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議会での慣習と市民目線での少しの違和感

五城目町議員の松浦です。

■6月8日の一般質問に向けて

現在準備を進めています。
6月4日は、初議会質問ということもあり、
議長、議会事務局、および数名の議員の方に同席していただきながら
当日の流れをシュミレーションしました。

流れや説明がよくわかりました。関係者の方には感謝申し上げます。
ルールとしての詳細については各議員が持つ、「議員必携」という本に載っている通りなので、その部分については理解します。

その上で、少し感じた違和感の部分をnoteに書いておきます。


おそらくこういう議会活動で感じた違和感は私自身がだんだん議会に慣れることで減っていきます。それは人間がどんな新しい環境にも適応していくことの良さでもあります。

しかし、この初期の違和感を大事にしていかないと、議員としての行動は模範的である一方で、議会の仕組みやその慣習を知らない市民の目線からすると、どんどん遠い存在になっていく可能性もあります。
議会が分からないもの→議員の発言に関心がない→選挙に関心がない→有権者としての権利が形だけのものになってしまい、結果的に議会制民主主義自体の根本が見失われていくことに繋がりかねません。

まず議会の慣習の歴史的経緯を受け止める。その上で、市民から議員になった初期に感じるこの違和感こそ大事に記録しつつ、議員活動を丁寧に進めていきたいと思うわけです。

■ありがとうは禁止

この記事をご覧になっている方で、議会傍聴に実際に参加したことがある方はいらっしゃいますか? 私は選挙前に五城目の議会を映像で見ることになりましたが、実際の3月定例会の傍聴は(コロナの件もあり)参加しませんでした。

この議会を含む、議員活動のルールは「議員必携」という議員のための六法全書のような本に詳細に記載されています。そこには議員の質問時における言葉遣いも規定されています。


たとえば、今度行う議会での一般質問時に
議員が町長に向けて質問時に下記のような発言をしたとします。

「お分かりでありましたら教えていただきたい」
「説明をお願いします」
「町長さん、教育委員長さん」
「よくわかりました。ありがとうございました。」
「前向きのご答弁をいただき、心から御礼申し上げます」

一見丁寧な言葉遣いで良さそうですよね。行政側との関係性も言葉遣いが丁寧で今後も良い関係になれそうです。

しかし、これらは質問時には厳に慎むべきものである と書かれています。

質問とは、議員がその町村の行財政全般にわたって、執行機関に疑問点をただし、所信の表明を求めるものである。(中略)所信をただすことにとって、執行機関の政治姿勢を明らかにし、それに対する政治責任を明確にさせたり、結果としては現行の政策を変更、是正させあるいは新規の政策を採用させるなどの目的と効果がある。

と議員必携に記載されていました。

ですから、良い質問とは、丁寧な言葉づかいや御礼、要望を排除し、

全国的に、子どもの貧困対策事例の取り組みは増えているが本町の児童・生徒の学力と各家庭の貧困率の相関関係をどのように認識し、その対応に向けて教育委員会はどのように議論し、具体的対策をどう講じていく考えであるか。

上記のような質問だけにすることが重要であるとのことです。

私は12年間NPO法人でこれまでコレクティブインパクト(※)や、市民協働の原則を中心に活動してきました。
その自分にとっては「対立姿勢が明確になりやすい言葉遣いのほうが適切」というのは少し驚きと違和感があります。

※コレクティブインパクトとは、
様々なプレイヤーが共同して社会課題解決に取り組むための一つのスキームであり、共同の効果を最大化するための枠組みのことを指す。ある特定の社会課題の解決に取り組むプレイヤーは自治体、企業、NPO、政府、財団など様々な分野で多数存在する。そのようなプレイヤーが社会課題解決に個別に取り組むのではなく、Collective(集合的)にインパクトを起こすことを重視し、その実現のための具体的なアプローチを指すこともある。

もちろん、二元代表制が民主主義のチェック機能として機能する仕組みは分かるものの、この慣習の良い部分を保ちつつ、質問の中での言葉遣いによってただ第三者的に町長に対して強い質問をするのではなく、その質問と同時に具体的な実現可能なプランを持っておくことも大切だと思います。

慣習的な言葉遣いにより、人の意識は無意識に相手を攻めて、自分を守ろうとする立場になろうとします。国会などでもそのような場面を見ることがあります。

しかし、議員という立場に意識的になったからこそ、それらの慣習的状況に引っ張られず前向きな議論をいかに引き出すかどうかのテクニックを研鑽し、持ち合わせ続けることが大事ではないかと思います。

このあたりを4年間かけて、研鑽していくこともこの議員活動中に実践していきたいことの1つです。

■内側だけに閉じないために

下記の記事は選挙前の3月に読んだのですが、とても参考になりました。
議員の政治に対するアプローチも様々であって良いと思うので、いろいろな意見を知りつつ、各議員が、各有権者が、各自治体がどのように考えていくのかが重要だと思います。

岩永:(中略)私の場合、どこかに明確に所属して、はっきりと支持する政党や人がいるという市民ではなく、どちらかと言えば、どこにも具体的なつながりがないというか、薄いような市民の方々が支持をしてくださっていると考えています。
だから、あえて後援会をつくって、支持者を縛るような感じの活動もしていません。むしろ「後援会をつくらない」と公約に掲げているくらいです。市民はその時々、自分自身で考え、判断していくことが重要だと思うからです。

池田:その割り切りは最初から思っていたの?

岩永:最初から…そうですね。浮動票で当選したと言われ続けています。確かに誰が票を入れてくれたかはわからない。私に投票してくださった方がすべて特定できるわけではありません。私が政治をやる上で大切に思っているのは「私がすべてではない」ということです。

池田:参考意見にして、自分で考えてと。

岩永:そう。「岩永ひさかが言ったから」ではなく、「岩永ひさかが言っていたことが自分にとってどうなのか。」をそれぞれの方に考えていただけるといいなあと思います。私と同じような意見かもしれないし、まったく異なる意見かもしれない。それでいいし、それがいいんだと思っています。

それに、投票してくれたというか、支持してくれている人たちをつなぎとめる活動に力を注ぐ…となると、逆に活動が縮こまるというか、私自身も苦しくなってしまう気がします。後援会活動ばかりになってしまうような議員活動はつらいかなあと。

来週6月8日からは議会がはじまっていきます。議会として相応しい言葉遣いに気をつけながら、頑張っていきたいと思います。


今回の写真は夏を感じる雲が出ている五城目町です。

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