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適度な休息・空の状態が充実感につながる。(胃腸を休めることから)

今日は『血流がすべて解決する』(著:堀江昭佳)より「血がつくれない「気虚体質」のひとは疲れやすく、やる気が出ない」を読みました。

血流が悪い状態には3つの原因がある。①血がつくれない「気虚」、②血が足りない「血虚」、③血が流れない「気滞 瘀血」です。それらの原因には順番があり「気虚→血虚→気滞 瘀血」の順に影響を及ぼします。どこに原因があるのか特定できなければ、有効な解決策を打てずに一向に改善に向かうことはありません。特に「血がつくれない」ことを日常的に意識する場面がないので盲点でした。

どうして血がつくれなくなってしまうのでしょうか。その理由は胃腸にあります。胃腸が弱ってしまうと、栄養を十分に吸収できなくなってしまいます。すると血液の原料そのものが体に入ってこなくなるのです。胃腸の働きの重要さは、動物の体の成り立ちからもわかります。肝臓、心臓、腎臓、肺などさまざまな臓器がありますが、あらゆる臓器の中で最初にできたのが消化器系である腸です。食べることでエネルギーをとって生きるのは、動物の原初の形です。人間、口にしたものでしか体はつくれません。水や食物など体を構成するすべての物質は胃腸を玄関口として体内に入ってきます。その胃腸の力が正常でない、弱っているということは、何を食べても消化吸収できないということなのです。

血がつくれない原因は「胃腸」にあり、胃腸が弱っていると栄養を十分に吸収できずに血を作る材料が不足してしまう。「なるほど」と思うと同時に、胃腸は弱っていないだろうか、あるいは胃腸を弱らせる生活をしていないだろうか、と自問してしまいました。暴飲暴食、間食、睡眠不足など。頭では何とかなるだろうと思っても、臓器の疲労が蓄積して時すでに遅しとなることもあるかもしれない。臓器の「休ませてほしい」という声に耳を傾けないと、と思うわけです。

適度な空腹、余裕、ゆとり。常に何かを食べ続けている状態では胃腸が休む間もなく疲れ果ててしまいます。ふと思ったのは、「情報」も入れすぎ注意なのではないか、ということ。日々膨大な量の情報があふれる現代ですが、常に新しい情報、たくさんの情報を頭に詰め込んでいると休まらなくなる。すると、本当に大事な物事を感知する力、察知する力が衰えてしまうのではないか、という気がします。

休む間もなく大量の情報を高速で処理する生活が続いてしまうとしたら、適度な休息を取ることも大事ですが、「そもそも、それほど多くの情報が必要なのだろうか?」と問いかけてみることのほうが重要なのかもしれません。血流について学んだ後は「情報断食」について学びを深めたくなりました。

「丹田」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。おへその下、下腹部の腸のあたりにあって、全身の気のエネルギーが生み出され、力が集まる場所です。武術をするときや、スポーツをするときでも、丹田を意識するとしっかりと力が入りやすくなります。この丹田とは丹(赤いもの=血)の田(つくられるところ)を意味するともいわれます。古来、経験の積み重ねの中で、胃腸が血をつくるうえで重要な働きをしていたことを見ぬいていたかと思うと、非常に不思議な気持ちになります。困ったことに、日本人というのは世界有数の胃腸の弱い民族です。

「丹田」という言葉、私も聞いたことがあります。丹は血のこと、田は作る場所のことを指していたとは知りませんでした。たしかに「田んぼ」は、米という実り(生命)を生み出す場所です。

大学時代に楽器を吹いていた時、恩師が指導の中で「丹田を意識しなさい」と述べていました。時折メロディーを歌で表現して下さるのですが、喉から声が出ているというよりも身体全体が共鳴して、身体全体から声が響いている。その時にはおぼろげながら「これが丹田を意識することなんだな…」と圧倒されたものです。

今でこそ私はヨガを続けていますが、ぐらぐらする身体を支えようと努める中で自然と「丹田」の存在を意識できるようになってきたかもしれません。頭で考えるよりも身体で感じるしかない、という気がします。丹田に力が入ると背筋がスッと伸びるというのか、足の先から頭の先まで一本の軸が通るような感覚になります。全身の支えがきくだけでなく呼吸も楽になります。

「全身に気を通わせる感覚・流れを整える感覚」が「丹田を意識する」ことの中心にあるのかもしれません。

人間に至る進化の過程も、どうやって食事をとるかということが根底にあります。口と腸だけだった動物が、食べたものからより効率よく栄養を取り出すために、胃や膵臓、胆嚢といった消化器系を進化させ、よりエサをとりやすくするために、触覚や目、鼻など感覚器を発達させたのです。これらの臓器や感覚器をうまく使うために神経が発達していき、脳が出来上がります。腸をスタートとして脳が出来上がっているので、先の章で述べた、幸せホルモン(セロトニン)、わくわくホルモン(ドーパミン)、やる気ホルモン(ノルアドレナリン)は、すべて腸にも存在しています。腸と脳が深く関係していることを腸脳相関といって、現代医学でもその秘密が明かされはじめています。

胃腸が弱い「気虚体質」を改善すれば、脳内のホルモンバランスが改善し、やる気が湧いてくるということ。腸は原初の臓器であり、脳は腸から派生して出来たということ。脳と腸には同様のホルモンが存在していて、相関関係があること。とても不思議です。

ということは、人は頭で考えるだけでなく、実際は腹(腸)でも考えているのかもしれません。頭では分かっていても心が受け入れられない。人は論理だけでなく感情でも判断しています。セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンは「幸福・わくわく・やる気」という感情を司っているならば、胃腸を整えることは感情を整えることでもある。

「健康的な食生活を心がけよう」と耳にしますが、栄養バランスだけでなく胃腸への負担を考えること、そしてそれは身体の健康だけでなく心の健康を支えることでもある。心と身体を分けて考える(心身二元論)のではなく、分けることのできない関係として捉えることが自然だなと思うのでした。心が直接コントロールできないのだとしたら、身体を整えることからはじめてみるということ。

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