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下に見られる女としか付き合いたくない男たち

 かつて、同じ仕事の男と付き合っていたことがある。

 私の本業はカメラマンで、自撮りを始める前までは、企業のPR用媒体の撮影や、官公庁の広報誌、ホテルや住宅の竣工写真、アパレルなど、ある程度の知識と経験があれば撮れるような写真の撮影を請け負うフリーランスだ。(最近は自撮りのほうが本業のようになってきているけどね)

 彼と出会ったとき、明らかにこの人は私が女だから下に見ているだろうな、という感じがした。まあ、しかたがない。車の運転やカメラの扱いなんて苦手な女性の方が多い。

 彼が口癖のように言うフレーズがあった。「生物としては女のほうが男より上なんだよ」私はこういうことをを言う男が嫌いだ。本心からそう思っていたら、いちいちそういうことは言わない。こういうことを言う男ほど、女性を低く見ている事が多い。

 それでも、彼と仕事の話や、恋愛の話などをしているうちに、なんとなく気があって、プライベートで会うようになった。
 そのうち、お互いが持っている仕事を手伝うようになったのだが、4月の肌寒い時期に、モデル撮影を手伝ってもらったとき、最初の変化が訪れた。
 ライティングを確認するために、一回シャッターを切ったあと、モデルに上着をかけるよりも先にカメラのモニターを覗きに来たので「こういうときはモデルに上着をかけるのが先でしょ」と言ったら、表には出さなかったが、機嫌が悪くなっているのを感じた。
 彼は、女性を撮影することには自信があると言っていたので、当然、モニターよりもモデルのケアをしてくれると思っていたのだが、そうはしてくれなかった。後から聞くと仕事で女性を撮影した経験はあまりなかったらしい。
 そこから始まって、仕事のことで、ちょこちょこと注意することが重なり、そのたびに彼は不機嫌になり、私達の仲も少しづつ冷めていった。
 別れる前に彼がよく言っていた言葉は「マキエさんのことは女として見られない。あなたが上司だったらよかったのに」だった。
 

 これはあくまでも私の憶測だけど、彼は最初、私のことを、ちょっとカメラが好きな女が、アルバイト程度に写真の仕事をしているくらいに思っていたのだろう。そいつから、モデルの扱いが悪いだの、白い服を着るなだの、三脚は脚をちゃんと伸ばせだのと言われるのが面白くなかったのだろう。
 仕事の単価にしても私の方が高い仕事をしていたし、写真誌に同時に作品が載ったときも、私のほうがページ数を多くもらったりと、彼の劣等感を刺激することが多かったようだし、一緒にいると劣等感を感じると、よく言っていた。

 これが男女逆なら、どうだったのか。
 彼だけではなく、男性って、自分のほうが上だと思える相手じゃないと、うまく付き合っていけない人が多いような気がする。
 女って、ニコニコしてバカっぽく振る舞うのがいいんですかね?


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