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ダイバーシティの非礼、を考える〜③Comply or Explainを逃げ道にすることなかれ

先日とある会に参加しました。上場企業を含めた企業経営者か企業幹部が集まる会でした。そこでこんな話が出たのです。

「社外取締役の女性の割合どうしてる?」

「ああ、30%ね。」(平成22年12月に閣議決定された、内閣府・男女共同推進連携会議における決定事項。“社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする目標”のこと)

「無理でしょう?それ達成するの。」

「無理無理」

「女性の社外取締役を頼もうと思っても、リストは同じ人ばかりだし。」

「そうそう。だからって、何もしないわけにはいかないし。」

「うん。で決めたんだよ。うちはExplainすることに。」

求められる基準に対してComply(従う)するか、さもなくばExplain(説明)せよ、という考え方がSDGsで広く期待される行動にはあります。これまでの慣習や制度は、どれだけ間違っているとしても、一足飛びに変化することは難しい。その調整には時間がかかるのは当然で、それが、Explainの時間だと理解もできます。

でも、上記の会話を聞いていて、思ったのは、30%目標が遠く遠くなっている事実です。とりあえず、説明がつけばいいよね、という逃げ道ができてしまうことで、なぜ、女性の管理職が30%!という目標を掲げたのか、忘れてしまっているように思うのです。女性の目線を取り入れることによる経営力の強化、は女性参画の一つのメリットです。そのために数を増やす必要があったはずでした。

私自身、女性を押し出すほど、ウーマンリブの発想はあまりないのですが、でも、日本のように長い間、男社会で来た現実に鑑みると、無理な目標でも数字目標を掲げておかなければ、すぐ棚ざらしになってしまう懸念は持っています。小さな一歩でも真剣に取り組むことを忘れてはならない、という危惧を一人でも多くの経営者が“腑に落とし”、女性の管理職を増やす意義を忘れずにいてもらえれば、と願って止みません(完)。

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