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ヒハマタノボリクリカエス 2018

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何故生きるのか? 心が疲れてしまった女子高生の、再生の物語です。僕たちの10代の数年を、ある事実とある視点を交えて、フィクションとして書きました。 サポートや、シェア、スキを… もっと読む
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記事一覧

ヒハマタノボリクリカエス 1

 何故生きるのか? 心が疲れてしまった女子高生の、再生の物語です。僕たちの10代の数年を、…

真木崇志
5年前
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ヒハマタノボリクリカエス 2

 ここは心療内科の待合室。ここは病院。ここは精神科の病院。ここに私は一人で来た。ここが私…

真木崇志
5年前
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ヒハマタノボリクリカエス 3

 初めて病院に行った日から、精神科で処方された薬をきちんと服用している。  これで三日目…

真木崇志
5年前
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ヒハマタノボリクリカエス 4

 サイトの中を徘徊した。友達募集は圧倒的に男が多い。出会い系と勘違いしているのかな。女性…

真木崇志
5年前
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ヒハマタノボリクリカエス 5

 勉強に少しも身が入らない。  それは受験を終えたせい。うん、そうだ。そうに決まっている…

真木崇志
5年前
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ヒハマタノボリクリカエス 6

 一目で、タカシだとわかった。  短く立った髪の色は金、サングラス、黒のライダースにボロ…

真木崇志
5年前
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ヒハマタノボリクリカエス 7

「う・・・ん・・」  彼がやっと反応を示した。どうやら覚醒しつつあるみたい。私はさらに大きな力で彼の体を揺すった。  すると、彼の顔が見えて、薄く目を開いた彼と視線が合った。  あ、あの彼だった。  あの病院で見た、気になっていた彼だった。  混乱していると、彼は私の背中を右手でたぐり寄せ、抱きしめた。  思考回路が一瞬停止した。 「ちょ、ちょっと待って、やめて」と大声で叫ぶ。 「ん?あ、ああ・・・」  私は寝ぼけた口調のハルの手を振りほどいて離れた。  離れたものの、胸の

ヒハマタノボリクリカエス 8

 私は初めてタカシ達と会った日から、家で過ごしていた。  別に体は悪くはない。  不整脈も…

真木崇志
5年前
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ヒハマタノボリクリカエス 9

 今日は病院の日だった。  病院を出た時、携帯の電源を数日ぶりに入れた。  連絡が十件。 …

真木崇志
5年前
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ヒハマタノボリクリカエス 10

 自分が描くわけじゃないけど、手に汗が出た。  そういえばハルは一年ぶりに人を描くよね。 …

真木崇志
5年前
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ヒハマタノボリクリカエス 11

 いやいや、ハルさん、私、バイクの後ろに乗るなんて初めてですけど。  ハルはそんな怖がる…

真木崇志
5年前
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ヒハマタノボリクリカエス 12

 家に入るのを私が躊躇するとわかっていたようだ。  家に着くと、ハルはさっさと先に入って…

真木崇志
5年前
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ヒハマタノボリクリカエス 13

 私達は電車に乗った。  三百二十円の切符を片手に、揃って座席に腰をおろした。   この三…

真木崇志
5年前
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ヒハマタノボリクリカエス 14

「よろしく、俺ゴンちゃん」  握手をした時、口元にピアスが四つあるのが見えた。この人はどうしてこうなったのだろうか。  まだ夜でもないのに、狭い店内に客が六人いた。  証明は低く抑えられ薄暗い。  加えて聴いたこともない暗い音楽が流れている。  私達は空いていた奥のカウンターに陣取った。  ハルとユキさんとゴンちゃんが顔見知りのようだった。  三人はどういう繋がりなのだろう。  ハルとユキさんはかっこいい名前のカクテルをゴンちゃんに注文した。  私は私でユキさんと同じものを頼