[メモ]共観福音書の注解としての『ヨハネの黙示録』

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黙示録に書かれていることはこれから起こるのか?

黙示録と小黙示録の対応を考える

ここまでの考察をもとに、黙示録6章から14章と、福音書の「小黙示録」と呼ばれる部分(マタイ24章、マルコ13章、ルカ21章)の対応づけを以下のように推測してみました。

共観福音書の「小黙示録」と呼ばれる部分は、イエスが、弟子たちが褒め称えた神殿がいずれ崩壊することを予告し、神殿崩壊の予兆として先に何が起こるかと、いつ起こるか、について答えた部分です。
イエスは語った全ての内容が「この世代(this generation)」に起こると述べました。

この部分をここでは、紀元70年に起こったエルサレム陥落、神殿崩壊事件に関する記述と想定しており、さらに『ヨハネの黙示録』17-19章の「大いなる都、大淫婦バビロン」の炎上に関する記事もエルサレム滅亡、神殿炎上について述べている、と仮定してみます。
『ヨハネの黙示録』という書物が、イエスの「小黙示録」の解釈、解説であり、紀元1世紀に起こる/起こったことを記述したものである、という見方です。

黙示録の流れの中に、マルコの福音書13章6節から30節を割り当てました。順番が福音書で語られている順序と変わっている部分に"!"マークをつけます。他の福音書や書簡による補足部分を"()"で括ります。黙示録の比較的大きなウェイトを占める記述のうち、福音書の小黙示録との対応がよくわらなかった箇所に"?"マークをつけます。

これら二つの箇所が同じことについて述べているということを以下のように対応づけて仮定した上で、では実際に1世紀に起こった出来事と、これらの記述の対応がどうなっているのか、についても考えていきます。(最も下のリンク先から、随時更新)

[黙示録6章]

●第一の封印

メシアに似た勝利者 "見よ、白い馬が出てきた。そして、それに乗っている者は、弓を手に持っており、またを与えられて、勝利の上にもなお勝利を得ようとして出かけた。" (黙示録 6:2)

"そこで、イエスは話しはじめられた、「人に惑わされないように気をつけなさい。多くの者がわたしの名を名のって現れ、自分がそれだと言って、多くの人を惑わすであろう。"
- マルコによる福音書 13:5-6

●第二の封印

 "赤い馬が出てきた。そして、それに乗っている者は、人々が互に殺し合うようになるために、地上から平和を奪い取ることを許され、また、大きなつるぎを与えられた。" (黙示録6:4)

"また、戦争戦争のうわさとを聞くときにも、あわてるな。それは起らねばならないが、まだ終りではない。民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。"
- マルコによる福音書 13:7-8a

●第三の封印

食糧難 ”黒い馬が出てきた。そして、それに乗っている者は、はかりを手に持っていた。すると、わたしは四つの生き物の間から出て来ると思われる声が、こう言うのを聞いた、「小麦一ますは一デナリ。大麦三ますも一デナリ。オリブ油とぶどう酒とを、そこなうな」。”(黙示録 6:5-6)

"またあちこちに地震があり、またききんが起るであろう。これらは産みの苦しみの初めである。"
- マルコによる福音書 13:8b

●第四の封印

 ”青白い馬が出てきた。そして、それに乗っている者の名は「死(タナトス)」と言い、それに黄泉(ハデス)が従っていた。”(黙示録 6:8)

●第五の封印

殉教者の嘆願 ”わたしたちの血の報復をなさならいのですか”(黙示録 6:11)

"あなたがたは自分で気をつけていなさい。あなたがたは、わたしのために、衆議所に引きわたされ、会堂で打たれ、長官たちや王たちの前に立たされ、彼らに対してあかしをさせられるであろう。…そして、人々があなたがたを連れて行って引きわたすとき、何を言おうかと、前もって心配するな。その場合、自分に示されることを語るがよい。語る者はあなたがた自身ではなくて、聖霊である。また兄弟は兄弟を、父は子を殺すために渡し、子は両親に逆らって立ち、彼らを殺させるであろう。また、あなたがたはわたしの名のゆえに、すべての人に憎まれるであろう。"
- マルコによる福音書 13:9, 11-13a

("しかし、あなたがたは両親、兄弟、親族、友人にさえ裏切られるであろう。また、あなたがたの中で殺されるものもあろう。"
ルカによる福音書 21:16)

●第六の封印

大地震
著しい天象1
「御怒りの大いなる日」 ”大地震が起こって、太陽は毛織の荒布のように黒くなり、月は全面、血のようになり、天の星は~地に落ちた。~「~御怒りの大いなる日が、すでにきたのだ。だれが、その前に立つことができようか。”(黙示録 6:12-17)

"その日には、神が万物を造られた創造の初めから現在に至るまで、かつてなく今後もないような患難が起るからである。もし主がその期間を縮めてくださらないなら、救われる者はひとりもないであろう。しかし、選ばれた選民のために、その期間を縮めてくださったのである。"
マルコによる福音書 13:19-20!

("また大地震があり、あちこちに疫病やききんが起り、いろいろ恐ろしいことや天からの物すごい前兆があるであろう。"
ルカによる福音書 21:11)

イスラエルと異邦人の会衆 ”イスラエルの子らの全ての部族のうち、印をおされた者は十四万四千人であった。~見よ、あらゆる国民、部族、民族、国語のうちから、数えきれないほどの大勢の群衆が、白い衣を身にまとい~また神は、彼らの目から涙をことどとくぬぐいとって下さるであろう。”(7:1-17)

"こうして、福音はまずすべての民に宣べ伝えられねばならない。"
- マルコによる福音書 13:10!
"しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。"
- マルコによる福音書 13:13b

[8-9章]

●第七の封印

半時間の沈黙

七つのラッパが現れる ”半時間ばかり天に静けさがあった。それからわたしは、神の御前に立っている七人の御使を見た。そして、七つのラッパが彼らに与えられた。”(黙示録 8:1-2)

●第一のラッパ

雹と火"血のまじった雹と火とがあらわれて、地上に降ってきた。そして、地の三分の一が焼け、木の三分の一が焼け、また、すべての青草も焼けてしまった。" (黙示録 8:7)

●第二のラッパ

燃える山"火の燃えさかっている大きな山のようなものが、海に投げ込まれた。そして、海の三分の一は血となり、" (黙示録 8:8)

●第三のラッパ

燃える星が落ちる"たいまつのように燃えている大きな星が、空から落ちてきた。そしてそれは、川の三分の一とその水源との上に落ちた。" (黙示録 8:10)

●第四のラッパ

太陽と月と星が暗くなる"太陽の三分の一と、の三分の一と、の三分の一とが打たれて、これらのものの三分の一は暗くなり、昼の三分の一は明るくなくなり、夜も同じようになった。"(黙示録 8:12)

●第五のラッパ

「第一の災い」"するとわたしは、一つの星が天から地に落ちて来るのを見た。この星に、底知れぬ所の穴を開くかぎが与えられた。" (黙示録 9:1)

第三から第五のラッパまとめて…著しい天象2

"その日には、この患難の後、日は暗くなり、月はその光を放つことをやめ、星は空から落ち、天体は揺り動かされるであろう。"
- マルコによる福音書 13:24-25

●第六のラッパ

「第二の災い」"その時、その日、その月、その年に備えておかれた四人の御使が、人間の三分の一を殺すために、解き放たれた。"(黙示録 9:15)

[10章]

七つの雷の声"七つの雷が声を発した時、わたしはそれを書きとめようとした。すると、天から声があって、「七つの雷の語ったことを封印せよ。それを書きとめるな」"(黙示録 10:4)

[11章]

「二人の証人」の活動期間"聖所の外の庭はそのままにしておきなさい。それを測ってはならない。そこは異邦人に与えられた所だから。彼らは、四十二か月の間この聖なる都を踏みにじるであろう。そしてわたしは、わたしのふたりの証人に、荒布を着て、千二百六十日のあいだ預言することを許そう」。"(黙示録 11:2-3)

(そしてエルサレムは、異邦人の時期が満ちるまで、彼らに踏みにじられているであろう。
ルカによる福音書 21:24)

[12-13章]

● ★ 第七のラッパ ★ ●

"第七の御使が吹き鳴らすラッパの音がする時には、神がその僕、預言者たちにお告げになったとおり、神の奥義は成就される" (黙示録 10:7)

"第七の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、大きな声々が天に起って言った、「この世の国は、われらの主とそのキリストとの国となった。主は世々限りなく支配なさるであろう」。" (黙示録 11:15)

「女」の逃避期間、「獣」の活動期間
"荒野へ逃げて行った。そこには、彼女が千二百六十日のあいだ養われるように、神の用意された場所があった。"(黙示録 12:6)
"このには、また、大言を吐き汚しごとを語る口が与えられ、四十二か月のあいだ活動する権威が与えられた。"(黙示録 13:5)

"荒らす憎むべきものが、立ってはならぬ所に立つのを見たならば(読者よ、悟れ)、そのとき、ユダヤにいる人々は山へ逃げよ。屋上にいる者は、下におりるな。また家から物を取り出そうとして内にはいるな。畑にいる者は、上着を取りにあとへもどるな。その日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、不幸である。"
- マルコによる福音書 13:14-17!
"そのとき、だれかがあなたがたに『見よ、ここにキリストがいる』、『見よ、あそこにいる』と言っても、それを信じるな。にせキリストたちや、にせ預言者たちが起って、しるしと奇跡とを行い、できれば、選民をも惑わそうとするであろう。だから、気をつけていなさい。いっさいの事を、あなたがたに前もって言っておく。"
- マルコによる福音書 13:21-23!

[14章]

◉「初穂」である人々の贖い
◉人の子の雲に乗った到来
◉「地の穀物」の刈り取り
"十四万四千の人々が小羊と共におり、その額に小羊の名とその父の名とが書かれていた。〜彼らは、女にふれたことのない者である。彼らは、純潔な者である。そして、小羊の行く所へは、どこへでもついて行く。彼らは、神と小羊とにささげられる初穂として、人間の中からあがなわれた者である。"(黙示録 14:1, 4)
またわたしは、天からの声がこう言うのを聞いた、「書きしるせ、『今から後主にあって死ぬ死人はさいわいである』」。御霊も言う、「しかり、彼らはその労苦を解かれて休み、そのわざは彼らについていく」。(黙示録 14:13)
"また見ていると、見よ、白い雲があって、その雲の上に人の子のような者が座しており、頭には金の冠をいただき、手には鋭いかまを持っていた。"(黙示録 14:14)
"すると、もうひとりの御使が聖所から出てきて、雲の上に座している者にむかって大声で叫んだ、「かまを入れて刈り取りなさい。地の穀物は全く実り、刈り取るべき時がきた」。雲の上に座している者は、そのかまを地に投げ入れた。すると、地のものが刈り取られた。"(黙示録 14:15)

"そのとき、大いなる力と栄光とをもって、人の子が雲に乗って来るのを、人々は見るであろう。そのとき、彼は御使たちをつかわして、地のはてから天のはてまで、四方からその選民を呼び集めるであろう。"
マルコによる福音書 13:26-27

("また、彼は大いなるラッパの音と共に御使たちをつかわして、天のはてからはてに至るまで、四方からその選民を呼び集めるであろう。"
- マタイによる福音書 24:31)

("このようにあなたがたも、これらの事が起るのを見たなら、神の国が近いのだとさとりなさい。"
- ルカによる福音書 21:31)
("わたしとわたしの言葉とを恥じる者に対しては、人の子もまた、自分の栄光と、父と聖なる御使との栄光のうちに現れて来るとき、その者を恥じるであろう。よく聞いておくがよい、神の国を見るまでは、死を味わわない者が、ここに立っている者の中にいる。"
- ルカによる福音書 9:26-27)

("すなわち、主ご自身が天使のかしらの声と神のラッパの鳴り響くうちに、合図の声で、天から下ってこられる。その時、キリストにあって死んだ人々が、まず最初によみがえり、それから生き残っているわたしたちが、彼らと共に雲に包まれて引き上げられ、空中で主に会い、こうして、いつも主と共にいるであろう。"
- テサロニケ人への第一の手紙 4:16-17)

("しかし事実、キリストは眠っている者の初穂として、死人の中からよみがえったのである。" - コリント人への第一の手紙 15:20)
("ここで、あなたがたに奥義を告げよう。わたしたちすべては、眠り続けるのではない。終りのラッパの響きと共に、またたく間に、一瞬にして変えられる。というのは、ラッパが響いて、死人は朽ちない者によみがえらされ、わたしたちは変えられるのである。"
- コリント人への第一の手紙 15:51-52)

("いなずまが天の端からひかり出て天の端へとひらめき渡るように、人の子もその日には同じようであるだろう。" ルカによる福音書 17:24)

[15章]

七つの鉢を携えた天使たちが現れる"そして、四つの生き物の一つが、世々限りなく生きておられる神の激しい怒りの満ちた七つの金の鉢を、七人の御使に渡した。"(黙示録 15:7)

[16章]

七つの鉢

「血の報復」"それから、水をつかさどる御使がこう言うのを、聞いた、「今いまし、昔いませる聖なる者よ。このようにお定めになったあなたは、正しいかたであります。聖徒と預言者との血を流した者たちに、血をお飲ませになりましたが、それは当然のことであります」。"(黙示録 16:6)

(こうして義人アベルの血から、聖所と祭壇との間であなたがたが殺したバラキヤの子ザカリヤの血に至るまで、地上に流された義人の血の報いが、ことごとくあなたがたに及ぶであろう。よく言っておく。これらのことの報いは、みな今の時代(this generation)に及ぶであろう。ああ、エルサレム、エルサレム、預言者たちを殺し、おまえにつかわされた人たちを石で打ち殺す者よ。ちょうど、めんどりが翼の下にそのひなを集めるように、わたしはおまえの子らを幾たび集めようとしたことであろう。それだのに、おまえたちは応じようとしなかった。見よ、おまえたちの家は見捨てられてしまう。"
- マタイによる福音書 23:35-38)

[17章-19章]

◼︎**大いなる都、大淫婦バビロンの滅亡 **

"ひとりの女が赤い獣に乗っているのを見た。その獣は神を汚すかずかずの名でおおわれ、また、それに七つの頭と十の角とがあった。その額には、一つの名がしるされていた。それは奥義であって、「大いなるバビロン、淫婦どもと地の憎むべきものらとの母」というのであった。わたしは、この女が聖徒の血とイエスの証人の血に酔いしれているのを見た。"(黙示録 17:3,5-6)
"あなたの見た十の角ととは、この淫婦を憎み、みじめな者にし、裸にし、彼女の肉を食い、火で焼き尽すであろう。〜あなたの見たかの女は、地の王たちを支配する大いなる都のことである」。 "(黙示録 17:18)
"天よ、聖徒たちよ、使徒たちよ、預言者たちよ。この都について大いに喜べ。神は、あなたがたのために、この都をさばかれたのである」。"(黙示録 18:20)
"「ハレルヤ、彼女が焼かれる火の煙は、世々限りなく立ちのぼる」"(黙示録 19:3)

"イエスが宮から出て行かれるとき、弟子のひとりが言った、「先生、ごらんなさい。なんという見事な石、なんという立派な建物でしょう」。イエスは言われた、「あなたは、これらの大きな建物をながめているのか。その石一つでもくずされないままで、他の石の上に残ることもなくなるであろう」。またオリブ山で、宮にむかってすわっておられると、ペテロ、ヤコブ、ヨハネ、アンデレが、ひそかにお尋ねした。「わたしたちにお話しください。いつ、そんなことが起るのでしょうか。またそんなことがことごとく成就するような場合には、どんな前兆がありますか」。そこで、イエスは話しはじめられた"
- マルコによる福音書 13:1-5a
"いちじくの木からこの譬を学びなさい。その枝が柔らかになり、葉が出るようになると、夏の近いことがわかる。そのように、これらの事が起るのを見たならば、人の子が戸口まで近づいていると知りなさい。よく聞いておきなさい。これらの事が、ことごとく起るまでは、この時代(this generation)は滅びることがない。"
- マルコによる福音書 13:28-30

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https://note.com/makojosiah/n/nfdc0263cd515

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