sazankasan

文章を書くのが楽しいけど、完結はできない

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最近の記事

私の猫は、今年で8歳になるオス猫です。 猫がまだ乳飲み子の時代から、予約していた猫です。 本当を言えば、黒猫が欲しく、けれど黒猫はすぐ死んでしまったので駄目だと言われました。 ならば薄いグレーで目が青い子が欲しいと言えば、タッチの差で貰い手がついたと言われました。 じゃあもうなんでもいいです、そちらが選んでと投げやりに結論を放り投げて来たのが、私の猫なのです。 所謂サバシロとかいう毛色で、乳離れが終わった4ヶ月にしては小さく、とてもうるさく鳴く猫でした。 なぜこれがと聞けば

    • 洗いたての布団に似つかわしくない煙のにおい

      近所の方に誘われて、2歳の子供に初めて花火をさせた。 なんとなく怖くて触れさせていなかったけれど、杞憂だった。 子供は、近所の子供と遊ぶのも花火も、どちらもとても楽しそうだった。 慣れていないからだろうが、暴れることも振り回すことも泣くこともなく、ジッと、真剣に、バチバチとはねる花火を眺めていた。 時折地面に向かって花火を向けるが、きっと明るくなる地面を見たかったんだろうなと思った。 大きな花火はさすがに怖かったのか目を閉じていたが、普段より1時間以上寝る時間が遅くなっても、

      • 子供を産んで変わったことと、思い出す呪い

        この子が大人になるまで生きていたいなと思うようになった。昔は、楽しいから死にたくないなだったけど、今は、この子を残して死にたくないなって思いがすごく強い。 同時に、この子が私より先にいなくなってしまったらと考えると、胸が押しつぶされるように苦しくて悲しい。 母が、親より先に死ぬのは一番の親不孝と言っていたけれど、こういう事なのかなと思う。 妊娠を期に、兄弟は?とよく聞かれるようになった。妊娠する前、両親は決して子供のことを口にしなかった。周りは無責任なので、今日天気いいねく

        • ノーリターンノータリン

          すかすかの墓標 すかすかの墓標 「まひるちゃん」 私を呼ぶ甘ったるい声、 「まひると、まちこ、似てるね」 わざわざ互いを指でさしながら、ニヤッと笑う前歯に矯正器具、 「まひるちゃん、だいすき」 大きめの白いTシャツから、細いを通り越した日に焼けた枝みたいな腕が生えて、それが私の体に巻き付く。 (こんなに、力なしで、細いのに) 黄色に近い茶髪のショートカットはさらさらとして、動く度立ち上る汗と香水の香りが鼻と後頭部に沁みた。 旭まちこの痩せギスの腕は、私の弛ん

          ナポリタンに粉チーズかけたやつめっちゃ美味しい、これ食べられない赤子かわいそすぎない?育児日記②

          今日は1:30、3:40、6:10頃に起きる。昨日うんちが出ていなかったので心配していたが、6:10起床時に出したのでよかった。便カラーでいうと7番目、最初見た時はその黒っぽさに驚いて写メ撮って病院連れていこうかと思った。 息子のミルクとうんちを済ませてから、6:45頃猫に一度目のご飯をあげ、トイレを片付け、水を交換してまた寝た。 本当は6時に起きたときに母子ともに起床して顔を拭いて服を着替えさせてなどをやれればいいと思うけれど、まぁ無理なので結局9:00に起きた。 でもそ

          ナポリタンに粉チーズかけたやつめっちゃ美味しい、これ食べられない赤子かわいそすぎない?育児日記②

          育児日記①

          1214生まれの息子、生後2ヶ月半。 基本的に8:30-9:30で起床。たまに7:00前に起きる(母の頑張れなさが発揮されている、早起きは息子が起きた時のみ) ミルクは1回に80-150㎖を7-8回、2-3回母乳。 昼寝時間はその日ごとに大きく異なる。ほぼ昼寝をしない日もあれば、一日の大半を寝て過ごす日もある。まぁそんなものだろう。 だいたい22-23時頃からなんとなく長めに眠る。 起床~夕方まえくらいまでは機嫌が良くバタバタ動きながらお喋り(クーイング)することが多い。 夕

          育児日記①

          22週目、胎動を感じての正直な感想

          つわりはそこそこひどかったけれど、赤ん坊は先生に苦笑いされるほど順調に育ち、出生前診断も陰性だったからこその感想だと思う。 胎動を感じ始めた時の感想は(すばしっこいなめくじ)だった。指一本にも満たない何かが、やたらと下腹の方でニュルニュルと動き回っていた。正直感触として気持ち悪い……だった。 服の上からでもその動きがわかるようになってからは、さすがになめくじとは思わないけれど、自分の意志とは関係なく動く様がエイリアンや寄生虫に侵された人間そのものだなぁと思い、奇妙な感じが

          22週目、胎動を感じての正直な感想

          結婚しよう、6月じゃないけど

          「結婚しようか」 20歳から、連絡を取り合っていない期間も含め12年の付き合いになるMは、出会ったころと変わらない少し間の抜けた口調で僕に告げた。 僕、あまり良く覚えていないが幼少期には友達がおり、それなりに活発に田舎道を走り回り、通過儀礼よろしくトンボの尾に糸を括って飛ぶのを喜び、芋虫の肥えたやつに枝を突き刺して吹き出るあんまり鮮やかな緑色の体液に喜んでいた。 僕、思い出すと耳が赤くなってくるが小学4年生の2学期半ばに突然読書に目覚め、図書室の虫となり友達の誘いを断る

          結婚しよう、6月じゃないけど

          やきそばをたべる

          カップ焼きそばを食べようかと、ふと、思い立った冬の夜。 ティファールのニセモノで湯を沸かしながら、急ぎ薄いフィルムを剥がす。 パリパリと蓋を剥がし、ガサガサ鳴るかやく袋などを取り出し、指でぱつぱつと弾く。ジャっと袋を開け、カサカサのかやくを、なんとなく油の香りがする麺の上へ、そしてカラカラの麺をぱりりと少しだけ砕き口の中へ。 なんとも言えない心地の良い油を孕んだ麺のパリパリサクサクした歯ごたえと香ばしさが好きだ。1度口いっぱいに含んでみたいと思う。けれど実行したら、向こう1

          やきそばをたべる

          百目と洋子

          「俺は百目だ。恐ろしいか。今からお前を頭からぜんぶ食べてしまおう」 「この、上履きまでぜんぶですか?」 「そうだ。俺はそんなもの、小骨ほどにも思わない。何だったらお前が立っているコンクリートまで一気に食ってしまおう」 「.......お願いがあります」 「食うなと言うのはできぬ願いだ」 「食べるなと言いません。食べて構いません。お願いです。あなたの100個の目で、私のローファー、どこにあるのか分からないけど、それを見つけて、それも一緒に食べてください。私が外で死んでしまった

          百目と洋子

          となり

          音が鳴る。 上からか下からか横からかは分からない。 自分は右の耳が聞こえないので、音のなる方向がわからないのだ。 駅徒歩13分、平坦な道、閑静な住宅街、都心へのアクセスも悪くない、風呂トイレ別、礼金無し1R3.8万円という物件に飛び付いたのはもう10ヶ月も前の話だ。 広さは四畳半程で、畳は引っ越し当初から日に焼けていたが、赤貧で物を持つことを諦めた自分にはちょうど良い場所だった。 部屋の真ん中に煎餅布団を敷き、寝転んだ状態で手を伸ばせば必要なものは揃ったし、日に焼けた香

          ふと思い出したこと

          大学生のころ、教員免許を取るために必要な実習として、社会福祉施設へ5日間お世話になった。 教員に対し熱意があったわけではない。実習についても、深い意味など考えていたわけではなかった。ただ、所謂普通の社会で働くことが困難な大人に同情したし、まじめに取り組まなければという気持ちもあった。 何日か目の昼食が冷やし中華だったことがあった。 理由は思い出せないが、私は一人だけ遅い時間帯に昼食をとった。だけれど困ったことに、冷やし中華が苦手だった。残すわけにもいかないからとちびちび

          ふと思い出したこと

          詩をいくつか

          〘靴紐ブルース〙 きみを、いつか不幸にすると 誓って、雨上がりの晴れた空の下 水たまりを避けて結んだ靴紐 指を不愉快にする茶色く濡れた靴紐は きみの切れた目だ。 触れるまでなんの気にもならないのに 触れた途端しばらく気を悪くして しかも普通にできていたことが出来なくなる。 〘ペンギン〙 東京メトロ銀座線 日本橋駅 朝のラッシュ 黒々とした集団が うつむき加減に のろのろと、体を左右に揺らし歩く 別に決まった訳でもないのに はみ出さず、駆け出さず、騒ぎもせず だのになぜか

          詩をいくつか

          きみが

          きみが、雲ひとつない青空ねって言ったので ぼくは、きみの後頭部の方を指さして きみに、雲はある、あそこだと言うと ぼくの、顔をみていっそう笑うと きみは、自分の目の前で手を双眼鏡にしてまた同じところを見ながら ぼくに、私の目の中には雲ひとつないわと笑うので きみを、屁理屈だと怒れば ぼくを、人間見たいものしか見てないという真実よ と諭し きみは、また空を気持ちよさそうに見上げた。

          折原くんのこと 11月2日

          君の真実を、僕の左脳が理解しようとしている。 それはとても悲しいことだ。 君の鼓動と体温を、数値化して平面化しようとしている。 それはとても悲しいことだ。 僕の体は、日ごとに街に近づいている。 僕の心は君に食い込みたがっている。僕は臆病だ。(10/13) ーーーーー この雨は、折原くんの涙だ。 もう18歳、これがポエムなことはわかっていたけれど、現実逃避に打ち込みたかった。 折原くんから私に触れたのは初めてだった。つかまれた両肩は、雨に濡れた服が余計にまとう

          折原くんのこと 11月2日