西野亮廣エンタメ研究所2019年1月1日の記事*メンバー特典

こちらはキングコング西野さんのオンラインサロンの過去記事です。サロンメンバーのみ一定条件を満たせば公開出来るので公開します

【1月1日(火)】※1月3日以降は『いいね』を押さないでください。
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新年あけましておめでとうございます。
年末の『天才万博』の余興のダンスレッスンの追い込みで、これまでにないスピードを手に入れたので、今の僕ならメイウェザーからダウンを奪えるハズのキングコング西野です。
(※人を殴った経験はゼロですが、今の僕なら!)

さて。

一昨年の5月か6月だったでしょうか。
長野の山奥に10日間ほど籠って、映画『えんとつ町のプペル』の脚本を書いたんです。

こう見えて、デビュー前から売れっ子だったもんですから、梶原君が失踪した時期以外は、暇は時期というのを経験していないんですね。
 
当然、「執筆作業」は、移動時間などなど、それぞれの仕事の合間を縫ってやってきましたし、その方が“無駄が無い”と思っていました。

休日を恐れ、スケジュールを埋めることに酔っていたわけです。

そんな中、「その間に他の仕事はできないし、時間のロスも多いだろうけど、長い芸能人生で一度くらいは、脚本執筆だけに時間を使ってみよう」と興味本位で10日間の山籠りを決行してみました。
まともに電波も入らないような山奥です。

果たして、山に籠ったからといって筆が走り出すわけもなく、ただただ白紙の脚本を眺めながら時間が過ぎていった1日目。

2日目も同じような感じで時間が過ぎ、「これだけ時間があれば、東京だと、アレとコレがやれたな」と思いながら眠りについたことを覚えています。

変化が起きたのは3日目の朝です。
他にやることもないので、起き抜けに執筆作業をスタートさせてみると、頭の中に全部あるんです。
えんとつ町の道路や建物が。
えんとつ町の人々が、つい1秒前まで喋っていた会話が。

そこで分かったのですが、仕事の合間を縫って本を書いていた時は、「あれ? あのキャラクターって、今、どこにいたっけ?」「あら? この建物の裏って、どうなってたっけ?」と、設定を思い出す作業に、かなり時間を食われていたんですね。

パソコンの立ち上げに数時間かかるようなイメージです。
ようやく立ち上がったと思ったら、まもなく締め切りの時間。
「実質、『執筆』に充てられる時間は、ほんの僅か」というのが、“仕事合間にやる執筆”でした。

ところが、合間に他の仕事を入れずに、執筆だけに集中すると、ずっと起動しっぱなしなもんですから、朝起きても、すぐに「続き」から書けるんですね。

んでもって、かれこれ3日間、『えんとつ町』以外の情報を一つも入れていないので、その夜は『えんとつ町』の夢を見るんです。
夢の中で友人が出てきて、あれやこれやと喋る感じで、『えんとつ町』の住人達が出てきて、あれやこれやと喋るんです。

嘘みたいな話ですが、本当です。

結果、4日目は筆が止まらず、ほぼ、その一日で映画『えんとつ町のプペル』の脚本が書き終わりました。

結論を申し上げますと、『仕事合間に執筆をすると、設定の立ち上げに時間が奪われるから、コスパが悪い』です。
仕事で結果を出せば出すほど忙しくなって、もともと、まとめてドカーンとあった「作業時間」は、次第に、仕事合間の許された時間の中でやりくりしなくちゃいけなくなります。

そうなってくると、
「あれ? 俺、20代前半の頃のスピードで書けなくなってきたぞ。もしかして、才能が枯れた?」
という疑問を持ち始めるのですが、いやいや、才能が枯れたわけではなく、「才能が活かせない時間割になっていることに気がついていないだけ」というのが今回の話です。

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「キャラクターが勝手に喋り出す」のは何故か?
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高名な作家さんがインタビューなどで、「キャラクターが勝手に喋り出して、私は、その書記をしているだけです」とコメントされているのを見たことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、「キャラクターが勝手に喋り出す」というのは、チャクラが開く的なノリではなく、少なくとも僕の中では理屈があって、「そこまで設定を仕上げたら、そのキャラクターは、その台詞を言うしかないよね」というところまで追い込んだら、キャラクターが勝手に喋り出します。

たとえば、『敗戦濃厚な国際試合』というシチュエーションで、その試合のコメンテーターに松岡修造をキャスティングしたら、そこで彼は「諦めるな!」と叫びますよね?
「ああ、もう、この試合は無理ですね」とは言わない。

その感じで、「この場面だと、コイツはこう言う」というのが出来上がっていると、キャラクターが勝手に喋ってくれるわけです。

なので作家が作らなければならないのは、『台詞』ではなくて、『設定』で、『設定』を作り上げるには、毎度毎度パソコンを閉じるようなマネをしていちゃダメっす。

てなわけで、正月は全ての仕事を断って、新作絵本の執筆だけに集中します。
オンラインサロンの投稿で、集中が途切れてしまうのも嫌なので、明日からしばらくは、ビジネス的な話はせず、新作絵本の設定についての話が続くかもしれませんが、ご了承ください。

今年も宜しくお願い致します。


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【追伸】
添付した画像は、2018年大晦日の昼御飯と夜御飯です。

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