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「はじまりのうた」感想/後戻りできない、その一歩

「はじまりのうた」という映画を観た。落ちぶれた音楽プロデューサーと、恋人に浮気されて失意の女性シンガーが、新しいアルバムを制作するうちに人生が好転する、素敵なストーリー。

いちばん心に残ったのは、冒頭で歌われた曲「A Step You Can't Take Back」の歌詞だ。

A Step You Can't Take Back
もう後戻りできないその一歩

So you find yourself at this subway
When your world in a bag by your side
And all at once it seemed like a good way
You realized its the end of your life
For what it's worth
バッグひとつで家を飛び出して
そんな時、ふと気がついたら地下鉄のホームに自分がいるの
そしていいことを思いついたの
ここで人生を終わらせるということ
意味は特にないのだけど
Here comes the train upon the track
And there goes the pain it cuts to black
Are you ready for the last act?
To take a step you can't take back
今から電車がくるの
痛みの後に目の前が真っ暗になるの
踏み出す覚悟は決めた?
後戻りできない、その一歩

"A Step You Can't Take Back" Lyrics © Sony/ATV Music Publishing LLC, Kobalt Music Publishing Ltd.

劇中でこの曲を聞いた時は、今にも身投げする内容でギョッとした。ところが映画を観終わって改めてこの歌詞のことを考えたら、全然別の光景が目に浮かんだ。

線路を覗き込み、吸い寄せられそうな時に「踏み出す覚悟は決めた?」そう自身に問いかけたなら。

この歌は浮気された女性の心情を歌っているのだけど、つらい悲しい、そんな思いは、もう戻れない後一歩を踏み出すほどのことだっけ?そう自問自答しているように、今は感じている。

何もかもが嫌になる、線路を覗きこむ、そこまではいかなくても、投げやりな気分になることは誰にもある。そんな時に、踏み出す覚悟を決めた?という問いを持つこと、私には名案に思えた。

これから先につらい事があったとして、この曲を口ずさむ。覚悟を決めるほど?と聞かれたら、私の場合はきっといつも、NOだから。


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