もらう指輪を決めている女性が苦手
今回の日刊かきあつめテーマである「#指輪」と聞いて思い出した。独身ばかりが集まるの飲み会である女性が言っていた話だ。独り身の人たちが集まれば、自然と結婚の話にもなる。その時に結婚指輪の話題になった。
「私、欲しい結婚指輪が決めてあるの」
彼女はなぜその結婚指輪が欲しいのか、エピソードを語ってくれた。このままそのエピソードを書きたいのだが、いかんせん覚えていない。
まったく興味がない、というか、その話を聞きながら別のことを考え始めていたからだ。
(理想があるのは素敵なことだけど、そこまで具体的に決めていることがあるのなら、式や生活についても理想が強そう・・・)
理想があることは素敵なことだけど、それを話して共感してくれて、実現してくれる男がどれだけいるのだろうか。もはや男でなくても、人類探しても理想を一緒に叶えてくれる人なんて滅多にいないだろう。
しかし反面、羨ましくもある。そこまで具体的な理想を持って、大っぴらに話せる勇気。今はこうして独り身だらけの飲み会にいるが、そのうちきっと結婚するに違いない。
彼女に対して「そんな考えだから君は独りなんだ」という声も聞こえてきそうだが、やっぱりそもそも「自分の理想」がないことには、いかに周りから言い寄られても、たとえ指輪が手元にあっても、渡す相手を選ぶことは出来ないんじゃないか。
そんな気弱な男が主人公で、周りの美女に翻弄されるコメディ映画が『指輪をはめたい』だ。
製薬会社の営業マンで気弱な男・輝彦はある日、頭を打って記憶をなくしてしまう。目を覚ました輝彦のカバンの中に婚約指輪を見つけるが、誰に渡そうとしていたのか思い出せない。いずれ女性の方からやってくるだろうと思っていたら、彼女らしき3人の女性が現れてしまう・・・。
気弱な輝彦を演じるのは山田孝之。彼は本当に何でもできる役者だけど、ボケもせずに腑抜けた役をやるなんてこの映画くらいではなかろうか。そして彼女らしき3人の女性は、小西真奈美、真木よう子、池脇千鶴と、全員魅力的にすぎる。
自分だったら選べないな~と思っていると、案の定、輝彦も選べない。3人ともそれぞれ違った魅力があるから。しかし女性たちは輝彦のいつもと違う様子に「これはいよいよプロポーズあるの・・・かな?」と思っているのがまた面白い。
そして最後は・・・と、話したいところだけど、ここまで。物語の結末は意外なところで、もはや笑えない、と思えたりするので気になった方は見て欲しい。
結局のところ、周囲にどんな素敵な人がいようと、自分の中で判断する軸がなければ決められない。素敵だなあ、って見ているだけで。指輪をはめたいなら決めないと。決まらないのは「決めることから逃げてるだけ」だったりする。
でももしこの映画の女性たちが、「もらう指輪を決めている女性」だったら、輝彦はあっさり選べていたかもしれないと思うと、ちょっと笑える。
文章:真央
編集:鈴木乃彩子
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