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【シブレス#02】「神南軒」(ダイニングバー/渋谷公園通り)/世の中には2種類の男がいる。「草食」な男と「肉食」な男。

世の中には2種類の男がいる。「草食」な男と「肉食」な男。

「草食」というのはたとえば目の前で女性が酔いつぶれ、無防備な姿を晒していたとして、戸惑う男だ。スカートの奥がはだけてたとしたら、何かかけてやりたいと思う。半開きの唇はそっと指先で閉じてやりたいし、胸の谷間がはだけていたのなら目を背けてやりたい。

「肉食」というのはたとえば目の前で女性が酔いつぶれ、無防備な姿を晒していたとして、喜ぶ男だ。スカートの奥がはだけていたとしたら、もっと足を開かせたいと思う。半開きの唇はこじあけて自分の舌を押し込みたいし、胸の谷間がはだけていたのなら、そこに手を入れてやりたい。

そしてサエキというのは不思議な男だ。小動物のような顔をしているし、アフリカのサバンナにいたら、一瞬で狩られる「草食」の典型のようにみえる。骨格は細めだし、色も白い。先日歌舞伎町でカツアゲされたという話を聞き、そうだろうなとその場にいた誰しもが納得した。

だけど私は気づいている。

彼はいつも低姿勢を貫いている、だけど必ず自分の欲望をそっと差し込み、それを叶える。たとえば居酒屋でメニューを選ぶ時、何が食べたいですか、とみなに感じよく聞いてまわるのだけど、最終的には「これも頼んじゃいますか」と自分の好みをさりげなくとおす。皆、サエキが、自分の好みを貫いたことにきづかない。ああそれいいね、と自分もそう思っていたかのように、錯覚する。

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神南軒の個室を貸し切ってセッティングした合コンには、目をひく3人の女性がいた。一番人気はエイコで華奢なモデルタイプ、ビイコは肉感的で、シイコは小柄でかわいいタイプの女だった。
サエキは最初に場に馴染めていなそうにみえたシイコの横に座り、こまめにお酒を注いであげたり、会話の輪に加えたり、「草食」らしい気づかいをみせた。続いて会話をしたのはエイコで、プライドの高さが災いして他の男は彼女を持て余していて、けれどサエキはそんな彼女の自尊心を「今まで会った人の中で一番きれいです」そんなお世辞でご機嫌をとった。そしてビイコとはさりげないスキンシップ。たとえばグラスにお酒を注ぐ時、ちょっと手と手がぶつかる、そんな些細なことをきっかけに、ふざけて肩を組んだりと少しづつ大胆になった。だけどいやらしさは一切、感じない。

気が付くとビイコの肩を組んでいる彼の手の指先はビイコの横胸に触れていて、ビイコは一瞬体を固くするのだけど、まさか、気のせい、この人が、と肩の力を抜く。目の前にいる男が「肉食」だったら警戒する。だけど、サエキのような「草食」な男だと、自分の自意識が過剰なだけではと思うのだ。ただ「まさか」が続くうちに、いつしかサエキの指が気になってしまう。そしてこの男に抱かれたらどうなんだろう、少しづつそんなことをぼんやりと考えるようになる。

世の中の男には2種類いる。「草食」な男と「肉食」な男。ただしサエキのように、「草食」を装える男がいる。

神南軒
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13005411/
ハチ公から渋谷公園通り方面へ徒歩5分
予約可、カード可。
合コンに最適なソファ付個室は、特に金土日祝日夜の予約は困難。

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