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最近読んだ本

最近また本を読み始めた。
本を読んだり読まなかったり、時期によって変わるのはなぜだろう。
読書をするようになって約10年になるが、自分でもわからない。
ただ最近は無性に読書がしたくてしょうがない。しかもジャンルはだいぶニッチな大人な恋愛小説。大人な恋愛というと不倫や浮気、身体だけの関係などを想像すると思うが、小説になるとそんな簡単な話では済まなくなる。
相手には知ることもない心の葛藤や心情、心境の変化など、小説だからこそ描くことができるすれ違いの部分に深く共感というより学びがある。
大人の恋愛小説を読みたくなるのも、私自身が最近浮気されて彼女と別れ、彼女の気持ちを知ろうとしているんではないだろうかと考えたが決して未練があるわけではない。ただ、その時の気持ちを知りたいのかもと思った。
そこで見つけたのが今回紹介する二冊。

尾形真理子 / 隣人の愛を知れ

大切な人がいる方におすすめ。自分で選んだ人生を歩んでいるものの、どこか淋しさを抱えた6人が新たな人生を踏み出すまでの軌跡を描いた作品。相手のことが大切であればあるほど素直になれず、向き合えないことがあると思う。そういう自分を好きになれなかったり、そのせいで相手を傷つけてしまったりと恋愛はこんなにも人を脆くするものだと気付かされると同時に、一歩踏み出せば人を成長させるものだと教えてくれる一冊。

島本理生 / あなたの愛人の名前は

大人の恋愛を描いた全6編。同じ部屋で同じ時を過ごし、何度体を重ねてもお互いの深くまでを知ろうとはしない。その瞬間だけ分かち合えればそれでいい。
男女双方の視点から描かれるこの物語は、もどかしくも艶かしいものもあれば、淋しくて満ち足りないものもあって、人は足りない何かを埋めるように恋をするのかなと感じた。でもそれはきっと側から見たら幸せに見えるけど、お互いの心はそこまで満ちていない。満ちていたとしても、体を重ねているときだけ。
人間の弱さや切実さが繊細に描かれた作品だった。

この2作品を読んで、浮気や不倫に関して理解はできないし、しようとも思わない。ただ、恋愛において好きという感情だけで片付けられない何かがあるような気がした。淋しさや弱さ、幸せな状況なのに何か足りない、深みに入ってしまうことをわかりながらも引き返すことができない、その気持ちをさらに知りたいと思った。なぜなら自分にはそういう経験ないから。
さらに恋人との関係性だけでなく、家族や社会でのさまざまな形の暴力(相手に対する決めつけ、言葉での切り捨てなど)が入り混じるのも社会構造的に現実味を帯びて共感できた。

しかし最終的に読み終えると、なんだか心が軽くなる。前を向きたくなる。
たとえ選択に後悔があったとしても、一歩踏み出す勇気をくれる2作品。

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