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鍋島松濤公園に纏わるエトセトラ

同郷の仙台から来た友達と東京で会うような時、自分は東京が苦手、と言われることがそこそこあって、だいたいの理由は緑が少ないから、だったりする。確かに仙台は繁華街をちょっと離れただけで緑には事欠かないから、たとえば出張で訪れるような東京の繁華街に寝泊まりしていると、息苦しさを感じるのかもしれない。

一方で東京の繁華街の代表的存在、渋谷近辺に住んでいる私からすると、思わぬところに思わぬ緑のスポットがあるから、緑の不足を感じることはない。たとえば鍋島松濤公園は渋谷のドンキホーテからわずか5分ほどの立地なのに風車小屋がついた池まである。子どもの遊び場所を探していてこの公園を見つけた時は本当にビックリした。

なんで渋谷にこんな場所が、の経緯が面白かった。渋谷松濤のあたりは、佐賀の藩主、鍋島氏の所有地で、明治維新で失職した侍達の新たな仕事を思案してこのあたりを茶畑にし、元侍達を従事させた。「松濤」とはもともとは松の梢を渡る風の音を波の音にたとえていう言葉。松林があったのと、更に茶釜で湯を沸かす音にも似ているのと、それで茶畑の名前を「松濤園」とした。なお風車小屋はもともとは鍋島家の茶室だったのだという。

松濤の住宅街は並々ならぬ大豪邸が立ち並び歩くだけで何だか気が引き締まるのだけど、昔は茶畑だったのかと思うと、そんなちょっとした緊張感も少し薄れるような。

なおこの公園、夏場は特に蚊が多く、虫除け必須。ご注意を。

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