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孤独や孤立問題で政府に緊急提言 自民若手議員、政府に提出へ/2月22日 毎日新聞(筆者=村田拓也)

のぶと

自民党の若手議員が孤独や孤立問題で独自に勉強会を立ち上げ、政府に提言したという。コロナ禍で自殺の増加や人間関係の希薄化が問題となる中、時宜を得たものとして一定の評価ができよう。

メディアではどうしても政府や与党幹部の動きが中心的に取り上げられるが、この例のように、それ以外の議員の政策活動もかなり活発に行われている。最近の自民党に限っても、この他に、有志議員が「子ども家庭庁」の創設を目指して勉強会を立ち上げたり、外交部会がミャンマーのクーデターや香港問題を念頭に「人権外交プロジェクトチーム」を発足させたり、若手議員が企業・官庁の若手人材抜擢や大胆な組織改革を提言したり、と多様な分野で今日的なニーズを捉えた議論・提言が為されている。

多様な政策活動が行われるのは望ましいことである。しかし、問題は、それを党として決定し、実行に移せるかどうかである。政治はやはり結果が全てであり、いくら議論をし、提言をしても、実行されなければ意味がない。

政党は基本的にヒエラルキー型の階層構造によって成り立っており、意思決定においては上位に立つ一人ないし少数の者が決めたことに残りの構成員が従う形となっている。自民党の場合、トップである総裁は現在(そしてこれまでの殆どの時期)、総理大臣であるため、ナンバー2の幹事長が事実上の意思決定権を持ち、意思決定機関としての総務会の了承の下、党に係る様々な案件を決定する。

従って、当然ではあるが、上記のような有志議員の政策活動は、幹事長および総務会の決定なしには党としての政策にはなり得ない。結党から現在まで、自民党では常に幹事長をはじめとする執行部とそれに意見する若手議員の間で対立・衝突が繰り返され、それ自体が党に活力を生み出してきたとも言えるが、最近の衆議院比例候補「73歳定年制」をめぐる二階幹事長の対応を見ても分かる通り、若手の意見が党としての決定となるためのハードルは決して低くはない。

政治の外の世界では現在、「ホラクラシー」や「ティール組織」といった階層構造を持たない新たな組織形態が広まりつつある。これらは、明確なビジネスモデルの存否や部分的な導入の可否等で違いはあるものの、地位や役職による上下関係がなく、意思決定が各個人やチームに分散されているフラットな組織であるという点で共通している。日本ではベンチャー企業が採用する事例が増えており、海外では従業員1000人以上の導入企業も多数存在する。

こういった新たな組織形態は、一見すると政治の世界とは相容れない印象があるが、実はそうではなく、むしろ親和性が高いとも考えられる。「ホラクラシー」や「ティール組織」では、目的に従ってロール(役割)単位で組織が再編成され、専門性をもって為された各現場の判断が組織として尊重される。政治の世界、特に政党は組織編成の柔軟性が比較的高く、自民党であれば政調の調査会・PTレベルでは頻繁に改廃が行われるし、役職の新設・廃止や人数変更も珍しくない。また上記の通り、時々の社会的ニーズに合わせて公式・非公式の勉強会・検討会等がその都度機動的に立ち上げられる。つまり、政党はもともと、目的に応じたロール単位の組織再編を機敏に行える土壌を有しているのである。

問題は、各部で専門性に基づく議論の結果出した結論が、ややもすると専門性以外の政治的要素によって、党全体としての決定にならないことである。各案件に関する決定権限を完全に各部や個人に与えることは難しいであろうが、柔軟な組織編成の土壌をより活かすには、案件によっては一部を委ねるという選択肢もあるのではないかと考えられる。現在でも、例えば、マニフェスト作成の際は各部会の議論の結果が尊重され、それを積み上げる形で行われるが、そこに上位者の介入を許さない制度上の担保を与えたり、あるいは、議員連盟や有志議員の勉強会等もそのプロセスに組み込んだり、といったことにより、意思決定がよりフラットで柔軟な、そして民主的なものとなるだろう。

社会が高度化・複雑化し、それに伴って一つの政策分野の専門性も極めて高くなっている現在、政治の世界においても、分野ごとに機動的に意思決定を行う必要性が高まっている。「ホラクラシー」「ティール組織」に見られる新たな組織運営の形はそのような状況に対応するために大いに参考になるものであり、これを応用することで、上記のような議員による活発な政策活動の意義がより増してくるものと考えられる。



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