
校正トレーニング・国語教材【漢字問題】第1部―実践的例題で基本の作法と観点を身につける
この例題は、腕試しのために作成したものではありません。
漢字問題の校正に必要な観点を知ること、自身の校正観点の弱点把握によって、校正精度を高めることを目的としています。
いかに有能な校正者であっても、校正眼には必ず偏りがあるものです。
初心者については、言うまでもありません。
充分なレクチャーやフィードバックを受けたことのない経験者も同様です。
このトレーニングでは、校正観点を学ぶと同時に、自身の偏りを意識することで作業クオリティを高められるよう、以下の工夫を施しました。
● 現場で散見される多種多様なリアリティのある不具合を例題に盛り込まし
た。これを校正することにより、実感を伴った体験として、発生しやすい
不具合のパターンを短時間で把捉することが可能です。
● 第1部から2部までの三つの例題をとおして、自身の校正盲点を具体的に
認識するためのリストが作成できるようにしました。リストは、実務に活
用できる内容になっています。
校正に時間制限は設けていません。日を空けて見直してみるのもよいと思います。どうぞじっくり腰を据えて校正してみてください。
そして、「もうほかに不具合はない!」という状態まで徹底的にチェックした暁に、校正見本と照合してみましょう。
◇◇◇ 例題 1 ◇◇◇
クライアントから以下のような校正依頼を受けたと想定して臨んでください。
※作問の都合上、漢字問題部分のみを抜粋した形にしています(第2部も同様)。
※初心者や経験の浅い方は、予め「国語教材校正の超基礎」の漢字に関する記事、「国語教材の『漢字問題と解説』の執筆に関する注意点」に目を通しておくとよいでしょう。
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〔校正依頼書〕
●内容
中学3年生の学年末テスト(漢字問題のみ校正してください)
●出題範囲
読みは小6~中3、書きは小5・小6
●校正していただきたい箇所
範囲外の漢字や未習漢字の出題、別解、解答の抵触、配点、連番、ケイなどの致命的なミスを中心にチェックをお願いします。
※学年・氏名等の記入欄がないこと、スソ部分が大きく空いていることへの指摘は不要です。
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▼ 例題の取り組み方
1.以下のPDF(原稿)をプリントアウトしてゲラを作成します。
漢字問題校正トレーニング1
※実務と同じ形式でやるところに意味があるので、必ず紙に落として校正してください。
2.上記の〔校正依頼書〕に従って校正します。
◆校正の具体的な方法◆
1.解答を隠した状態で問題を解きます。
2.例文をゆっくり読み返して、適当かどうかを判断します。
3.依頼書にある「校正していただきたい箇所」に従って一つずつチェックし
ます。
4.3以外に必要な観点があれば、同様にチェックします。
5.ゲラを少し俯瞰して、全体のレイアウトや色など、視覚的な不備を確認し
ます。
1と5以外は順番を入れ替えても構いません。
明らかなミスは赤ペンで、それ以外の不具合や疑問点は鉛筆で書き込みます。
《参考記事》「朱入れ」と「鉛筆書き」の区別
◆校正資料◆
○例題は、教科書等の専門資料がなくても校正できる内容にしています。一般的な 国語辞典や音訓の小・中・高等学校段階別割り振り表(PDF)を利用してください。
○解答バレは、PDFを開いて検索すれば漏らさず拾えます。
○学年配当は、「ふりがな(学年別配当漢字使い分け)」で調べると楽です。
※この例題に限らず一般的な実務の際も同様ですが、解答の熟語はどれか 1字が出題範囲内であれば、ほかは範囲外の既習漢字でも可です。
校正が終わったら、校正見本と照合してください。
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