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モバイル計測パートナー(MMP)とは何か?

MMPとは、Mobile Measurement Patnerの略で、アプリのデータを収集・整理し、アトリビューションを行うことで、広告の効果を統一的に評価するプラットフォームを提供する企業です。具体的な企業名をあげるとAppsFlyer, adjust, branch, Kochava, singular, tenjin 等が挙げられます。

日本語では「モバイル計測パートナー」もしくは「モバイル測定パートナー」など訳されています。広告主となるアプリの事業者でもなく、広告配信面を提供するメディア、アドネットワークでもなく、この二者を媒介するという意味から「パートナー」とされているのではないかと思います。また、MMPの"P"はパートナーではなく、「プロバイダー」や「プラットフォーム」の略とされているケースも散見されます(諸説あります)

ただし、「MMP」という略語は広く認知されているようですので、この記事ではMMPという呼び方で統一して書きます。

Facebook - モバイル測定パートナーとは

なおGoogle先生だけは、なぜかApp Attribution Partner (AAP) と呼んでますが、MMPと同義のようです。
ただ、これはこれで、MMPの役割をうまく表した名称ではあります。

Google広告ヘルプ - アプリ エンゲージメント キャンペーン設定

アプリ広告のアトリビューションにはMMPが必須

MMPの主な役割について解説したいと思います。

アプリの事業者・開発者側にとってみれば、アプリをダウンロードする場である、AppStoreやGoogle Play Storeなどのアプリストアが、流入元となった広告の接触情報を取得し「店舗のQRコードからアプリストアに移りダウンロードしたユーザーが150人だった」ということを教えてくれれば理想的です。

こうのようになっていれば、前回の記事「アトリビューションとは何か?」で示したように、アプリを起動したユーザー(1000人)がそれぞれのどの広告のおかげでそのアプリを使い始めたのかを簡単に知ることができるはずです。

どの広告のおかげで、1000人のユーザーがアプリを使い始めたのか?

しかし、実際にはそのような仕組みにはなっていません。アプリストアは日別のアプリのダウンロード数などの情報は開示していますが、どの広告からストアにユーザーがやってきたかということは計測していないのです。そのため、ユーザーが初めてアプリを起動する前と後のデータは分断されてしまっていることになり、このままでは、アプリを起動したユーザー(1000人)がそれぞれのどの広告に接触したは全くわかりません。

実際には「データの分断」のせいで、どの広告のおかげだったのか知るのは困難。

そこで、MMPの出番になります。MMPはそれぞれの広告接触の情報とユーザーのアプリ起動やユーザー登録や課金などのアプリ内イベントの情報を受け取ることができるようになっており、「データの分断」を乗り越えて、アトリビューションができるようになっています。またその結果を整理し、アプリの事業者・開発者にわかりやすく見せる管理画面も備えています。

MMPがいれば、この「データの分断」を乗り越えられる!

アプリ事業者はMMPを使うことにより、複数のイベントの切り口でアトリビューションを確認することができます。

  • ユーザーのアプリインストール(=初回起動)を増やすことに貢献した広告はどれだったのか?

  • 実際にユーザー登録した人たちはどの広告に接触していたのか?

  • どの広告がきっかけでユーザーはアプリ内で商品を購入しているのか?

MMPは公平・中立な審判であるべき

ここまではMMPがどのようにアトリビューションを行うかを簡略化して表現してきたのですが、実際に起こることはもう少し複雑です。

まず、アプリ広告をさまざまなチャネルに拡げるほど、ユーザーが一つのアプリの広告に何度も接触するということが起きてきます。
MMPは通常、アプリ起動の直前に接触した広告がインストールに最も貢献したはず、という考え方のもとでアトリビューションを行います(ラストタッチと呼びます)

また、アプリ広告を扱うペイドメディアは数多くあります。AppsFlyerと連携済みのアドネットワークは6,000社以上存在し、今も増え続けています。
このようなペイドメディアの中には、広告の表示回数やクリック回数などの広告接触自体ではなく、MMPによるアトリビューションの成果を元に、広告主であるアプリ事業者に請求を行うタイプもあります。
さらに、実際にはユーザーが広告を見てもいないのに、広告接触のデータをMMPに大量に送りつけることで、アトリビューションによる成果を奪い取る広告不正(アドフラウド)を発生させるようなアドネットワークも存在します。

デジタル広告業界はまさに、群雄割拠というか魑魅魍魎の世界です。

こういった状況の中でMMPには、広告主の目線で公平・中立に各メディアに対してアトリビューションを行うことが求められます。
これは広告主であるアプリ事業者が「本当に費用対効果の高かった広告はどれだったか?」ということを判断できるようにするためです。
また、仮に広告不正を行うようなメディアがあれば、忖度せずにアトリビューション対象から除外することも必要になってきます。

スポーツに例えると、MMPは公平な審判のように、アトリビューションに関する判断を下す役割を果たします。

まとめ

  • MMPとは、AppsFlyerをはじめとする広告の効果評価するためのプラットフォームを提供する企業のことである。

  • アプリ広告のアトリビューションを行うためには、MMPの利用が必須となる。

  • MMPにはその役割から、公平性・中立性が求められる。


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