
「ぽつんを楽しむ」から始まる、シェア空間の可能性
誰にとっても心地の良い場所に
小学校のグラウンドで、子どもたちが遊んでいる姿を観察していると、先生と一緒にグループでサッカーやドッジボールをしたり、遊具で一人で遊んでいたり、隅の方で2~5人ぐらいで土いじりなどをしていたり、いろいろな子どもたちの姿が見えておもしろいですよね。
「シェア空間の設計思想」という書籍を読んで思ったことですが、
何か利用目的が明確にある場、単一な機能だけに限定されるステレオタイプ的な空間、例えば、オフィスやカフェ、スポーツジムといった空間は、それぞれ特定の利用目的に特化して設計されています。しかし、その明確な目的が制約となり、利用者同士の偶然の出会いや、新しいアイデアが生まれる余地が限られてしまいます。
一方で、複数の機能が重なり合う空間は、異なる目的を持つ人々が同じ場所で時間を共有することで、新たな可能性を引き出してくれます。一見無関係な人たちや活動が交わり、想像もしなかったアイデアや共創の機会の可能性が秘められているのです。
そこで、大切にしたいのは「ぽつんを楽しむ」こと。
「ぽつん」は決して孤独や排他ではなく、自分自身を大切にする時間です。その心地良さがあることで、「ぽつん」の先に自由なつながりが生まれると考えています。
シェア空間で学ぶ「商い」の本質
この場で、近隣大学の大学生とともに「商い」にチャレンジも始めています。「商い」という言葉を聞くと、つい「売る」「稼ぐ」を想像しがちです。しかし、その本質にあるのは、松下幸之助さんが語ったように、「お客様に喜ばれるにはどうしたらよいか?」という問いかけです。
そこで、地域の人々の生活を支え、賑わいを見せていた商店街で、空き店舗が増えている今、単なる店舗スペースではなく多機能なシェア空間として再生させることで、地域住民や商店主と交流しながら、商いの本質や顧客視点を実感できるじゃないかと思っています。多機能であり可変性のある場だからこそのプロジェクトです。。
今年10月に本格的にスペースがオープンしてから、大学の社会連携プロジェクト科目の中でのチャレンジではありますが、「商い」をやってみようという思いから、地域の人たちを巻き込み、新しい出会いやつながりを生み出し、みんなの希望にしていく、そんな社会実験でもあるのです。
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