対ロ接近は日本の国益に適う

私は、想像力の無いフランス人と思われたくないので付言しますと、日露戦争という西洋諸国と初めて戦った戦争で、勝利しつつも、日本が経済的にも精神的にも多大な犠牲を払ったことは承知してます。
又、第二次世界大戦末期に、中立条約を結んでいたはずのソ連が突如参戦し、北方領土が奪われたことも承知しています。両国は、そうした複雑な歴史を抱えています。しかし、「歴史」や「価値観」や「感情」に囚われすぎると、「地政学的真実」は見えてきません。資源エネルギーの面でも、安全保障の面でも、日ロの接近が合理的であるのは明らかです。
安倍首相の対ロ外交は理に適っています。
日本の地勢学的環境を考えた時に皮肉なのは、欧米によるロシア排除が、ロシアを中国ンとの連携追いやっていることです。ロシアに対する資金協力の見返りに、中国はロシアから高度な軍事テクノロジーの提供を受けています。南シナ海での中国の軍事的拡張もロシアの援助があって初めて可能なのです。
エマニュエル・トッド「老人支配国家日本の危機」文春新書刊より