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『死してなお踊れ』 -ダンスロックか、仏教か-

新年二冊目に読み終えた本がこちら(文庫本は1,000円程度)。

一遍上人といえば、日本史を学んだ人なら一度は聞いた名前。ちょっと真面目に取り組んだ人なら、鎌倉時代の人とか時宗、踊り念仏というキーワードが連想されるかも知れない。

なぜかこの本を手にとり、その軽い文体に引きつけられて読むことにした。

この文体の軽さ、まったく以て僧侶の伝記とは思えない。ましてや僕には海外のロックミュージシャンのアルバムに入っている、ライナーノーツを読んでいるような感覚さえ覚えた。

しかし、この指摘もまったくの的外れとは言えないはず。階級意識や所有に染められた既成概念を破り、生きたまま成仏するために、踊り念仏をするための舞台を組み、太鼓を叩き、皆で踊り、念仏を唱え続ける。貴賤を問わず人が集まり、熱狂の渦が拡がる。これ、フェスじゃん。と、そう思った。

反骨精神を掲げ、ステージを組んで、ビートにあわせて歌い上げ、踊り、トリップする。ただし、今日ではフェスのチケットが高すぎるし、既成概念のなかでノッてる感じはある。

だから、伝説のウッドストックフェスティバルのイメージだ。そう思うと、一遍上人カッコいいじゃんと思えてくる。気軽に手にとってほしい一冊だ。


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