高知でフードファイターしてきた話

女2人の高知の旅。
鰹が大好きな我らにとって、この上ない幸せの旅である。

「鰹が美味しそうな居酒屋見つけた」

友人から送られてきたURLを開くと、評価が高いお店で美味しそうな写真がいっぱいだった。人気店なのか、1週間前でも予約が埋まっているのだとか。
事前情報を得たので、1ヶ月前から予約をしておこうと電話をかけてみる。
電話口の男性は、優しそうな感じの方。お店のルールなのか、「メニューは無いです。おまかせで出しますんで。お腹空かせて来てくださいね」
……思えば、この注意を軽視しなければ良かったと後悔している。

旅行当日。
店の近くまで来ると、そこは路地裏。
隠れ家の様な佇まいで、入るのに緊張した。

入店するとすぐカウンター席、調理場が目の前にある店内だった。

「予約した●●です」

「えっ?」

「予約した●●です」

「えっ?ちょっと小さくて聞こえない」

というやりとりを続け、店主からの洗礼を受ける。(単純に私の声が小さかった。ごめんなさい)


私は瓶ビール、友人は日本酒を注文。
乾杯して他愛のない話をしながら料理を待つ。
出てきたのは、魚の卵?のお通し。優しい味で美味しい。

次に出てきたのは刺身。ブリ、鯛、鯵、ほたて、イカ、ネギトロ……一切れが半端なく大きい。


新鮮で生臭さも無く、肉厚で美味しかった。ブリには、高知の名物なのかニンニクと葉っぱをすりおろした緑のタレ?がかかっている。
がっつりにんにくなので、女2人で良かったと思った。


「次は鰹だよ」

店主の一言に、我々は歓喜した。
待ってました!と言わんばかりに、キャッキャッと喜び合っていたが、食べ終わったら次の料理が出てくるシステムなので、目の前の刺身を平らげなければならないと躍起になる。

携帯で刺身の写真を撮っていると、
「携帯見てる暇なんてないぞ」と店主からの一言。
ここから戦いが始まった。ゴングが鳴り響く。

刺身をペロッと平らげ、空になった皿をカウンター越しに店主に渡す。この時、友人の胃袋は既に限界を迎えていたそう。(後から知った)

ついに、楽しみにしていた鰹が出てきた。

最高!!!!!!!!!!
分厚くて短編集の文庫本レベルだった。
味付けは粗塩のためか、肉厚なのにさっぱりしてて何個でもいける。

しかし、我々の胃袋は腹八分目をとっくに越えていた。

「ブリ大根と伊勢海老どっちがいい?」
と店主から聞かれ、ブリ大根を選択。(伊勢海老じゃなかったかも)


!!!?!?
豪華すぎる。大根に味が染みていてホクホク。ブリも、ほろほろ柔らかくて美味しかった。

だが、腹がはち切れるくらいまで限界がすぐそこに来ている。

「食べ終わったら言ってね、次はウツボの唐揚げ」

店主…… こまめに声をかけてくれるが、我々に試練を与えているのか!?
こいつらどこまで俺についてこれるかな?ククク……という感じ。
隣のお客さんも頑張って食べている。

「焦らなくていいよ」

店主の飴と鞭の使い方がすごい。


ウツボの唐揚げ、初めて食べたけど美味しい!!
外はカリカリ、中身はプリっとしていて、ほんのりにんにく風味を感じる。

しかし、この時私は限界を迎え、胃から何かが込み上げてくる感じがした。

友人の方をチラッと見て、「お腹いっぱいだよね」と小声で話す。


「次はお寿司だけど、何貫いける?」


!?!?!?!?!?!?


「あっ……もうお腹いっぱいなんです涙」


ここで、我々の負けが確定した。
店主は、あーそうかいそうかいという感じで、他のお客さんの寿司を握っていた。
寿司までたどり着けた猛者(他のお客さん)は、一人で8貫頼んでいた。すごい……

「19時までの席だけど、皆絶対最後まで残らないんだよねぇ」
と店主が呟く。

皆ギブアップしていったんだろうな……南無🙏と思った。

店主の奥さん?らしきおばちゃんが、「お腹いっぱいよね?無理しないでね」と優しい一言をかけてくれる。

お会計の時も、お釣りを2人で割れる様にと100円玉を多めに持ってきてくれた。なんなら100円多くおまけに渡してくれた優しいおばちゃん。

それを見た店主は俯いて笑っている。
スパルタかと思いきや、ツンデレなだけかい!

店主との戦いだと思っていたが、ただお客さんにたくさん食べて欲しいという気持ちで出してくれてるのだと感じた。
おばあちゃんちに行ったら、「これも食べな」とたくさん食べさせてくる感じのやつ。(?)

とにかく料理が美味しくて、ツンデレ店主と女神のおばちゃん、とっても素敵だった。

高知に来たら、行ってみて欲しい!

(この後、我々はホテルに帰り、すぐ横になった)





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