大体時間がきましたね。


中:はい、ありがとうございます!
今回は、サブスクのサービスの仕組みというところを中心にお話し頂きました。

やっぱり圧倒的にCDショップに行かなくなったなという実感はあるんですけど、冷静に考えたらサブスクの利用料金として980円を月額で払っているわけで、1月に1枚くらいシングルCD買ってる計算になりますよね。
そう思うと、個人的にもCDを買っていた時より音楽にかけているお金は増えていて、考え方ひとつで「サブスクは稼げるのか」という答えも変わってくるのかと気付かされる大変面白い回でした。

次回はさらに詳しく解説していただいて、「サブスクは稼げるのか?」という部分の答えに近づいていこうと思います!

今日はありがとうございました。


沢井・Mink:ありがとうございました。


〜今回のポイント〜


・今の日本の音楽売上は、全盛期に比べて約半分になっている

・国民の約半分が音楽サブスクリプションサービスの有料会員になれば、日本の音楽売上は全盛期と同じくらいに戻る

・日本はCDで音楽を流通させるビジネスモデルが根付いているため、サブスクの普及が遅れている

・サブスクの普及に伴い、ニューヨークにはCDショップが1店舗もない

・現在、イギリスではCD購入者の大半を高齢者が占めているため、CDランキングには流行している曲がランクインしない

・サブスクが普及すれば、今まで聴かれてこなかったアーティストが聴いてもらえるようになる

・現状のサブスク収益を1再生単位で考えると安く思えるが、「リリースから時間が経った曲でも繰り返し聴いてもらうことができる」と考えると見方が変わってくる

・サブスク再生では「Peer to Peer」という コンピューター同士でデータを交信するシステムを採用している

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