好きの感情でアイドルを苦しめてきたのかもしれないファンの反省文

アイナナにハマって10ヶ月が過ぎようとしている。時の流れは早いものだ。アイナナのシナリオに魅せられて、ずっとずっと書こうと思っていた反省文を、今、ようやく形にしようと思う。

名言の多いアイナナの中でもとりわけ取り上げられることの多い「アイドルを苦しめるのはいつだって好きの感情なんだよ」という言葉。勢いづいてきたアイドルグループ・IDOLiSH7のマネージャーに対して、先輩トップアイドルデュオ・Re:valeの百がかけるアドバイスだ。人気が出てメディア露出が増えたら、その分アンチも増えますものね(意訳)というマネージャーの心配に対して、そうじゃない、という文脈で出てくる言葉だ。

このテキストを目にした瞬間、私はこのコンテンツに全幅の信頼を置くことに決めた。思い当たることがあまりにも多すぎたからだ。

私は約10年、国民的男性アイドルグループのファンをしている。楽しいことのほうが圧倒的に多かったけれど、そうではない思いも少なからずした。

例えば、昔、彼らがメインの深夜番組があった。メンバーが企画に挑戦する、まさに「君と愛なNight!」のような番組だった。
独特のゆるさがあり、メンバーの素を垣間見れる場面も他の番組より多くて、ファンの間でとても人気が高かった。

しかし、彼らの人気が高まっていく最中、この番組の終了とゴールデン冠番組開始のニュースが同時にもたらされた。傍目から見れば、深夜帯からゴールデン帯への進出=栄転だ。けれど、ファンからは反発の声が多かった。

「ゴールデンに進出したら、ゆるい感じだからこそ出せてた魅力が出せなくなっちゃう!」
「人気が認められたのは嬉しいけど、これからも今までのスタッフたちと一緒に頑張ってほしい」

マイルドに書いたけれど、実際はもっとすごい批判がTwitterにたくさんあった。深夜番組側の問い合わせ窓口のリンクが拡散され、「終わらないでって投書してきました!」というツイートがたくさんあったのをおぼろげに覚えている。

かくいう私も意見を送った。
「決まってしまったことは仕方ない。けれど、何が彼らの魅力だったのかをしっかりと理解した上で後続番組を作ってもらいたいです」のような内容だったと思う。
きっと事情があるんだ、仕方ない。彼らのギャラが上がって、深夜番組の制作費では払えなくなってしまったんだろう。事務所やテレビ局に期待されているからこそ大役を任されたんだろう。

じゃあ、その変化も応援してあげないと、ファンじゃない。

そう思い込んで、高校生(当時)なりに、物分かりのいいファンを演じた。10年近く前の話だ。

実際、鳴り物入りで始まった冠番組は恐ろしくつまらなかった。
番組のコンセプトと彼らの技量が噛み合っていなかったこと、ゲストが豪華になったことでMC側の彼らが萎縮してしまったことなど、理由はいくつでも思いつく。

ファンも落胆していた。「深夜番組に戻してよ!」と声高に主張するファンがたくさんいた。私も何度か「前の方が良かったな」と呟いたと思う。だって、昔の彼らが好きだったから。

もしそれらのツイートを彼らが目にしたら、きっと悲しんだと思う。私たちの「好き」の感情に苦しめられたと思う。

歌番組にも思い当たる節がある。
視聴率の取れるグループだから、歌番組にはしょっちゅう呼ばれる。でも、歌う曲はファン受けのいい曲ではなく、一般向けのヒットソングだ。
「またこの曲?」「飽きたよ」「たまには違う曲やって」
と、実はしょっちゅう、SNSで批判の渦が巻き起こっていたりする。私もたまに思う。
でも、一見強い批判に見えるその言葉も、紐解けば「一般受けのする曲じゃなくて、ファンが好きなパフォーマンスをしてよ」という「好きの感情」なのだ。

そんなわけで、百から「アイドルを苦しめるのは、いつだって好きの感情」と聞いたとき、今まで私の抱えていたモヤモヤがすとんと腑に落ちた。

ああ、私が彼らを推していて「楽しくない」と感じていたあの瞬間たちは、「私の好きと彼らの変化が一致していない時期」だっただけなんだ、と、すーっと理解できた。アイナナというコンテンツに「分かるよ、こういうことだろ」と肩を組まれた感覚すら覚えた。ドルオタの担降りブログやお気持ち表明のはてブロを読み込んで研究して作られた最高のアンサーだと思う。真理。

なるほどな、私の好きは彼らを苦しめ得るのだな、と自覚して反省した。ものすごく。

ただ、反省したからといって、そういう発言をすべきでないとは言えない。と、私は思ってしまう。

だって嫌だもん!好きなものが形を変えてしまったらそりゃ悲しいよ!悲しい、嫌だって思うのは仕方ないし、発散するのだって自由だよ!したくもなるよ!
正直、三月の悪口言ったお姉さんだって、文字に残らないSNSで発言するんじゃなくてリアルの会話で発散しただけなの偉いと思うよ!そりゃあ三月の悲しむ顔は見たくないけど、あれは本当に巡り合わせだから……。だからこそ、タレント自身も仲間で支え合いメンタルを切り替えて成長しよう!という話に帰結しているわけだし。

一番ダメなのは、思い通りにならないからといって、本人や事務所に「意見」の域を超えた嫌がらせをすること。一人のファンの意見で簡単に事務所の方針は変わらない。事務所もタレントも事情を抱えて頑張っている。

思い通りにならなくて腹が立つなら、いったん距離を取るべき。自分の好きとタレントの向かう方向に差がありすぎるなら、楽しむべきはずのエンタメが苦痛の時間になってしまうから。好きの感情だったはずのものが、誰の目から見ても醜く映るものになってしまうから。

このきっかけを機にしっかり反省して、これから好きになるエンタメに向き合っていきたいと思った。そんな気持ちにさせてくれたアイナナが、私は大好きです。



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