小説_『年賀状』
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年賀状なんて、送らなくていいのに。
おれは友人から送られてきた年賀状をみて、つくつぐと思った。
「結婚式の二次会の幹事ありがとう!今年もよろしく!」
送られてきた年賀状には、手書きのメッセージが添えられていた。
日本には、守らなければいけないルールがある。
常識といったらいいのか。
例えば『結婚式に来てくれた人に年賀状を送らなければならない』とか。
おれは昔からそんなルールが嫌いだった。
大人になっていくうちに、小さい頃には知らなかったルールを知っていく。
ロープで締め付けられていくような感じがした。
年賀状一通作ることにも、手間もお金もかかっている。
パソコンに宛先の名前と住所を入力する。
裏面のデザインを考える。
写真を用意したり、年賀状に相応しい背景を探す。
そして印刷し、手書きのメッセージを添える。
プリンタも必要だし、インクも必要だし、シンクジェット紙の年賀状も必要だ。
そんなことするぐらいなら、奥さんにデザートを買ったり、面白い話をしたり、そういうことをしてほしいな。
そのほうが、おれも幸せだ。
もちろん、毎年届く年賀状を楽しみしている人だっているだろうから、一概には言えないけれど。
もっと自由に生きていきたいなぁ。
そう思いながらおれは、友人に返信するための年賀状をプリントアウトした。
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