231.「小我」と「大我」と自利利他円満 我々の意識②(無我と自我の視点)
著・三松會 占心行動学塾長 脇田尚揮 ■LINE公式アカウント■
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先に説明した自分の意識“自我”の中には、「小我」と「大我」というものがあります。小我とは自分の中のエゴであり、自分の利益を重視するという自己中心的で打算的な考え方のことを指します。そして、大我は見返りを期待しない相手のための利益を指し、自我という枠を超えた人々の幸せを願う無償の愛を意味しています。
ここにはどのような違いがあるかというと、自分だけに向けられる愛情か相手に向けられる愛情かという視点、見返りを求めた打算的な性質か見返りを求めない無償の性質かという視点だと言えます。
人はどうしても自分に意識が向けられがちで、小我に終始してしまう傾向があります。しかし、自利利他円満(まず相手に利得を与えることで自分も利得が得られ円満でいられる)の姿勢を意識すれば、環境や社会という大きな力を借りることができるようになります。
そのときの心の在り様を考えると、きっと自我が抜け落ちて相手のことに集中しているはずです。相手を思いながら自分を思うというのは、イメージはできるものの実際的には感情の方向性としては難しいはずです。例えば、事故に遭いそうな子供を目の前にしたとき、自分の身の安全よりも相手を守ることを意識すると考えると分かりやすいかもしれません。
つまりその時の心の在り様は、仏教で言う「無我(現象としては存在するものの意識の本質はない)」という境地なのではないでしょうか。人は自利ではなく利他を思う時、自分へのこだわりや執着(我執)が取れて無我になると言えます。
そして無我の状態は「真我」への入り口になると考えられます。この真我とは心の一番奥底、深いところにある「真の自分の心」です。真我は悟りの境地であり、潜在世界の集合意識であり、大宇宙の大いなる意思であり神霊とも表現されるものです。
この真我へ至るには精神修養を積み重ねて無我になる精進をするか、謙虚(小欲知足)の精神で欲を抑えて悟るかという方向性もあるのですが、自我を律するという面で個のエネルギーを動かすことはできるものの、大我のうねりを生み出すことは難しいと言えます。
しかし、利他を意識すればそのまま大我のエネルギーを無我→真我へと流し、真我さえも動かす大きな力(回天力)を生み出すことができると言えます。
誰かのための行動は、実は相手のためだけでなく自分も含めて大きな力を生み出すのです。
Q.利他により自利になった経験はありますか。そこから環境が変わった事例を知っていますか?