共同親権とは③ 2024.9.6(281)

法制化に向けた本格的な議論は2021年の法制審議会家族法制部会から始まりました。議論においては共同親権の導入に反対の声も多く、多くの問題点が指摘されましたが、導入する方向での要綱案がまとめられ、国会に提出される事になりました。

共同親権のメリット・デメリットはどのようなものでしょうか。

1つめのメリットは、離婚時の親権争いを回避することができるという点でしょう。離婚後も共同親権を選択できるようになる事によって、離婚時に親権を巡り父母間で争いになる事を避けることができると考えられています。

現在の単独親権制のもとでは、離婚の際、父母の一方が必ず親権を失う事になりますから、双方とも親権を失いたくない(自分が親権を得たい)と思って激しい争いに発展することも少なくありません。

親権が決まらないと離婚をする事はできませんから、離婚の合意ができている場合でも、親権に争いがあるために裁判手続きを行う必要が生じ、離婚成立までに年単位で時間を要するというケースもあります。

また、裁判所は、どちらが主として子どもの面倒をみているかという点を重視する傾向にあるため、監護実績を作ろうとして子どもを相手のもとから勝手に連れ去るという事態に発展するケースもあります。

このような親権を巡る争いは、子どもの生活や精神状態の不安定に繋がる問題でもあります。

 2つめのメリットは、別居親も積極的に子育てに関わるようになるという点でしょう。

離婚後も共同親権となる事で、離婚後に子どもと離れて暮らす親(=別居親)も積極的に子育てに関わるようになる事が期待されており、それが子どもの利益にもつながると考えられています。

現在の離婚後の単独親権のもとでも、子の監護に関する事項は父母の協議によって定めるものとされており、親権者とならない方の親が監護に関わる事が否定されているわけではありません。しかし、単独親権制のもとでは、別居親は離婚後に子育てに関わりづらくなる傾向があるというのが実情です。

それが共同親権となった場合は、別居親も同居親と同じように責任を持つということが明確になるため、別居親も積極的に子育てに関わることができるようになると考えられています。

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