橋本麻里

日本美術を主な領域とするライター・エディター。公益財団法人永青文庫副館長。金沢工業大学…

橋本麻里

日本美術を主な領域とするライター・エディター。公益財団法人永青文庫副館長。金沢工業大学客員教授。著書に『SHUNGART』、『京都で日本美術をみる[京都国立博物館]』、『変り兜 戦国のCOOL DESIGN』。編著に『日本美術全集』20巻ほか。

最近の記事

川岸を歩く。

 逗子の海岸に注ぐ小さな川では、干潮になると河口近くに小さな洲が現れ、子供たちの格好の遊び場になっている。時が過ぎれば水の下に隠れてしまうささやかな陸地は、子供が5人も走り回ればもう満員だ。  こういう存在自体が曖昧で、どっちつかずの場所が昔から好きだ。鎌倉〜逗子界隈で住む場所を探していた時、滑川(鎌倉市)の中洲にある土地が紹介されていた。冷静に考えれば蚊は多そうだし、川が増水すれば浸水の危険もある。住まいを持つには好条件ではないのだが、しばらくの間、毎日のようにネット経由

    • 逗子日記① ガストロパブ ベケットのこと。

       昨年末に逗子へ引っ越した。  生まれ育ちは鎌倉だが、お隣の逗子のことはよく知らなかったので、日々の散歩が探検──というわけで、知らない小路を見つけると、ふらふら入り込んでいく。かなり重症の方向音痴だが、そこは小さい町のこと、さほど深刻な迷子にもならずに済んでいる。  最大の関心事は、おいしいお店を探すことだ。自宅の工事をしている時に見つけた「Becquet CAFE&GASTRO PUB」は、定番のフィッシュ&チップスから本格的なジビエ、アジアや南米に寄り道した料理まで

    川岸を歩く。