常連になるには金を払うしかないのか。
常連になるのってとても憧れる。
ヒョイとのれんをくぐったら、
「おっ、きたね!いつものでいいかい?」
なんて主人に言われたりして。
「新しいメニュー考えてるんだけど、食べてみてよ」とか「今度イベントするから絶対来てよ〜」なんて言われるんでしょ。
そして、自分の人生に寄り添ってくれる。
結婚したらお祝いだ、
子どもが生まれたらお祝いだ、
悲しいときは飲んで忘れよう、
頑張ったときは飲んで喜ぼう。
お店と一緒に生きていく感じ。くぅ〜憧れる。
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わたしにも常連になれそうなお店との出会いはいくつかありました。
でも常連にはなれませんでした。
なぜか。
1軒目は家から遠かったから。
2軒目は飲食が目的だったのに食事の提供がなくなったから。
ここまでは仕方ないです。自分とお店の都合があったので。
でも3軒目は腑に落ちないんです。
3軒目のお店からイベントのお知らせがメールで来たので、妊娠して行けなくなった旨を伝えたら、なんの返事も来なかったんです。
おめでとうとか、そうなんだとか、一切なし。
電話のやり取りもする関係だったのに。
そのとき
「あ、そうか、お金を払わない客はお店にとって要らないんだ」
ということを悟りました。
思い出せば、以前そのお店で食事をしていたとき「まき子ちゃん、サラダ食べない?余っちゃって」と言われたのでサービスだと思って「いいですよ」と了承したら、しっかりと正規料金を取られていたり、
お店の都合で次から次に食事を出され、値段を聞いても「そんなに高くならないから大丈夫だよ」と金額を言ってもらえず、最終的に思っていたよりも高額な料金を支払ったこともありました。
そのお店で出会った人たちはいい人たちだったし、知らない世界の話を聞けたし、音楽のイベントも楽しかったし、総合的にはいい思い出の方が多いのですが、最後がそんな感じだったので、わたしが思い描くお店と常連の関係にはなれませんでした。
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お店と客、
作者と読者、
配信者と視聴者、
パーソナリティとリスナー。
常連、ファン代表、上顧客。
サービスや商品を提供してくれたから、お返しにお金を支払う。
でも双方のつながりは、お金だけなんでしょうか。
もしくはお金で支払うのではなく、宣伝するとか業務を手伝うとか、何かメリットがある、役に立つ、ことなんでしょうか。
普通の人間と人間としてつながることはできないのでしょうか。
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先日の台風で、空き家になっている祖母の家の一部が壊れました。
当日、近所の方から電話が来て、後日修理をしに見に行ったところ、近所の方が大部分を修理してくれていました。
もちろん、お礼を伝えに行きましたが、お金のやり取りはしていません。
田舎はこういうものです。
お互い様、なのです。
何か困ったことがあったら助け合うし、
何か嬉しいことがあったらシェアし合う。
見返りは求めずとも、自然と別の形で返ってきている。
わたしが理想とするお店と常連の姿も、
お互い様、です。
分かりやすいから普段はお金を払いますが、お金を払わなくてもつながっている。
急な出費が続いたり、病気になったりしてお店に顔を出せなくなっても、後日顔を出したら以前のようにあたたかく迎えてくれる。お店と客で経験した思い出を大切に持ち続けられる。そんな関係が理想なんです。
わたしがおかしいのでしょうか?
お店も客も人間ではないのでしょうか?
商売をなめるなということなのでしょうか。
せめて自分は読者と書き手である自分の関係を理想の姿にできたらと思います。
お金をいただかなくても、
読むことに距離を置かれても、
読んでくれた日々があるのなら、
そのつながりはずっと続いていると信じて。
具のない🍙まき子(@makicome1986)
数多ある文章の海から、 みつけてくれて、ありがとうございます。 現在、不定期更新・お休み中です。 鹿児島から愛を届けています。