トルコに行くと決めた

こないだ会った友達との話でつい「来年はトルコに行く!」と宣言してしまったのだから、もう行くしかない。そうやって、周りに宣言して自分を駆り立てていくスタイルをわりと気に入っている。

トルコに初めて行ったのは、遡ること約10年前。大学4年生のとき。

大学受験のための世界史の講義で「トルコは東洋と西洋の混ざり合うところ」というキャッチフレーズに惹かれ、実際に見てみたいと思った。就活も授業も落ち着いた11月に、友達とツアー旅行に参加した。


本当に、素晴らしい旅だった。

大規模なモスクは、イスラム教徒でなくても入ることができた。壁や天井に隙間なく施された装飾に信仰への情熱をひしひしと感じ、心打たれた。すべて手書きだと言うから、もう本当に気の遠くなる作業だろう。

料理は日本人の口に合う、優しい味が多かった。トルコは食料自給率が100パーセントで、野菜魚パンフルーツ何でもおいしい!特に感動したのは、サバサンドと野菜のスープ。サバサンドはしっかり詰まっていて硬すぎないフランスパンに、脂の乗ったちょうどよい塩気の焼きサバがはさまっている。野菜のスープはどのホテルでも朝食に出されたが少しずつ味が違って、どれも薄味だけど野菜が溶け込んでいて、寒い季節にホッとする味だった。

愛想のいい野良猫が多く、街の人も猫としばし戯れて楽しんでいた。博物館の中にまで入ってきていた奴もいて驚いた。(警備の人に追い払われていたけどまたすぐに入ってこようとして、その追いかけっこも微笑ましかった)トルコの人々は地域猫を大切にしていた。

トルコの人々はとてもフレンドリーで、日本人を快く受け入れてくれた。目的地を探していると、たいてい「どこに行くの?」と声をかけてくれる。日本語ができる人も、案外多い。「マズいと評判の日本料理屋を探してます」と伝えたら「性格悪いね!!」と流ちょうな日本語で言われたのも良い思い出だ。


10年経っても、鮮明に思い出せる。私はたった一回で、トルコに魅了されてしまった。

それからテロや難民流入により治安が悪くなってしまったことや、自分自身も仕事で長期休みを取りにくい状況になり、すっかりトルコに行くことをあきらめていた。

でもやっぱり、また行きたい。その気持ちを捨てることができないので、友達に言いふらして、自分にプレッシャーをかけて実現することにした。

別に行かなかったからって友達が何か言ってくるわけではないけれど、そうやって言葉にして少しトルコに近づけた気がするのが、とても嬉しかった。


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