祖母日記:20200211

おばあちゃんの家に二週間ぶりに泊まって起きたら、すでにおばあちゃんが起き出していて、洗濯物を回していた。

しばらく見ない間に、ひとりで生活のあれこれを少しずつできるほど回復していたことに驚き、また安心しながら、布団でおばあちゃんの作業する音をしばらく聞いていた。

支度を全て終えて、おばあちゃんの髪を切りに行った。
初めておばあちゃんに行きつけの美容院があることを知ったので、その美容院までの道を案内してもらいながら向かった。
都会の商業ビルの中にあるようなファストファッションのような美容院しか行ったことがないので、町にずっと昔から細く長く存在しているような美容院に入るのは少し緊張した。

髪を切ってくれた美容師さんはおばあちゃんと歳がほとんど変わらない方で、足元を少しふらつかせながら店奥から出てきたので、大丈夫かなぁと不安になりながらカットをお願いした。とはいえそんなのは杞憂で、髪を触るときは職人の手つきだった。働く人の強さと美しさを目の当たりにした。

歳が近い人とまともに話す機会がほとんど無いおばあちゃんは、普段話せないことを何でも美容師さんとお話ししていた。
デイサービスのこと、家での過ごし方、近所の知り合いの噂話、家族の話。
話が弾みに弾んで、おばあちゃんの顔はとてもいきいきしていた。

同世代の友達って、やっぱりいくつになっても大切だよなあ〜、と、待合の椅子に座りながら再確認した。

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