私がマキエマキであるために
先日書いた記事「作家の壁」と重複するところもある内容だけど、やはりそこは譲れない、譲るべきではないと確信したので書いておく。
私が、私のことを全く知らない人に向かって「アーティストです」と堂々と名乗れるようになったのは、前述の島本脩二さんのおかげである。
島本さんは、森村泰昌氏の写真集の企画編集をされたこともあり、私の作品を新しい時代のフェミニズムアートと評価して下さった。折しも#me tooが日本でも興りはじめたタイミングだった。
「この作品を平成のうちに、大手出版社から出したい」
そう仰って東奔西走して下さった。その結果、集英社インターナショナルからの出版か決まった。
出版が決まると同時にインタビューを受ける媒体や作品の扱われ方は相談してくれと言われ、断ったメディアがいくつかあった。
そのとき、作品は作家だけのものではないと感じた。
前回の記事にも書いたが、私はマキエマキと名乗るまでは、請け負い仕事のカメラマンだったので、自分の著作権について深く考えたことはなかった。
被写体も、撮影場所も、写真の使い方も全て自分の頭で考えたものではなく、クライアントから依頼されたものをクライアントの望む形に落とし込む仕事だったので、はなからそれを自分の作品だなんて思うようなものではない。
クライアントのイメージするものを読み取って形にするための創意工夫はあるにせよ、トリミングでもなんでも好きにしてもらえばいいし、むしろトリミングも色調補正もしやすいデータを渡していた。
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