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「青年海外協力隊のいま」#9 西アフリカのカメルーンで小学校教育!西山由夏

自己紹介

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名前:西山由夏(にしやまゆか)
隊次:2019年2次隊
職種:小学校教育
派遣国:カメルーン

こんにちは。
2019年12月から3月末までカメルーンに派遣されていた西山由夏です。

高校まで青森で育ち、大学では(ぼんやりと興味があった(笑))教育学部で、小学校教員養成課程を専攻していました。

青年海外協力隊に応募した理由は?

私が青年海外協力隊に応募した理由は2つ!

①「子どもたちが学校に通うことができる」「教師として教えることができる」が当たり前ではない環境で指導したかったから

大学3年生の頃、カンボジアの小学校で日本語・英語・運動会の指導を行うNGOボランティアに参加しました。

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子どもたちにとって学校までの道のりは遠くて足場も悪いにも関わらず、「教えに来てくれてありがとう!」という、現地の子どもたちの言葉と笑顔が印象に残りました。

私は、大変な思いをしてでも学校に来てくれる子どもたちを見て、「教師として教えることができるのは、学びに来てくれる子どもたちがいるおかげだ!」気付きました。

それと同時に、「教師が教える⇔子どもが学びに来る」という環境が当たり前でない現状を知りました。

このカンボジアでの経験から、発展途上国の教育支援に関心を持ち始めました。

②恩師からの提案があったから

大学4年の頃、進路を決められずに迷っていました。大学の恩師であるゼミの先生に相談しました。

その中で、自分の考えの軸は

「学校教育の環境が十分に整っていない途上国の子どもたちに、学ぶ喜びを届けたい!」
「学びを通して子どもたちに自信をつけたい!」

ということだと気が付きました。

その際、青年海外協力隊という進路を恩師に提案していただき、応募しました。

派遣国はどんな国?

カメルーン共和国は、中央アフリカに位置する共和制国家です。
アフリカ大陸のくぼんだ場所に位置しているため、「アフリカのへそ」なんて呼ばれています。

公用語はフランス語と英語です!
(イギリスとフランスの植民地に分かれた経緯のため)

カメルーンについてもっと知りたくなった人は、こちらをご覧ください!
カメルーン生まれ日本育ちの漫画家、星野ルネさん!

住んでいた町はどんな場所?

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首都(ヤウンデ)からバスで5~6時間ほどのクリビ市に住んでいました。

「え、アフリカって灼熱の太陽に、地面は赤土じゃないの?」と驚いた方!

私も同じことを考えていましたが、クリビ市はギニア湾に面した海岸がきれいな地方都市なのです!

カメルーンの中ではクリビ市はプチリゾートと呼ばれるくらい観光地として有名な場所です。

配属先はどんな場所?

私の配属先は、クリビ市があるオセアン県の教育事務所です。日本でいうところの県の教育委員会にあたる場所ですね。

配属先は県教育事務所ですが、私の主な活動拠点は日本の無償資金協力によって建てられた小学校4校です。

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(↑ とっても立派な校舎)

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(↑ 1学級が100人越える大人数さ!)

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(↑ 校庭には日本が支援したことがわかる記念碑)

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(↑ 校内には日本が提供した教具・机)

どんな活動をしていたの?

小学校4校で、情操教育(音楽、図工、体育)の普及と、算数の理解力向上を主に活動していました。

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(↑ 体育でラジオ体操を指導した時の様子)

活動で苦労したことは? 

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私が最も苦労したことは「言語」です。私の場合はフランス語でした。

フランス語を勉強したのは、派遣前の訓練期間(70日)と赴任後の現地語学訓練(2週間)だけでした。私の語学力が不十分でなせいでやりたい活動を上手く伝えられなかった時は、とてももどかしい気持ちになりました。

日常生活では、体調を崩したり、交通事故に遭ったりして、何度か病院に行きましたが、症状を上手く伝えられず、意思疎通に苦労しました。

活動で嬉しかったことは?

①情操教科の授業を提案し、実行できたこと!

配属先の同僚と現地の先生に、図工の授業を提案しました。現地の先生はほとんど情操教育を受けたことがありませんでした。そのため、以下のような工程で授業を実行しました!

情操教育の意義を事務所の同僚に説明。
企画した授業への理解を得る。

活動先の先生と打ち合わせ。一緒に指導案・教材作り。

授業(活動先の先生が全体指導、私は補助指導)
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振り返り・改善点を話し合って次回の授業の予定を立てる。

一つの活動をやりきるために、これほど時間がかかるとは思いませんでした。大変でしたが、やり切った後は達成感でいっぱいでした。

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(↑ 図工の授業の様子)

②現地の先生だけで体育の授業を進められたこと!

活動では、現地の先生たちだけで授業を継続することを目標に取り組んでいました。協力隊員だけが授業をしていては現地の先生の指導力が向上しませんからね。

現地の先生と授業を継続するうちに、私の指導補助がなくても、授業を進行できるようになっていきました!授業をするたびに、どんどん自信を着けていく先生の姿が印象的でした。子どもたちも体育の授業を楽しんで受けてくれました。他の先生たちも、「私のクラスでも体育をやってみたい!」と言ってくれて大変うれしかったです。 

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カメルーンでは、女性教員がジャージを着て指導する概念があまりないです。この先生はジャージを着て取り組んでくれました!すごい意欲!

帰国してから今までどうしていたか?

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帰国直後は無事に帰国できて、ほっとしていました。しかし、日が経つにつれて、何事にも無気力になってしまいました。

私の任地は通信環境が不安定で現地の同僚や活動先の小学校教員と連絡がつかないことがあり、とてもむなしい気持ちになりました。

このままではダメだと思い、今は指導力向上のために学童と学習塾でアルバイトをしながら、再派遣を待っている状況です。

これからの予定は?

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私は待期期間の特別延長を選択しました。

これからはアルバイトを続けつつ、日本国内の子どもの貧困問題に携わりたいと考えています。私のように一時帰国の延長を選択した隊員は、無料のオンライン語学講座も受けられるので、語学力維持のために活用したいと思っています。

また、再派遣が不可能になった場合に備えて、今後の進路も考え始めています。

編集メモ:青年海外協力隊の現状
新型コロナウィルスの影響で青年海外協力隊の全隊員約1800人が帰国しました。現在も派遣国へ戻る予定は立っていません。本来の契約上、8/3で避難一時帰国の日数が上限に達し、契約が解除されます。しかし、新型コロナウィルスの影響が収まり次第、再派遣できるように協力隊としての身分を延長するのが「待機期間の特別延長」です。

青年海外協力隊にかかわりたい人に向けて

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私は大学生の時に、大学の恩師の知り合いで協力隊OBの方がゲストティーチャーとして講義をして下さったことがきっかけで、協力隊の活動を知りました。(その方もカメルーンで活動されていました…。なんだか縁を感じますね。)

私は派遣されてから4か月ほどで帰国してしまったので、協力隊活動の魅力はまだ明確にはわかりません。どんなところに魅力を感じるかは経験した人それぞれ全然違うと思います。

しかし、派遣前の訓練所生活を通して、経歴も、年齢も、職種も違う人達に出会ったことは私にとって貴重な経験になったことは確かです。

大学で教育学部を専攻し、友人のほとんどが日本の小学校教員を選択した状況だった私…。協力隊の道を選ばなければ、「自分の知らない分野や生き方がこんなにもあるのか!」と気づかされる事はなかったと思います。

編集後記

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西山さんの「いま」、いかがでしたか?

アフリカの地で短い期間の内に、図工や体育を形にできたのは、西山さんにとって大きな経験になったはずです。

西山さんは僕と同じ新卒で協力隊に参加しました。協力隊へのモチベーションも高かった分、帰国後の進路にも迷いが大きかったですね。

でも、フィールドが国内でも国外でも、これからも人の役に立つために生きていくんだろう。彼女の文章を読んでいて、そんな風に思いました。

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隊員のみなさんの活動や気持ちを整理するきっかけにもなるように。
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