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「納得解」はニュアンスカラー

中・高生を育てていると、やたらと「これから必要とされる人材は〜」という話を耳にする。

「これからの時代は、AIに仕事を奪われる。人間は、人間にしかない能力を発揮しなければ生き残れない時代になる。」

などと言われて、子も親も戦々恐々としているのである。


人間にしかない能力とは何か。

それは、他人の意を汲むということ。
他人と協働できること。
曖昧で微妙な落とし所を見つけること。

「正解」と思われることを他人に押し付けるのではなく、みんなが納得できる「納得解」というものを、他人と協働して探せる人が必要とされるのだそうだ。


この間、親戚に不幸があって、田舎へ帰省してきた。

田舎のお年寄りは、祭壇にしても香典返しにしても、より豪勢に、より立派にしないとバカにされる、という、見栄?があるらしい。

結婚式などでも、いまだに「引き出物の箱は出来るだけ大きくないといけない。」などと言って、シーツなど、持ち帰るのが大変な大きさのものにしようとする。

若い世代は、ゲストの荷物にならない小さな箱で、それでいて品質が確かで、センスもいい引き出物があることを知っているので、そちらを選びたがる。

そのうち、「大きい箱」か「小さい箱か」で、諍いが始まってしまう。

こうなると、どんな世代でも納得できる落とし所を探さなければならない、ということになってくる。

こういう時、お年寄り世代の根強い価値観も、若い世代の新しい考え方も理解できて、異世代の間に入ってまとめてくれる人がいると、非常に助かる。

ちょうどいい大きさの箱で、ちょうどいいセンスのもの(笑)なんかに決めてくれると、物事が動き出すし、その一族は平和というものである。

こういうことを「納得解」とか「納得解を探せる人材」と言うのだろうな。


自分だけの「正解」を声高に叫ぶ時代は、もう終わったのかもしれない。

白黒はっきりさせようぜって息巻くのではなくて、白も黒も否定しないで、やさしいグレーを作り出す。

そんな態度が、求められているのかもしれない。


みんなが納得できる答えにたどり着くためには、人と対話できないとね。


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