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Makuake実行者対談:京都祇園祭山鉾行事プロジェクト-伝統を残すための挑戦-

こんにちは、Makuake note編集部です。
今回は実際にMakuakeに挑戦した実行者にご登場いただき、プロジェクトの裏話やこれからのことについて、対談形式でお届けするMakuake実行者対談です。対談させていただいたのは、公益財団法人祇園祭 山鉾連合会 理事の平井嘉人さま。地方事業部 事業部長の菊地とZoomを通じてお話いただきました。

日本の三大祭の一つ京都祇園祭は、貞観11年(869年)に始まり1150年以上の歴史をもつ伝統的なお祭りです。そんな京都祇園祭が初めてMakuakeにてプロジェクトを実施したのは2017年。以降、4年連続でプロジェクトをご実施いただいています。

今年で4度目となるMakuakeでのプロジェクト実施

菊地:今年で4回目となるMakuakeのご実施ですが、既に1,400万円を超える応援購入金額が集まり(7月21日現在)、過去最高記録となっていますね。

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平井:はい、今年は新型コロナウィルスの影響で祇園祭山鉾巡行、宵山行事が中止となったにも関わらず、多くの方々にご支援をいただけて、非常に嬉しく思っています。毎年宵山期間中に、厄除け粽や手拭、お守り、扇子、葉書等の様々な授与品を来場者の方々にご購入いただき、その売り上げを京都祇園祭の伝統文化保全資金にさせて頂いているのですが、今年はその機会を失ってしまいました。Makuakeを通して、全国の方々にこうした授与品をご購入いただくことで祇園祭に関わる伝統文化の維持、継承にご協力いただけているのは、大変ありがたい事です。

菊地:平井さんのおっしゃる通り全国にサポーターがいらっしゃいますし、リピーターの方も多いですよね。今年は寄附型(※1)のプロジェクト実施となったこともあり、初めてサポーターになってくださった方も多く、サポーター数も過去最高の1,700人超えとなりました。

平井
:毎年必ず八坂神社への正式参拝のリターンをご購入されご参加くださる方もいらっしゃって、Makuakeを通じて新たなサポーターとの繋がりが生まれています。

※1寄附型:実行者が寄附を募ることができるプロジェクト。サポーターは寄附型プロジェクトに寄附をした後、必要な手続き(確定申告)を行うことで、寄附控除や寄附金の損金算入などの税制優遇を受けることが可能。

安全に祇園祭を継続させるために、経済的な負担が大きくなっていた

菊地:4年前に初めてMakuakeを実施された際は、どんな経緯があったのですか?

平井:前理事長である岸本が、2016年就任時の所信表明に「京都祇園祭の財政基盤の構築」を掲げていたんです。祭の継続には、開催費用だけでなく、文化財の維持や安全保安といった費用が多分に必要になります。
祭りというのは多くの人が集まるものですから、事故が起きないよう手厚い警備が必要です。各警察署からのご協力も頂いてはいますが、別途警備の手配に費用がかかります。
また、万が一の事故が起こってしまった際の補填や補償のために保険にも加入しておかなければなりません。2013年に福知山の花火大会にて露天商の爆発事故が起こったことをきっかけに、そうした議論が交わされてきた流れがありました。たった一度の事故によって、祭の継続が危機に立たされる危険性があります。それは古い歴史を持つ京都祇園祭もけして例外ではありません。

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菊地:なるほど、目に見えない部分の費用も多く必要になるんですね。Makuakeをご実施いただく前は、お祭りの資金はどう集められていたのですか?

平井:前述した宵山期間中の授与品販売の他に、保存会と呼ばれる町内会の会費や、各所からの寄付に支えられていました。しかし祭を安全に執り行うための十分な警備や保険加入を鑑みると、経済的負担は大きく、このままでは京都祇園祭の山鉾巡行の継続ができなくなってしまうという危機に瀕していました。
連合会にて新たな財政基盤を模索する中で、クラウドファンディングが案として挙がったんです。

伝統を守り継続してくために、新しい手法にチャレンジする

菊地:そうだったんですね。お繋ぎくださったのは京都信用金庫さんでしたよね。

平井:そうなんです。私は不動産業を営んでいるのですが、地域企業の創業・起業支援も行っており、もともと京都信用金庫さんとのお付き合いがありました。ある企業のご相談の際にMakuakeをご紹介頂き、祇園祭についてもご相談させていただきたいと、お繋ぎ頂いたんです。

菊地:クラウドファンディングは比較的新しい仕組みですし、2016年当時は今ほど一般的でもなかったかと思うのですが、Makuakeを実施することに対して反対の声などは挙がらなかったのでしょうか?

平井:意外に思われるかもしれませんが、そうした声はありませんでした。もともとクラウドファンディングについて連合会内で提案していたのも私よりも目上の方でした。1150年という長い年月の中で、祇園祭は幾度となく形を変えて継続してきているという歴史があります。伝統を守り継続してくために、新しい手法にチャレンジすることに対して非常に寛容なのです。

菊地:なるほど、京都の方々の気質にも通じる部分かもしれないですね。僕は大阪でマクアケ関西支社を立ち上げて主に日本の西側の地域を担当してきたのですが、京都の方々はご自身の活動や事業において、新しいツールやサービスを使っていこうという意向が強いように思います。柔軟に新しいものを受け入れるという京都の方々の気質が、多くの伝統文化を根付かせ継承させる土台になっているのかもしれませんね。

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プロジェクト設計の苦労と公開までの不安

菊地:いざプロジェクト掲載に向けて準備をされる中で、苦労したのはどういった点でしょうか?

平井:初めての挑戦で、右も左もわからず、何から手をつければ良いのか…正直最初はかなり戸惑いました。プロジェクトページに何を書けば良いのか、どんなスタンスで、どう自分たちの想いを表現したら良いのか、リターンの設計や目標の金額の設定についても、何から何まで菊地さんにご相談させていただきましたよね。

菊地:当時、Makuakeとしても伝統的なお祭りのプロジェクト掲載というのは初の試みだったので、僕も体当たりで一緒にプロジェクト設計に当たらせていただきました。当初から印象的だったのが、祇園祭の画像の美しさです。プロジェクトページにおいて、画像は言葉以上にサポーターに訴えかける力のある非常に重要な要素なのですが、ご用意頂いた画像が非常に素晴らしく、どの画像を掲載しようか迷ってしまうくらいでした。

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平井:画像や映像といったコンテンツの管理も、財源基板構築の一端として2016年から取り組んできたものでした。プロのカメラマンに撮影いただいた画像を早速利用することができました。菊地さんと二人三脚でプロジェクトの準備を進めましたが、公開にあたっては「一体どれほどの人がサポーターとなってくださるのか、まったく見向きもされないのでは…」と、直前まで不安を募らせていました。
しかしそんな不安をよそに初日から多くのサポーターが集まり、雑誌や新聞にも取り上げていただけて、事務局では問い合わせの電話が鳴りやまないという嬉しい悲鳴が挙がっていました。

Makuakeを通して得られたサポーターとの繋がり

菊地:僕も非常に安堵したことを覚えています。その後も毎年Makuakeをご利用いただき既に4年目となりますが、Makuakeを継続いただけている理由は何なのでしょうか?

平井:サポーターの方々との繋がりですね。Makuakeが京都祇園祭山鉾行事の財源基板となっていることは勿論なのですが、それ以上にMakuakeを通して全国のサポーターの方々と繋がりを持てることが大きいです。京都祇園祭自体は非常に大きい祭ですが、理事会や保存会といった普段顔見知ったコミュニティの中で運営を続けてきました。なので、それ以外の方と祭について意見を交わしたり、まして祭にかける想いを伝え合ったりという機会は、これまでそう多くありませんでした。Makuakeを通じて地元京都の方々はもちろん全国津々浦々の方々に応援コメントをいただけたり、活動レポートを通して我々の活動についても知っていただけるようになりました。前理事長の岸本は、初めて応援コメントを読んだ際にあまりに感動し、涙したと申しておりました。理事会メンバーも皆、サポーターの方々からのコメントに感銘を受け、祭継続のモチベーションになっています。
今後も一人でもサポーターになってくださる方がいらっしゃる限り、Makuake実施を続けていきたいと考えております。

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▲祇園祭プロジェクトに寄せられている応援コメント

菊地:ありがとうございます、そうしたお話をお聞きできて、僕もとても嬉しいです。最後に、今後の展望をお聞かせください。

平井:今年は残念ながら中止となってしまった京都祇園祭山鉾行事ですが、来年・再来年、そして10年後20年後と継続させていきたいと考えております。また、そのためにより多くの方から応援いただけるよう、プロジェクト設計についても引き続きお力添えいただけるとありがたいです。

菊地:もちろんです、今後もどうぞよろしくお願いいたします。

◎公益財団法人祇園祭 山鉾連合会 理事 平井嘉人

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橋弁慶山保存会の町内に生まれ育つ。保存会にて神事担当を務めたのちに連合会へも参画。地域と切っても切り離せない「祇園祭」に携わりながら、地元橋弁慶町活性・伝統継承に従事する。