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プロレスリング・ノアで話題のOZAWAが想像以上にヤバかった

私の好きなプロレスリングノアに、期待以上のものを見せてほしい。何か流れが変わる潮目を目撃しておきたい。

既婚者で本来は大相撲という軸がある私がノアの会場に足を運ぶときはそういうタイミングの時であるように思います。

そんなに足繁く通えないですし、レッスルユニバースで観ていても試合自体は楽しめます。

今まで3回足を運んでいますが、最初の1回を除くと昨年1月の有明と7月の日本武道館はまさにそれだったんですよね。

飯伏丸藤にいざなわれた人たちが、拳王征矢をはじめとする今のノアを観たら相当驚くのではないか。

YOICHIを名乗って凱旋帰国した稲村が清宮と新しい時代の試合を魅せたら世間に響くきっかけになるのではないだろうか。

期待というか、願いを込めて、想像以上を目撃する準備をして足を運ぶわけですよ。

私個人としては中学生のころから全日本プロレスで育ち、ノアにこの3年で戻ってきた身なので、普段着のノアが見られたらそれで満足なんです。

いや、普段着を見られたら満足するように自分に言い聞かせてきた部分が大いにあると思っています。

よくこのnoteでも書いている通り、とにかくノアっていうのはアンチが多い団体なので、自分が面白いと思うレベルの興行であっても粗さがしをされてしまうこともある訳です。

だからこそ満足をするレベルの興行であれば「粗さがしは不要」という意味で楽しかったことを広めたいわけです。

ただ、私も分かっているんですよ。

そのレベルだと世間様はおろか、ノア以外のプロレスファンにさえ伝わらないということを。

だからノアは既に楽しいということを説きながらも、想像以上の何かを目撃することを期待し、そのレベルの感激を伝えたいという想いを抱いて、熱心なファンの方からするとごくわずかではあるんですけど会場に行くんです。

で。
遂にそのタイミングが巡ってきました。

OZAWAの出現です。

OZAWAの凄さと日本武道館での衝撃については先日記事にしたのでこちらをご覧いただければと思います。

遂に私が求めていた「想像以上の何か」を体現する人が現れたんです。

勿論これって先日も書いての通り、OZAWAの凄さではあるんですけど確かなプロレスが出来る清宮・拳王・そのほか全ての選手が対角に立ち、また他の試合が出来ることが土台に無ければ成しえなかったことです。

そう。
私が今まで観ていた「普段着のノア」の存在が大事だったんですよ。

今までそこまででもなかった人が1月1日の「OZAWAショック」の凄まじさをSNSやメディアの反応から感じている。

そして私を含めて既存のファンたちはうねりが生まれていることに興奮を覚えている。

その結果は正月の次の興行である1月11日の後楽園ホールを皮切りに観客動員という明確な形で現れました。

全席完売。
1535人。

ノアの後楽園ホールって1000人入れば良い方で、1000人を割ることだって結構ありました。

完売になったのは「禁断の対決」と言われ、「One Night Dream」と銘打たれた宮原健斗中嶋勝彦戦の時くらいでしたからね。

それを思うと、禁断の対決並の訴求力が普段着のノアの興行で生まれてきているというのがどれだけのことか分かるんですよ。

一夜の夢でなくても期待感を抱かせるものがある。
そのことが何よりうれしいと思ったんです。

その期待感に木をくべてガソリンをぶっかけ始めたのは当然拳王で、

(なんなんだOZAWA百人一首て・・)

驚くべきことにOZAWAが動画でアンサーを出してきた。

今の時点で100万近く見られていて、下手すりゃプロレスの枠超えつつあります。

こんなのもう、始まる前から脳汁出まくりですよ。

何これ
もう既に最高じゃん!
って。

今までやってほしかったことを一人でやり続けてきた拳王に追従しているのがOZAWAと大和田という拳王の薫陶を受けた新人たちで、しかもそのアンサーで拳王をクソミソに言っている。

プロレスラーの対応として5億点ですからね。
これ。

ノア内の構図としては対立しているけど、拳王のDNAが脈々と受け継がれて、今の若者の感性で今の人たちに刺さる表現で発信した。恐らく拳王が若かったらこういう発信をしている、という類のものですよ。

で。

会場行ったらね。
まぁすげえのなんの。

私自身2006年くらいに職場の同僚に誘われて「ハッスル」を見て以来の後楽園ホールだったんですけど、1500人以上入るとこんなにみっちみちになるのかと思うくらいの人口密度で。

とにかく人、人、人。

普段12000人近い両国国技館で相撲観ていますけど、あれとは別種の密度ですよ。

しかもね。

やっぱり「何か新しいうねりが生まれている」という期待感をいち早く察した人たちとこれまでノアを支え続けてきた人たちが集結しているので、1500+異様な熱気ということでそれはもう、会場中から何かが出ている感じでした。

あのなだらかな上昇曲線が一気にぐっと角度が変わった瞬間にしか生まれない熱量、期待、ポジティブな感情がごちゃ混ぜになった空気って凄いんですよ。

あれ、いつ以来だろう。Clubhouseでいろんな有名人の話が聞けてビックリしたときが最後ですかね。

あれをノアの会場で遂に感じることができたというのがまず驚きでした。

で。
試合も当然凄くて。

1月1日からそのうねりを表してきた選手たちがとにかく躍動しまして、その中心に居るのがOZAWAとオモスなんです。

221センチあるオモスが登場すると、もうそれだけで私たちは顔がほころんじゃいました。

そのうえちゃんと大男が大男としての強さ、すごさ、異常さをいかんなく見せてくれるから笑うしかないわけです。

デカいことは確かに正義だと思うんですけど、全然動けなかったら私たちってすぐに「ただデカいだけ」ってレッテルを陵南の魚住みたいな感じで貼っちゃうじゃないですか。

でもそれをしないってのはオモスは勿論、彼を引き立たせる敵味方共に凄いとしか言いようが無いです。

そしてOZAWAです。

もうね
プロレスラーなんですけどエンターテイナーとしてモノが違いました

ヒール(悪役)という立ち位置で相手を小ばかにして、怒らせて、翻弄して、更にはフェニックススプラッシュを始めとする超高難度まで見せる。

これなんて若手なら誰でもやる技ですけど、華が違います。

憎らしく見せれば見せるほどベビーフェースも美味しくなるし、そのうえで様々な側面から逸材ぶりを見せるので、OZAWAもこの日の相手の拳王までも際立つことなる。

ですから、初出だった1月1日は何かを変えてほしいというファンのエネルギーがOZAWAへの声援一色、対角に居た超ベビーフェースの清宮にはブーイングが飛んだのですが、

この日はOZAWAへの声援も当然分厚かったものの拳王への声援と二分されているように感じたんですね。これってOZAWAが自分だけが美味しくなるようにしている訳じゃないことの証明だと思うんですよ。

OZAWAを支持する声も相当ある。でもOZAWAが翻弄すればするほどに拳王を応援したくなる。

そりゃ会場のボルテージもぐわーっと上がりますよね。

いやー
とにかく凄かった

楽しくて仕方のない興行でした

・・・
というところで終わらせようと思っていたのですが、どうしても触れておかねばならない点がありました。

それは、ヒールの捉え方です。

OZAWAは当然凄いのですが、やっていることってド汚いんですよね。

汚いことをやって勝つっていうのは、どうやってもバッドエンドになってしまうことになるってことです。

レフリーの足をセコンドが引っ張り、武器を使ってボコボコにして、サラッとカウントスリーを奪う。

こんな感じ。

こういう決着に不満を覚える人はそりゃ居るよねって。

実際にこの日の試合はOZAWA選手のTEAM 2000Xが反則を駆使していくつかの試合をモノにしましたが、拒絶反応も多かったんです。

特に気になったのが、他団体のヒールの在り方に準えて彼らのやり方と決着を否定し「もう見ない」とか「こういうのは嫌だ」と仰られている方のことでした。

まぁ仕方ない部分ではあると思うんです。

ただね。
私は現場で観ていてそこまでは思わなかったんですよ。

多分ただ汚いだけじゃなくて、オモスやOZAWAが単純に凄くて、凄さ+汚さで勝っていると捉えられたんです。

もしこれが強くない人が汚さに頼って勝ったとしたら不満は残りますが、勝ちに値する人がダーティ成分をブレンドしているということであれば飲み込めると思うんですよ。

だから私は、もしダーティさを一切受け付けないとしたら今のノアとOZAWAは合わないと思うんですけど、一方でそれが単に自分のプロレス観を守るためのことだとしたら勿体ないと感じたんです。

核心に触れると、新日本プロレスのハウスオブトーチャーというヒールユニットのやり方を否定していたがために、今更同様の手段で介入するTEAM2000Xを認められないということだとしたら、そんな変なこだわりなんて捨てちまえと言いたいんです。

もしあの試合を観て楽しいと感じる自分が居ながらも否定から入ってしまっているなら、素直に楽しんだ方がいいんですよ。

もちろん楽しいと感じる自分がどこにも居ないなら仕方ないことですけど、ちょっと見た感じではそもそもこの手のヒールが居ない団体ってそんなに無いからプロレスそのものが不向きなのかもしれないです。

あ、あとあれか。

ノアの中でも激しさに特化したブランドである「LIMITBREAK」が受け皿になるんじゃないかと。

その辺の棲み分けを意図的にやっているから今のノアは有能なんですよ。

少し角度は異なりますが、TAJIRI選手がこんな記事を書いていまして、なるほどと思いました。

有料部分の中で今回のノアの興行のTEAM2000Xの試合についてプロの視点から書かれている箇所がありますが、これを見ると「TEAM2000Xの介入は他団体のヒールの焼き直し」という見方が変わるかもしれません。

勿論これを読んでも意見が変わらない人もいるかと思いますが、多様な視点に触れることによって頑なな自分が変わる可能性もあると思うんです。

ちなみに昨日の群馬高崎の興行ではTEAM2000Xが清宮率いるオールリベリオンに敗れたようで、勝ったり負けたりという構図になりそうだなと予測しています。

まぁそんなわけで、OZAWAによってうねりが生まれてきているノアを、多くの人たちで共有出来たらこんなに嬉しいことは無いです。

いや
とにかく楽しかったんですよ
1月11日の後楽園ホール

既に週末の春日部、その後の大阪、高松の売れ行きも絶好調。

昨日の群馬高崎でも昨年の同時期の興行から100人増で130パーセントアップ。

もう既に波は来ています。

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西尾克洋/相撲ライターの相撲関係ないnote
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