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『伝わる英語表現法』

Twitter界隈で話題になっていた『伝わる英語表現法』は岩波新書からの復刊本だという。数ある英語学習本たちと何が違うのだろうと僕も手を取ってみた。

手を動かす新書

本書は「伝わる英語表現」という銘打っている通り、英語話者に伝えられるようになることに重点を置いている。単語偏重の日本語的な英語学習とは袂を分かち、比較的平易なーそして英語的なー表現を体得できるようバラエティ豊かな例題を用意している。「読むだけで〜」「速習〜」みたいな軟派な本ではない。読者も覚悟してペンを片手に読み進めるべき一冊であろう。

英語らしく言い換える

日本人は直訳に慣れている。和訳するときはそれでも良いかも知れないが、英訳するには日本語と英語の構造は違いすぎるようだ。例えば日本語は漢語を多く用いるが、それをそのまま単語単位で変換していくと伝わらない。「選挙公約」という言葉であれば「選挙」+「公約」と考えず、「やると言ったこと」と言い換える。他にも、文を途中で切ったり、表現を揃えたりという操作を一冊を通してトレーニングするのである。

英語教育について

20年前に発刊された本書だが、英語教育に関する提言については今も実現に至ってはいない。例えば、時勢を一つ一つ積み重ねるように覚えていくのではなく比較しながら捉えられるようにすべきという内容があるが、現状もそのスタイルは変わっていないし暫く同じやり方は続いていくだろう。

個人的に意識したいと思ったのは、質問を考えるということだ。英語話者の姿勢として、対話(ダイアローグ)が基本にあるということを考えると、会話の中で瞬発的に返答・質問を考えるというクセはつけていた方が良さそうだ。

開国してからというもの、日本にとって洋学は吸収するものだった。その頃の姿勢を踏襲するように英語は読めれば良い、聞ければ良いという受け身が続いている。英語本来の相互発信する形を会得したいものだ。


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