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蛾の神秘

蛾が好きです。
というか、蝶と蛾に明確な違いはないらしく、どちらも同じ仲間らしいです。

セセリチョウなどは蛾扱いされやすく、何度か、セセリチョウを見て私が蝶だと言ったら、人から「どう見ても蛾でしょ」と言われた覚えがあります。
そんなことないもん、図鑑で見たもん……などと思いましたが、まぁ、蝶か蛾かなんてのは人間のこだわりであってどうでもいいことです。

今日は、そんな蛾に関する思い出話を二つ。
この間の記事の続きのような話でもあります。私が「虫に心がある」と信じるに至った出来事です。


一つ目。中学生の頃だったと思います。ある日の帰り道、私は道路で、羽化不全(サナギから出てくるときに羽がうまく伸びず、羽がぐちゃぐちゃになってしまった虫)のオオスカシバを見つけました。そして、「このままだと車に轢かれそう」と思い、どうしたら良いか分からないけど持って帰りました。
家にあった昆虫ゼリーをあげてみると、オオスカシバは昆虫ゼリーの表面を吸いましたが、ゼリーを食べられる口ではないので、しばらくすると何かを探すように歩き出しました。そこで私は、「やっぱり自然に帰そう」とオオスカシバを庭に逃がしました。

今考えると無責任な行為だと思います。虫好きさんならもっとちゃんと調べて、最期まで保護できたはずです。道路から庭に移動させたって、車に轢かれなくなるだけで、捕食者はいっぱいいるだろうし、危険から守ったわけでもありません。オオスカシバは花の蜜を吸えなくて餓死するかもしれません。しかし自分としてはそれが精一杯でした。

しばらくして。あれで良かったんだろうか……と、庭に出てみると、オオスカシバの姿は消えていました。羽は落ちていませんでしたが、鳥にでも捕食されたか、歩いていったか……。
するとその時、庭にオオスカシバが飛んできたのです。

ビックリしました。今まで庭でオオスカシバを見たことは一度もありません。突然やってきたオオスカシバは、私の頭の上をグルグル回った後、どこかに飛んでいきました。まるで至らない私を許し、「助けようとしてくれてありがとう。ゼリーをくれてありがとうね」と言ったかのように。

羽化不全の虫の羽が伸びることはもうないと思います。しかしそのとき私はオオスカシバが助かったように感じ、オオスカシバの優しさと気遣いをもらったのでした。

二つ目。ある夜の帰り道、何かを感じてふっと振り返ると、側溝のフタ(グレーチング)に蛾が挟まっているのを見つけました。その子をフタから引っこ抜いてみると、それはヤママユガらしき大きな蛾(両翅の右から左まで10cmくらいあったような)でした。
蛾は力強くひしっと手にしがみついてきます。そのときは急ぎ気味だったのであんまり交流できず、道の脇の木に蛾を逃がして帰ったのですが、心に残る出来事でした。

私はなんであのとき振り返ったのだろう。しかもピンポイントで下を見て、側溝のフタにハマった蛾を見つけたのだろう……。
きっと蛾が「助けて!」って声をかけてきたのだと思います。困ったときはお互い様、ですよね。


虫にはご先祖様の霊が宿るとか、神秘的なイメージがありますよね。虫に心があることを信じれば、理屈を越えて、不思議体験ができるかもしれません。

蛾は可愛らしい生き物です。おとなしくて撮りやすいところもありがたいです。蛾だけでなく、チョコレート色で羽に目玉模様があるような蝶も好きです。思い込みを捨てて、色んな美しさに気づけるようになりたいです。


ではこれで終わります。お読みいただき、ありがとうございました。


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