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インタビューシリーズ#8  子育てママ目線で、日本茶をとおして自分を大切にする暮らしを提案

こんにちは。私が個人的に話を聞きたい人に声をかけて、その人の活動を紹介させていただく、インタビュー記事のシリーズです。

今回は、岩崎 麻須美さんです。
岩崎恭三商店という静岡の茶問屋に生まれ育ち、二代目として「お茶と、暮らしと」というお店をオープン。二歳のお子さんの子育て中、日本茶インストラクターさんです。

私: 「お茶と、暮らしと」のオープンには、どのようなキッカケや経緯があったのでしょうか。

岩: 株式会社岩崎恭三商店は、私の父が立ち上げた会社でした。お茶の業界は昔より右肩下がりになっていて、父が「辞めようかな」と言うのを聞き、寂しい気持ちから「じゃあ、私がやろう」ということで二代目になりました。
父は「お茶なんてもう、みんな急須も持っていないし、今はペットボトルで飲むから」と後ろ向きでしたが、「お茶が好きな人もいるにはいる」と私は感じていました。
それまで父の仕事を手伝ったことはありましたが、お茶に詳しかったわけでは全くなくて、日本茶インストラクターなど勉強しました。マーケティングについても全く知らない素人なので調べたり、自分で反省文を書いたり、パワポにまとめたり勉強しながら、手探りでやって来ました。

私: 素人って仰いますが、サイトのデザインやコンセプトも、インスタの世界観も商品パッケージも、「想いと見た目」が見事に繋がっているように感じます。

岩: サイトはCOOの光善防久司さんに制作して貰いました。パッケージは、デザイナーさんに提案いただいたものを「本当にこれで良いのだろうか」と自問してこだわり、暮らしに馴染むようなデザインにしました。
お茶に詳しい立場ではなく、一人の女性の消費者目線で、考えようと思いました。「お茶屋さん」というよりも「暮らしを提案する」という風に。
元々、私はお酒が好きで「今日お酒何飲もうかなぁ。赤ワインにしよう。それなら生ハムとチーズ買おう」という思考回路。紅茶も好きで「このティーポット可愛いな。これに合うお茶買おう」という風に、お茶のマニアほどではなく一般的な消費者の目線なんですよね。これは日本茶もそうで。
例えば「このお茶は湯冷しして、この温度でこうやって淹れて…」という正しい淹れ方があっても、普段の生活では時間や温度をはかって淹れられる暇があまり無いですよね。そういう意味で、淹れやすさや後片付けのことなどを考えたり「お茶を淹れる時のみんなのハードルを下げたい」と思っています。楽しみ方は自由で良いんですよね。

「お茶と、暮らしと」WEBサイト引用
日々、子育てと仕事、家事に追われて "ていねいな暮らし"には程遠い。
でも、寝かしつけの後に "お茶をゆっくり淹れる時だけ"でも
"仕事中の休憩にお茶をふーっと飲む時だけ"でも
その一瞬は自分に優しく、 『ていねいに』過ごしていると感じられた。
そんな、どこにでもいるような 『ていねいな暮らしに憧れる雑な人』が あったらいいな、を形にした『お茶と、暮らしと』

私: “丁寧な暮らし”についても、レジスタンス的なニュアンスがありますよね。

岩: そうなんです(笑)そこが伝わって嬉しいです。
私自身、“丁寧な暮らしに憧れる雑な人”です。丁寧な暮らしという言葉にどこかネガティブな感情を抱く人もいっぱいいると感じています。
楽して良いと思うし、ズボラでも全然良いと思うんです。外から見える丁寧な暮らしじゃなくても、自分にとっての丁寧があったり、「そんな私が好き」って思えれば。

私: 確かに、ズボラでも丁寧でも、“自分を大切にできているかどうか”が大事なのであって、それを、“お茶の時間”というもので提案しているのが凄いですね。革新的でもあると同時に、遥か昔からの普遍的なことでもあるなと。

岩: そうですね、例えば平安時代の女性たちもきっとそうだったと思うんですよね。その時代その時代の大変さがあって、「お茶でも飲んでひと息つこう」って。「頑張っているね」って、自分に向けたい言葉なんですよね。
私も、自分を大切にできているかというと分かりませんが、「絶対に同じように感じている人は多いだろうな」と思います。

私: 阪神梅田のお茶フェスに出店することになったのは、どのような経緯があったのでしょうか。

岩: 茶人の松澤さんのお茶のコミュニティで、私の話をした時に、松澤さんから「出店してみませんか」とお誘いをいただきました。まだ「お茶と暮らしと」っていう名前も決まっていない時に、出店することになったので、急いで間に合わせました。
保育園がお休みの期間とかぶっていたので、作業が進められない時もあったり、大変でしたが、お茶フェスに出店させていただけたのは、本当に大きかったです。
お茶フェスに出店できたことでお客様の声を直接聞けたので、自分がパワポにまとめたようなことが、きちんと届いていることが分かりました。お店の紹介のパネルを読んだお客様から、「このブランドのコンセプト、とっても良いです。デザインや、書いてあることから、込められた想いが伝わって来ます。この岩崎さんという方に会いたいです」と言っていただいて、「私です」と。一緒に泣きそうになって。凄く嬉しかったです。

私: 今後の展開についてはどのようなことを考えていますか。

岩: お茶と食べ物のペアリングを考えたり、子どもと楽しむことや、カフェインレスのお茶なども出したいと思っています。暮らしに馴染むようなデザインで作っているので、雑貨屋さんなどにも置いていただけたら良いなと思いますね。あとは、海外にも出したいですね。

私: 楽しみにしながら応援させていただきたいと思います。ありがとうございました。

今後も、コラムの投稿と並行して、こうしたインタビュー記事の投稿もしていきます。ここまで読んでくださってありがとうございました。


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