UFOをみたときのはなし

UFOをみたときのはなし

小学校高学年のとき、私は野外活動クラブに入っていた。その名の通り、川に行ったり山に行ったりするのだが、その回は「落ち葉で焼き芋を焼こう」というものだった。

当時も今も日付感覚の曖昧な私は、前日になってようやく明日焼く芋が無いと焦りだしたのだが、ちょうど暇をしていた姉が芋を買いに車を出してくれることになった。田舎は車移動がデフォルトだ。ついこの間の帰省も姉がイヤイヤながら迎えに来たわけだが。

八百屋まで車で数分。さつまいもを2本買った。珍しいことに姉が出してくれた。無事、芋を買うことのできた私たちは自宅に戻るため橋の手前で信号待ちをしていた。すると姉が、「おい福美、なんだ、あれ」とフロントガラスを指差した。

するとそこには、ふよふよと浮遊する謎の物体がそらに浮いていた。物体の色のかすれ具合から、それなりに大きいものがそれなりに離れたところに浮いているということは、小学生でも瞬時に理解できた。

すると姉が、「なんかあれ、上に上がってないか?」と気づいた。確かに、ゆっくりと上昇している。想像していたものとは異なるが、UFOだと私は少し興奮した。

こんな時に限ってガラケーを置いてきてしまったようで、写真が撮れなかった姉はチクショーと小さく叫んでいた。やはり私の姉だ。

物体がフロントガラスから見えなくなるくらい昇ったとき、ようやく信号も青に変わった。まだピーチクパーチク騒ぐ私に姉は、うるさい降ろすぞといつもの通りドスをきかせ、そうこうしている間に帰宅した。当時はそこまで姉と仲良くもなかったし、私のコミュニケーション能力が低すぎて会話もあまりできなかったのだ。

そんな話を、成長してから姉に覚えているか尋ねると、不思議なことがわかった。

姉と私で、覚えているUFOの形が違うのだ。

UFOを見たことは2人とも覚えているのだが、姉は丸くて紫色みたいな物体だという。私は銀色で縦に長い形をしていたと記憶にある。

姉の記憶のUFOはその時買ったさつまいもではないか?と指摘しようとしたが、拳が飛んでくるのを恐れやめておいた。
今も謎が残る謎の現象のお話。

ちょうど今くらいの季節だったろうか。スーパーの入口で焼き芋が甘い匂いを漂わせているのを見て、思い出した。

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