「マーケティングリサーチとデータ分析の基本」を読んでみた

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【書籍】
マーケティングリサーチとデータ分析の基本
著者:中野 崇

■はじめに

通信環境の改善、SNS・IOT・スマートデバイス・ウェアラブルデバイスなどの普及によって、私達のあらゆる行動情報がデータ化し、可視化され、ビジネスやマーケティングシーンで積極的に活用されるようになりました。
マーケターが向きあうデータ量は加速度的にましており、ビジネスやマーケティングをおこなう上で、データ・ドリブンであることが当たり前になってきました。
一方で、データの扱い方や向き合い方に関するインプットや体系的なトレーニングを受ける機会は非常に少ないため「データ分析が非効率」「解釈に時間がかかる」「そもそも意思決定につながる示唆を見いだせない」という課題が多いのも現状です。
結果として、PC画面ばかり見つけ、消費の現場に行く時間や考える時間を失っているように思います。
このように、マーケティング自体がデジタル化していく時代において、データリテラシー・データ分析のスキルは必要不可欠です。

本書では、「デジタルマーケティングやデータ・ドリブン・マーケティングの始め方がよくわからない」というビジネスパーソンやマーケターに向けてデータ分析の基本を解説していきます。

■なぜ、今ビジネスにおけるデータ活用が必要なのか

価値観やライフスタイルが多様化しているということは従来から言われ続けていますが、ここ数年特に顕著になっているようです。
その背景や理由として、一昔まえの「経済優先・効率重視」から東日本大震災などの災害をキッカケとした「環境・サステナビリティ」に対する意識の高まり、物質的な豊かさより自分らしさの追求、自己実現重視といった価値観がよりいっそう社会に受け入れられるようになったからだと考えられます。
こういった理由で、世の中に多様な価値観が存在できる土壌が育まれた結果、生活社に多様なニーズが生まれました。

これはマーケターにとって非常に大きな変化です。
価値観が多様化すると、価値観やライフスタイルといった人々の生活において根源的で、しかも普段は自分が実践していない部分をマーケターは多く理解しなければならないからです。

■リサーチ・データ分析とは

多くのビジネスパーソンにとって、リサーチやデータ分析はどのようなシーンで必要になるでしょうか。
例えば、あなたが営業担当なら「売上の不調要因を社内にある顧客データを分析して明らかにしてほしい」と依頼されるかもしれませんし、オンラインマーケティング担当なら「Web広告の売上に対する貢献度を可視化してほしい」と依頼されるかもしれません。

リサーチやデータ分析を成功させるには、大きく以下4つのスキルが必要です。
①情報収集力②情報分析力③情報解釈力④情報活用力

①情報収集力
さまざまな上方ソースやリサーチ手法を知り、目的・必要に応じて使い分け、情報を収集する力
②情報分析力
収集した情報を適切に加工・分析し、ビジネスの意志決定につながる情報へ変換する力
③情報解釈力
分析した情報を正しく、そして意味ある形で解釈する力
④情報活用力
分析・解釈した情報をビジネスの意思決定やアクションに繋げる力

筆者はこれら4つの力を統合して「ビジネスドライブに必要なデータリテラシー」とよんでいます。

補足すると、「データ・情報=数字」ではありません。
数字はもちろんデータの中でも扱いやすく大きな説明力を持っていますが、テキスト・画像・動画・音声なども立派なデータです。
私達が普段読んでいるニュースや聞いている音楽なども、数値化はできませんが、ビジネス上で活用し得るデータと言えます。

■効果的で効率的なリサーチのポイント

ここからはリサーチの基本ステップを説明していきます。
最もシンプルに分けると、「データを集めて」「データを分析する」という2つのステップになるのですが、このような区分は実務的ではないので、リサーチを7つのステップとして考えます。

【リサーチ成功の7ステップ】
①順番の決定
リサーチは課題解決のインパクトが大きいものから着手することが鉄則です。
②目的の設定
リサーチの定義は「ビジネス課題を明確にし、課題解決のアクションや意思決定のために必要な情報収集や分析」です。そのため何を明確にしたいのか目的を定めてからリサーチを行いましょう。
③調査企画の設計
リサーチの目的が明確になったら、その情報を把握するためにはどこまで必要か範囲を決めた上でリサーチを行いましょう。
④データ収集
デスクリサーチは便利ですが、情報の信頼性が欠けている場合もあるので注意が必要です。
そのため、事前に信頼できる情報ソースを抑えておくことをおすすします。
例)民間企業が公表しているマーケティング関連情報
・日本の広告費(電通)
・生活定点(博報堂生活総研)
・HoNote(マクロミル)
⑤分析・解釈
比較軸を決めた上で分析することが重要。
⑥アウトプット作成
意思決定しやすいようにシンプルでわかりやすいアウトプットにする
⑦アクション
アクションを起こすまでがリサーチ


また、リサーチやデータ分析において、調査目的を意志意識するのと同じくらい重要なのが「仮設を考えること」です。
仮設なき調査は失敗すると言っても過言ではありません。

また仮設は、一定の思考の深さが求められるものであり、そのレベルの深さで考えるためには、該当のテーマの全体像や構造、因果関係などを理解していなければなりません。
このような全体像・構造・因果関係を体系的に理解するには、体系的に整理された情報を多面的に取り込む必要があり、具体的には該当テーマの書籍を3冊読むことが有効です。
同様のテーマを扱う書籍を3冊読めば共通して指摘されている重要なポイントが分かりますし、著者ごとに捉え方が違いますからテーマに対して多面的な視点を学ぶことができます。

■まとめ

以前からリサーチが重要だということは認識していますが、リサーチは時間がかかるものという認識からまとまった時間が取れず、後回しにしてしまっている瞬間が多くありました。
もっと効率的にリサーチができないかと考え本書を手にしましたが、そもそも情報収集力が自分は弱いと感じました。
ネットでのリサーチ以外にも情報はたくさんありますが、ネットで検索するのが一番はやいと考え、ここに依存してしまっていました。
ただ、ネットリサーチよりもペルソナに当てはまる人に直接聞く方が正確且つ詳細の情報を手に入れることができます。
また多方面の視点でリサーチを行うことでより深い情報を入手することができます。
今後はネットリサーチに依存せず、直接社内の人に声を掛けてリサーチを行っていきます。
また、もう1点感じたことが「仮設を立てる」という部分です。
そもそもリサーチをする前に「自分の仮設を持つ」ということができていなかったと痛感しました。
仮設のない状態でリサーチを進めることで、時間もかかるし余計な情報が入ってきて最終的にほしい情報が手に入っていないのだと思います。
今後は事前に「仮設を立てる」「ネットリサーチだけでなく身近な人へのリサーチを行う」の2点を徹底し、リサーチの質を高めます。

また、基本的なリサーチとは少しずれた話になりますが、本書に「人気の店やサービスを経験することが売上のヒントになる」というメッセージがあったため、今人気のお店や話題のサービスなどは積極的に使うように意識し、伸びている企業、成功しているサービスの情報を収集していこうと思います。






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