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新紙幣発行による経済効果に疑問

 20年ぶりとなる新紙幣3種類が発行された。電子マネーやカード支払いが多く、紙幣利用が減っているので関心は薄かった。数週間して手にしても、以前の新札発行時の様な高揚感はなかった。

 初めて自分の物を買った紙幣は、駄菓子屋で支払った1円札だ。小学校に上がってまもないころと思うが、当時はまだ50銭の値がついたものがいくつか置いてあった。煎餅、あめ玉、ガラス瓶に入れられた駄菓子、ビー玉(住んでいた北九州では「だんちん」と呼んでいた)、相撲取りや野球選手のカードなど。

 買い物の駄賃として母からよれよれの1円札をたまにもらうと、紙幣を握りしめ一目散に駄菓子屋に。1円で二つの物が買えることがうれしかった。でも店に入ると、お菓子か遊び道具かそれともといつも目移りし迷っていた。

 新紙幣の発行で、1・6兆円の経済効果が期待できると報道されている。新紙幣に対応するため、自動販売機や券売機、セルフレジ、ATMなどの機種変更によるもの。しかし機器が新しくなっても、バスや電車の乗客やラーメン屋の客が増えるわけではない。ある意味無駄な費用負担だ。風が吹くと桶屋が儲かる式の波及効果はほとんどない。自販機メーカーや関係企業が儲かるだけである。

 これを経済効果と呼ぶには、経済人・渋沢栄一も違和感を覚えるのでは。これから防衛増税の議論が本格化していく。増税されれば、その分は兵器産業が儲けることになる。そこで政府は、国民に納得感を持ってもらうため「防衛増税は数兆円の経済効果をもたらすので、増税にご理解を」などと説明をするだろうか。

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