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コロナの件を誰よりも早く山中教授に聞いたYOSHIKIというアーティスト


昨日のニコニコ動画で安倍総理とIPS細胞の研究においてノーベル・生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授との番組を見て二か月ほど前のニコニコ動画を思い出した。

「大切なのは早く対策をすること人類が初めて経験するものだからエビデンスが無くて当然」
三月十一日の午後自分はインターネットの動画でIPS細胞の研究においてノーベル・生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授がコロナウイルス対策について語っているのを見ていた。聞き手はテレビのキャスター、ジャーナリストではない。ロックアーティストYOSHIKI。彼は今回コロナウイルスの感染拡大によって日本において多数のライブ、イベントが中止、または延期になっている現状を心配し、交流がある山中教授との対談を自分の動画配信チャンネルで企画したのだった。

「マックにむちゃぶり」
「ようこそ極限領域へ」
これらのセリフは去年から今年にかけてYOSHIKIが出演したハンバーガーとコーヒーのCMの言葉である。自分はYOSHIKIと高校生の時に出会ってXJAPANのファンになってもう二十五年もの月日が経った。出会ってからの今日までの二十五年はCMのセリフにある通りの無茶ぶり、極限領域だったのかもしれない。

「本日のライブはメンバーYOSHIKIの急病により中止になりました」
二十四年前の三月十四日大学生だった自分は今の名古屋の日本ガイシホールの入り口のドアに書かれたこの言葉を見て落ち込んでいた。この日のライブは自分にとっては生まれて初めてのXJAPANのライブプラス初めて県外でライブを見るということで何か月も前からワクワクして当日の朝ドキドキしながら名古屋行きの特急に乗りライブ会場に向かったのだった。なんでも前日のライブの「紅」の演奏中の最中YOSHIKIの頸椎に異常が起きライブが中断、そのまま中止になったのだ。その張り紙を見た後せっかく来たので記念にライブのパンフレットだけ買って予約しておいた笠寺のホテルにチェックインして一泊してそのまま次の日の午前の特急で地元に帰る事になった。家に帰ってきた時母親に「コンサートどうだったの?面白かった?」と聞かれたが自分が「会場に行ったら中止の張り紙が張られていたよ」と言ったら母親から「何の為に名古屋まで行ったのか分からなかったわね」と言われてちょっと落ち込んだことを今でもよく覚えている。

結局バンドXJAPANはその時のYOSHIKIの急病により残りのライブツアーの日程がすべて中止になり、バンドとしてYOSHIKIがライブ復帰したのはその年の十二月の東京ドーム公演で自分の初めてのXJAPANのライブは半年以上待たされる事になってしまった年だった。

「YOSHIKI寒い早く開場してくれ」
そう言い続けていた十二年前の三月二十八日の東京ドーム前。その日XJAPANは十年ぶりに東京ドームでライブを行おうしていた。しかも三日間連続公演。「破壊の夜」「無謀な夜」「想像の夜」と題されたライブの初日に自分はいた。何しろ自分もステージのYOSHIKIを見るのも十年ぶりだったのでしっかりドラム叩けるのかライブどうなるのか些か不安な中東京ドームまで来たのだった。初日「破壊の夜」その日のライブはWOWWOWで生中継も入っていた。
開場時間が二時間近く遅れている。その間観客はドームに入れてもらえず外でずっと待っていた。しかも運悪く小雨が降っていて寒い。みんなが「寒い」「寒い」と言いながら外で待っていた。やっと開場した時観客から拍手がおきた位だったのである。WOWWOWの生中継の方は何もしていないドーム内が一時間以上ずっと放送されていたようだった。

八時四十五分くらいだっただろうか。ほぼライブの終演予定時間にライブが始まり、自分はライブの期待感プラス「終電がなくなったらどうしよう」とドキドキしながら開演を迎えた。
結局その日のライブはライブ途中でYOSHIKIが演奏終了後失神して倒れて終演のアナウンスが流れて終わった。アナウンスが流れた途端五万人から「えー」という声があがったことを覚えている。
 後日この日のライブの開演時間が大幅に遅れた理由は演出のトラブルでその修正に時間がかかったそうだ。あと倒れて終演を迎えたのはドームとの契約上電気を使えるのは十時までと決められておりドーム側から電源を落とすと言われていたそうでどうしていいのか分からなくなって倒れて終演を迎えてしまったそうだ。

「XJAPANのライブってどんなライブですか?」とXJAPANを知らない人に聞かれるたびに、自分は「何が起きるか分からないライブ」と答えている。と言うのもファンになって過去のライブ映像見たりすればするほどYOSHIKIほど日本のアーティストの中でライブ中に次の行動が読めないアーティストほどいないのではないかと思ってしまう。極限に近い状態で力一杯ドラムを叩いて倒れて失神したかと思えばある時は演奏が終わった途端ドラムかシンバルを叩きつけライブ中断など行動が全く読めないのである。その為ライブで予定外の事が起きることがあるのでその都度コンサートスタッフは対応しなくてはならずYOSHIKIスタッフからの評判ははっきり言って良くないそうだ。その気持ちはファンでも分かる。

「XJAPANのアルバムっていつ出るのかな」
YOSHIKIの製作時間の長さは普通ではない。その証拠にXJAPANのアルバムはこの世に四枚しか出ていない。インディーズ時代に出した一枚と、メジャーデビューしてかも三枚しか出していない。レコーディングに信じられないくらい時間をかける。徹底して妥協を許さないのだ。誰が聞いても全く分からない音のズレまで徹底的にこだわる。XJAPANが再結成して十三年経ったがまだアルバムはYOSHIKIが「出す」「出す」と言ってまだ出ていない。

ライブは何が起きるか分からない、アルバムはなかなか出ない。それでもYOSHIKIがファンから熱狂的に支持されるのは個人的には「出来上がった時の凄さ」を知っているからだろう。ライブで力いっぱい演奏して体を壊したり失神したり、レコーディングで妥協せず何年間もレコーディングしたりと結局は手を抜くことが出来ない人間だろうと感じる。ライブでも途中で倒れても最後にはしっかり感動させる、レコーディングでも完成した時の出来上がりの凄さにファンは魅了されるのだ。だからXJAPANのファン、YOSHIKIのファンはライブが遅れる、アルバムがなかなか出ない、しかし待つ事が出来る。YOSHIKIを小説や物語に例えるなら起承転結の転の部分が激しいだけに結の部分の納得のさせ方が凄いだろう。またYOSHIKIは不器用でも一生懸命その結果としてあのライブでの立ち振る舞いになるのだろう。しかし不器用さが人間らしさを訴えファンが共感している。他のアーティストのようにコンスタントにアルバムが出て、ライブがある形式のバンドではXJAPANはない。しかしこの不器用さにXJAPAN、YOSHIKIのファンは魅了されているのだ。ファンにとってYOSHIKIは一つの物語一つの起承転結のつまったコンテンツなのだろうと感じる。近日NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」と言う番組にYOSHIKIが取り上げられる。ものこの文章を読んで興味が沸いたら是非見てほしい。

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