『読書について①』

《内容から質問》
(問1)読書家なのに、話がつまらない人に欠けている5つの視点は?
(問2)電子書籍と紙媒体のそれぞれの長所と短所は?
(問3)過去と比較して変化した「常識」の三つの例は?
(問4)なぜ古典を読むと良いのか?
(問5)目的に応じた5つの読書方法とは?
(問6)読書ポートフォリオマトリクスの4つの分類は?
(問7)2020年12月の「ビジネス書ベスト20」とは?

《感想》

『「読書家なのに話がつまらない人」に欠けている5つの視点』
・同じ文章を読んでいても、そこから何が読み取れるか?は人によって大きく異なる
・読む量や読み方ではなく「読め方」が最後に大きな差を生む
・5つの視点
①過去や他業界と「対比」して大局観を持つ
②これまでの当たり前を覆した「反常識」を見つける
③徹底的に「数字」にこだわる
④人より「一段深く」まで調べる
⑤得たものはちょっと「抽象化」して考える・覚える

『UCLA所長「紙の本だけでなく、電子書籍で読書できる脳を鍛えよ」』
・電子書籍と紙の書籍についての比較が甘いように感じた。
電子書籍のメリットの「どこでも読める」と「蔵書スペースが不要」という点には納得が行く。
しかし、紙の書籍が「深い読みを育む」という点が説明不足だと感じる。
そもそも
「読みの深さとは何か?」
「なぜ、電子書籍では、深い読みができないのか?」
「なぜ、紙の書籍では深い読みができるのか?」
という説明が全くない。
「紙の書籍は深い読みを育む」という事が、さも当然の前提かのように語っており、少なくとも、この記事だけを読むだけでは、理解できない。さらなる調査が求められる点だと考えられる。
・「紙の書籍は、記憶力と分析力だけでなく、創造力や共感力まで高めてくれる」という事を主張している。しかし、それについても根拠がこの記事では解説されていない。
これだけでは判断しかねるので、さらなる調査を続ける。
『デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳 :「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる』(メアリアン・ウルフ)を参照。

(補足「電子書籍VS紙媒体」ではなく、「ネットVS紙媒体」についての記述。
「紙媒体か、さもなくばネットか?」という二項対立で、どちらかを選択し、どちらかを滅ぼそうとするような過激な主張が目立つ事もある。「ネットには信用ならない情報で溢れている。きちんと裏付けされている紙媒体の方が信用できる」「ネットは何でも検索できる。検索すれば必要な知識が出てくるのに、なぜ紙媒体を使わなければならないのか?紙媒体ではGoogle検索のように簡単に情報が検索できないじゃないか」など、様々な意見が飛び交う。個人的には、こうした議論はナンセンスだと思う。どちらにも、長所と短所があるからだ。
・「ネットは信用ならない」という意見に対する反例なら簡単だ
①国の出す統計データは比較的信用できる
②研究者たちの論文をGoogle Scholarで検索できる
③検索のテクニックを使えば、有益な情報を抽出できる
ゆえに、「ネットは信用ならない」という人間たちにはこう返そう「それはあなた方がネットについて無知だから、そう感じるのだろう」と。
・「紙媒体の方が信用できる」これも大きな間違いだ。書店を眺めると
①「正しい勉強法」などと称して、科学的な裏付けの一切ない書籍
②社会問題について感情論で語って「新進気鋭」などと称されている書籍
③似非科学なのにも関わらず、あたかもキチンとした科学かのような書籍
など、胡散臭い書籍の例を挙げようと思えばいくらでも挙げられる。「紙媒体の方が信用できる」と主張する人は一体何を見てきたのか?これが分からない。
・「ネットは何でも検索できるから便利だ」たしかに、検索が便利なのは間違いない。しかし、問題点もいくつかある。
①検索者が何を検索したいのか具体的な単語を理解していないと検索しにくい
②SEO対策などの工夫で、検索トップには同じようなものばかりが並ぶ
③情報の裏取りが大変
などだ。「検索したい事はあるんだけど、この問題をいったいどのような言葉で検索すれば良いのか?」「検索はしてみるが、いまいち自分の知りたい事とマッチしない」など、検索者の語彙力が試される場面も少なくない。一方、書籍ならば書店や図書館に並んだ書籍を眺めていると、「あ、この書籍は私の悩みをピンポイントで解決してくれそう」と発見する事もできる。検索しなくても探せるのが、紙媒体の書籍のメリットともいえる。
また、Googleなどの検索エンジンでは、SEO対策などによって、アフィリエイト目的の記事などが検索トップなどに出てきて、毒にも薬にもならないような文章が書かれたサイトに飛ばされてウンザリする事もある。
③ネットの情報の場合、参考文献などが書かれていないものもあるので、情報が本当かどうか?を探すのに手間取る事もある。むろん、参考文献がある記事だけ参照するというのも良いが、そうした検索に時間がかかるだろうと思われる。
このように、「ネットと紙媒体は、どちらも一長一短あるので、一概には言えない」)

『ヒトの不変と変化を古典に学ぶ』
・昔から「人の心の変わらない部分」が変わってない事が分かる
①百人一首を読んで、その著者の気持ちに共感できる
②古代ギリシャでも「今時の若者は」という風に言われていた
・過去と比較して変化した「常識」もある(三つの例)
→歴史を学ぶ時は、それぞれの時代の常識と今の常識を比較する
そうする事で、次の常識を破壊するヒントが見つかる可能性がある。
→古典を読む事で、それらを探求してみる。
(・今の人が理解できないと思われる常識の例
①夏目漱石の『こころ』は、明治の作品だが、そこに出てくる登場人物の行動を今の人は理解できない事もあるだろう。「Kはなぜ自殺したのか?」「なぜ先生は、明治の精神と共に自殺したのか?」など。明治は、西洋の文化を取り込んでいった事で、日本に住む人々の価値観が大きく変わっていった時代だった。そのせいで、西洋文化が入る以前の人間の価値観と西洋文化が入った後の人間の価値観で大きな差が生まれてしまった。それを浮き彫りにするのが、この『こころ』という作品なのだろう。当然、現代を生きる人々も、この明治の変化の影響を多大に受けている。『こころ』は「なぜ『Kが自殺したのか?』『なぜ先生は明治の精神と共に死んだのか?』理解できないからこそ、価値を持っているのだろう」
②夏目漱石の『三四郎』で、主人公が電車に乗って東京へ向かう時に、電車内で弁当を食べて、空になった弁当箱を窓から放り投げたシーンを読んだら、「マナー悪いな」と思うだろう。しかし、その頃の日本はマナーなんて概念はないに等しかった
③ルネ・デカルトの「われ思う。ゆえに我あり」という言葉を聞いて、今の人は「何を当然の事を」と思うだろう。しかし、当時の人からすれば画期的な言葉だった。
④ピカソの『アヴィニョンの娘たち』を見ると、何も知らない人は「なんか、変な絵だな」「どうして綺麗に描かないんだろう?(もっとリアルに描かないんだろう?)」と思うかもしれない。しかし、芸術史を眺めると、「リアルな絵」の価値は、カメラが発明されてからなくなったと言っていい。「どうしてカメラですぐに綺麗にリアルな写真が取れるのに、わざわざ画家に長い時間をかけて描いてもらわないといけないのか?」と考える人が多くなった。フランスの画家ドラローシュは写真をはじめて目にした時に、「今日を限りに絵画は死んだ」と発言したという。
だが、絵画の可能性を諦めない者たちがいた。ピカソもその一人だった。『アヴィニョンの娘たち』を描いて「こんな風に複数の視点から同時に見た絵をカメラには撮影できないだろう」という事を突きつけ、絵画はまだ死んでいない事を示した。
このように、様々な事例について理解して、現代を見つめ、新しい時代の価値観はどのようなものになるのか?興味がある)

『本は戦略的に読み方を変えろ!ビジネス基礎は古典の「熟読」が一番効率的』
・目的ごとに読書の方法を5つに分ける
・読書ポートフォリオマトリクス(RPM)の4つの分類
・基礎固めは古典的名作を「熟読」する
・飽きないため、逃げないために、読書会や輪講を活用する

(読書を戦略的に進めていこうという着想に興味を惹かれた。何も考えずに読書をするとついつい
①自分の好きな分野の書籍だけ読む
②簡単で分かりやすい書籍だけ読む
③その日の気まぐれで選んだ書籍を雑に読む
などで終わってしまいがちになる。戦略的な読書を試そうと思えば
①あえて自分の興味ない分野の書籍を読んで見識を広げる
②好きな分野の知らない部分などを把握し、そこを埋めてくれそうな書籍を探す
③少し難しい専門的な書籍を選んで読む
④今の自分にどのような知識が必要か?考えて、それをもたらしてくれそうな書籍をリストアップして、それらを読むための計画を立てて実行する
などができるだろう。そうする事で、より自分にとって効果的な読書が楽しめるかもしれない。
著者は「他の人と同じ事を言ってしまう自分には価値がない」という風に反省して、戦略的読書を考え出して、「他人とは違う視点から物事を語る」人になろうと思っていたらしい。
「他人と同じ事を言ってしまう自分には価値がない」は、流石に論理が飛躍しているだろう。仮に最も優れた意見を自分と他人が言っているとしよう。その時に他人と違う事を言おうと思ったら、「どんなに頑張っても、二番目に良い意見以下しか言えない」という事になる。だから、必ずしも、他人と意見が被ったからと言って、自分に価値がないとはならないだろう。
だが、現実において、そんな明確に順位など付かないので、なるべく「他人とは違う事を言おう」と考えるのは、それほど悪くない戦略なのかもしれない。少なくとも、「言う事が全部、他の人間と同じ」人間よりは魅力的に見えるだろうと思う)

『2020年12月の「ビジネス書」ベスト20』
・このランキングを見ると、今のビジネスマンがどのような関心があるのかどうか?を推測するための材料になる。
(人々がどのような悩みを抱いているのか?そうした内容を把握するとともに、そこから自分に役立つものがないか?探す事もできる。
もし、ブロガーなら、「ビジネス書ベスト20」などの記事を読み込み、「今の人々がどのような悩みを持っているのか?」という事を分析し、それについての記事を書けば、アクセス数が増えるのかもしれない。もっとも、私は興味ないのだが)

《参考文献》


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