短編小説「幸福な家庭」
私は今、夫と息子の3人で暮らしている。
夫は有名企業の専務でイケメンそれでいてイクメン。息子は名門校の中学生で勉強も自分から進んでするし、成績もよく将来有望。50人いる野球部でレギュラーだ。そんな3人が住むのは都内の豪邸。
絵にかいたような完璧な家庭、何不自由なく過ごす私たちをみんなうらやましく思っている。
「あら、川田さん今日はすきやき?」
川田は私の上の名前だ。
「あ、お隣の。そうなんです。」
「稼げる旦那でいいわねぇ。でも、三人分にしては食材が少なくない?」
隣に住む息