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超短期間で舞台【葦船-あしぶね-】の劇中音楽を担当したお話


ドイツの竪琴ライアーをお供に歌っておりますMakicom Minamiです。

制作中の音楽を世界中に広げることにワクワクする、変態を扱える術師の方、宇宙人の言葉を理解できる有能なマネージャーを探しております。心当たりのある方はご一報ください。

という謎のご挨拶から始まりました。今年もよろしくお願いいたします。

焦らずに、見極めて、詰める、攻める。の姿勢で今年も発表してまいります。

ということで、昨年のお話を少々。

さっぽろアートライブの一環で演劇を配信で公開する試みが行われておりました。

今回2018年に音楽を担当させていただきました旅木演劇工房の皆さまからのお声がけにより、素敵なお芝居の中の音楽を

劇中に生で演奏、また劇中の曲を一曲制作させていただきさせていただきました。

お声をかけていただいたのはなんと4日前!!!!!笑

次の日からリハに入るというなんともすごい日程!!


まずこちらが予告編でございます。
(2分くらいなのでお気軽にどうぞ)



今日はその裏話をお話ししようかと思います。

(後半に本編のリンクもあります)


それは9/17の夜も更けた頃…

さっぽろ演劇界のホープ、ひらりそあ代表より

「マキコムさん!!!助けてくださーーーーい!!!」


とそれは相当ヤバそうな圧のメールが届きました。

電話でお話ししてみると

・著作権の問題がクリアできず楽曲が使えないものがあるということ。

・舞台ではOKだったのがYOUTUBEでクリアにならない問題

・本番は9/21で4日後ということ。
(と言っても聞いたの夜遅くなので実質3日)

・確実に数曲足りない。


とのこと。とにかく次の日に現場に行って考えよう。

しか言えませんでした。笑

コロナの影響もあってスケジュールは大丈夫。あとは私のできるか問題でした。


劇中の使いたかった音源は聞かせていただくとちょっと壮大な感じもありましたし、どんなニュアンスをどんなシーンで使うのかもわからない。

と言いますかどんなお話かもわからない。

という危機的状況だったので、どうあがいても、もうできることをやるしかない。それだけでした。


次の日リハーサル見学。

そんなこんなで3日後に本番、という中で音楽が必要なシーンを見せていただき、弾き語りをお芝居に合わせる作業。

結果、劇中では

1.いのちの歌
2.ありがとうの歌(オリジナル)
3.いのちの記憶
4.明るいけどグッとくるチキチータみたいな曲

(オリジナルで)

で舞台を担当することになりました。

上記の3まではやったことのある曲。弾き語りでOKになったので練習して、タイミングを合わせればなんとかなる。

問題は4番。

明るいけどグッとくるチキチータみたいな曲

笑笑

チキチータ!!!!!

しかもこれが一番重要な、大事なシーンらしい!!

あれ、私、一日で作れるのかなぁ。。。

・・・・

もし次の日までに土台となるものができて、シーンにマッチすると判断したのなら使っていただく。
(通しリハーサルまでに遅くとも上がらないとタイミングの問題があるので本番の1日前には提出が必要。汗)

満足いただけない可能性もあるので代わりの既存の曲を探すことも視野に入れてもらいつつ進めさせてもらうことにしました。

ここで本番まであと2日。。恐怖です。

帰宅後、とにかくチキチータを聴きまくりまして、どのニュアンスを劇団が欲しているのか汲み取る作業から。

録画してきたリハ風景と曲の長さと構成を考えます。

今回のご要望は、悲しいお話を伝えるんだけれど、しんみり話すんじゃなく明るく話すところがポイント。悲しい雰囲気ではなく明るい、けれどグッとくるような音楽があればいいなぁ。。ということでした。

ここからは全集中の呼吸です。

作曲の呼吸、壱の型 StudioOne斬り。
(StudioOneとは音楽制作ソフトです笑

途中、こんな感じの曲が1日でできるんなら、世界中で何曲もヒットさせてしまうだろうが!!とツッコミを入れつつ笑

テンポやリズム感のイメージはあの感じで。

歌詞が耳に入ることでお芝居のお邪魔になるので何語かわからない程度の歌を入れる。

あとは。。StudioOneさまとにらめっこ!!!!


仮決定後、試聴してもらいます。

制作した音源は無事ご希望に沿うことができました。ほっ。。

あとはシーンとのタイミングの調整。

セリフがこれ以上早くなることはないのか、遅くなることはないのか、どちらの傾向が高いか?現場で聞き取り調査。

細かくセリフのタイミングでこのリズムストップの部分に持ってくる。

とかですねぇ。。そういう細かい調整を行い

無事、通しリハにギリギリ間に合ったのでした汗。。

旅2





通し稽古では既存の音楽を使ってリハをしていた時よりも何倍も何倍も良くなって、初めてリハを見ていて涙が出た。と。

みんなのお芝居もグッと気持ちが入ってとっても良くなったと喜んでいただけました。

何よりでございます。。

こうして今回はお客様を入れず無観客として撮影を行い配信公演として無事終了しました。

普段こんな仕事の受け方はしませんからご安心ください。笑

こんなタイトスケジュールでもやってくれると思って案件をギリギリで持ってこないように!!笑


でも全てはタイミング。必要な時に全ての歯車は合う。

もうだめだーーー。と手放し委ねた時に新しい何かが生まれる。

自分の力でなんとかなるとがむしゃらに頑張っていてもうまくいかない時がある。

もうだめだ!!!と手放すことも必要なのかもしれない。

それは何もしないのではなく、何かに委ねるということ。

行動はやめていないのですよね。

手放したナニカが想像を超えて帰ってくるような力が働くことがある。

そんなことを公演準備中に劇団のみんなが感じつつ、

そしてそんな内容のお芝居だったりします。

ぜひご覧ください!



演劇は生です。

その時の役者さんの呼吸、息遣いが聞こえてきます。

制作した音源はその一秒一秒に呼吸を沿うように

劇中の生演奏はその雰囲気を生で感じ取りながら、間や熱量を沿わせていきます。

演劇の音楽はその生感がたまりません。

行うことは同じでも呼吸の仕方が変わるように、一瞬の熱量に添わすことができる面白さがあるのです。

演劇音楽の生演奏は二度とやるものか!!ってほどのプレッシャーと緊張感で自分のライブの比ではないほど!!笑

ですが、役者さんやお客様の反応を見ると熱いものがあり、またお声がかかればやってしまうのだろうなと思います。

良き経験をさせていただけたことに、大変感謝しております。

ありがとうございました!





旅木演劇工房 舞台公演【葦船-あしぶね-】
冒険家石川仁氏の葦船の旅の実話を元に書いた作品。どんなにコントロールしてもまっすぐ進まなかった葦船が、激しい嵐で帆も折れ、舵も無くなった後、まっすぐ島に向かって進んでいった。人類太古の船、葦船をコントロールしていたものとは?

【本編】

(視聴期間:2021年1月31日まで)

【脚本】須田修司(家具工房旅する木)
https://www.tabisuruki.com

【キャスト】
社和:むらかみ智大
マヌエル:宮ノ森しゅん
マルコ:サイトータツミチ
葦舟の女神:ひらりそあ

【舞台演奏】

和太鼓演奏 :中田裕子(TAWOO 北海道)
http://tawoo-hokkaido.com/
劇中音楽・歌・ライアー演奏 :Makicom Minami
https://www.makicomminami.com/

【スタッフ】
演出 :ひらりそあ
撮影編集 :札幌映像プロダクション
照明 :手嶋浩二郎(劇団しろちゃん)
音響 :小林雅樹
波 :松葉留奈 繁泉勇希
帆 :繁泉瑞樹
振り付け:渡部倫子
大道具 :家具工房旅する木
BGM:MusMus

【劇場・協力】
演劇専用小劇場BLOCH

【助成】
北海道文化芸術公演配信助成金
「さっぽろアートライブ」

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