地方の可能性

今働かせて頂いている農場は長野県佐久穂町という人口1.1万人の町にあります。30分車で走れば新幹線も通っているような少し大きめの市に行くことができるので、立地としてはちょうどよい田舎です。実際住んでみても生活で困るような事はありません。

そんなちょうどよい田舎も、人口は減少していて、小さなお子さんとお年寄りの方にはよく合うが働き盛り世代にあまり会わないという印象を持ちます。それはきっとだいたいの若者が高校卒業の時期に町を出て、その後の暮らしは町外、県外という事が多いからでしょう。

同じような状況、もっと大変な状況の自治体は日本に山のようにあると思います。今の状況は都市部への人口の移動が大きいと思いますが、2100年には人口約5000万人、今の1億2000万人のおよそ4割になると推定されている日本の人口推移なのでこれからは減っていって当たり前の状況になるのかなと思います。

人口が減っていく中で面白くなってくるのが地方の町づくりだと感じています。そう感じる1つのきっかけは代表家族の移住による町へのインパクトの大きさです。

22年前の新規就農という言葉すらまだ浸透していない時代に移住され、そこから、

研修生を育て、4世帯が移住し、就農

土壌分析の会や、肥料共同購入の会を作る

有機農家の出荷グループを作る

多くのスタッフ(現13名)を雇用して移住者を増やし、スタッフが町で新規就農する

実際に町にいる人間としてこれはすごいインパクトで、小さな町に若者(スタッフ)が県外から車何台もでやってきたり、こんな山奥で野菜で8000万以上売り上げていたり。この農場がなければ僕自身も、きっと今のスタッフや取引先様も個人のお客様も佐久穂町を知る事はなかったんじゃないかと思います。

一軒の農家の自治体への影響力の大きさを今もなお感じています。*もちろん代表だけの力ではなく多くの協力あってのものではあります。

1月の九州視察でお話を伺った宮崎県新富町という場所は役場の方が役場をやめて周りの方と財団をつくり「世界一挑戦しやすい町をつくる」として活動されていました。新たな技術や農産物の開発、人材育成の機会提供などをされています。

規模は大きくなりますが、アメリカのポートランドという場所も1970年には材木業以外なにもなく、なんなら公害で人口が流出していた場所ですが、住民が主体となり暮らしやすい町づくりを推進し(健康、自然、オーガニックなど)今ではアメリカでもっとも住みたい町となっています。

地方自治体は小さすぎず大きすぎず、変化し、周りの自治体に影響を与えるのにちょうどいい大きさだと思っています。

新富町の試みも東京の役場の方が同じようにされてもここまで町のシンボルになったり、注目を集めるには新富町の何倍も労力を必要とすると思います。

さらに危機的状況があるというのは人や自治体に変化を受け入れやすくする環境だと思います。

ポートランドもまったく人口の減っていない、産業のある都市だったらこうはいかないでしょう。

なので「ちょうどいい大きさの自治体+危機的状況(人口の減少等)+想いを行動に移す人」は町を変化させるひとつの状況なのだと思います。

なので何か想いのある人には今こそ地方が面白いと伝え、いつか一緒に何かしたいと考えています。

僕は有機農業をやっていますが、最終的に見ているのは「みんなが好きな事をして自然と調和して暮らす世界」です。

それには教育や社会(自治体)の在り方が非常に大きなウェイトをしめます。

なので移住先ではそんな事を頭において、キーポイントは

前記事「チームでやる農業」で書いた若者の3つのモチベーション

・没頭(学びや発見など)

・良好な人間関係

・意義(環境に良い事をしてる、人の役にたっているなど)

だと思うので、これらを意識して、想いある若者を呼び込み、地元の方も巻き込んでお互いの利益を話し合い少しづつ何かしていきたいと思います。

ひとつしっかり表明しておきたいのは移住者が侵略者のように移住者どうしで固まって何かするというのは町づくりではないし、うまくいかないと思っているという事です。そこに住まれている方はそれまでその土地の機能を守られてきた方々であり、発信はしなくともその土地について経験的知識や知恵が誰よりも多い方々です。新入りとして、尊敬の念と関心をもってお互いの利益をもとに共にやっていかなくてはと考えています。

書きながら最終的には人格なしにはどれも厳しいと思えます 笑汗

人格鍛えます。



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