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片付けに都合の良い状態を作ること

昔から部屋の掃除がとても苦手だ。
床にものが落ちていることがあまり気にならないので、気がつけば着けていたマスクや脱いだ靴下が丸まって落ちている。
それら平日に積み重ねた負の遺産を、休みの日にある程度まとめて洗濯などの名目で少しずつ返済している。
そのような日々の繰り返しで、増えた利子分を返すだけで根本的に綺麗になることがない。

そして今日、仕事前にふと思い立って諸々の片付けを始めたのだが、そのきっかけとなったのはyoutubeでおすすめに流れてきた汚部屋の掃除屋さんの動画だった。

利用者たちは口を揃えて言う。
仕事で疲れていて。心の病気で。ズルズルと汚れて足の踏み場もなくなって。引っ越しのタイミングで。夜中に片付けると迷惑になりそうで。

だけど〇〇(業者)さんに相談してみたら、親身になってくれて。雰囲気が一番良くて。話を聞いてくれて。本当に感謝している。

まるでカウンセリングである。

人間というのは自分にとって都合の良い思考を持つように出来ている。それが最も楽なのだ。
もちろん不可能な状況というのもある。が、そうでないケースが殆どなのが実状だろう。

そんなやらないことの正当性を担保する数多くの言い訳や、汚部屋にしてしまった恥ずかしい状態すら
「仕方ないよね、うんうん分かるよ。じゃあ片付けるね…」
と全部包み込んで施行してくれるような理解のある業者くんが、youtubeでは人気を博している。

動画の中の依頼者の異常な感謝度合いに少し戦慄を覚えながらも、それを契機に重い腰を上げた。
早く起きてしまって時間を持て余していたというのもあって良い機会にはなった。

自分の部屋はそこまで物が無いし、そもそも実用性の無いものをあまり持たない。
ただ、床に物を置いたりテーブルに物を放置しがちなので、物を買う事に楽しみを見出してしまったらあっと言う間に歩く場所を無くす自信のある予備軍とも言える。


ひとまず部屋全体を見渡し、マスクを個別包装していたビニールゴミや、たたみ終わったのに所定の位置に戻してなかった洗濯物や服など、すぐ処理出来るものを片付けた。

片付けながら思ったのは、自分には片付ける前に、一旦片付けを保留しておくフリースペースが存在せず、それが床になっているということ。
それと同時に各アイテムの専用保存場所がそもそも無かったり、有ったとしてもアクセスしづらい場所に存在している。
そのため、DMや保証書などの書類、ビニール袋、衣類、イヤホンなど電子機器が散らばりがちだ。

少し前に家のドアの内側に鍵を引っ掛けるためのフック付きマグネットを付けたのだが、これが、家に帰ってから部屋に入るまでの動作の中に組み込めたため、苦なく行えるようになった。
それまでは部屋の中に鍵の置き場所を作っていたのだが、癖でテーブルや床に投げ置くなどをした結果、出掛ける時に見当たらなくなるということを何度も繰り返していた。

片付けのtipsなどを見ていると、片付けとは
「使うものをまた取り出しやすいように行う」といった解説がある。

なのだ。

片付けやすいこと自体が、ものの取り出しやすさと同義であり、片付けるという点に主眼を置くなら、
「使うものをしまいやすいように設計する」ことが片付けになる。

部屋の片付けが苦手な人間にとって、片付けが出来ないことに都合良く楽な言い訳を設けるように、前提として都合良く楽に片付けられる環境設定が重要なのだと感じた。

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