心にあなたは生きている。

「親思ふ 心に親は居ますなり
   守れ我が身を 親と思ひて」

佐藤範雄師の詩

これはうちの宗派の先達が読んだ句だ。「親を亡くしても、親を思う心に親は居続けるのだから、自分の身を親同然に大切に守りなさい」という意味だと理解している。

私たちは必ず周囲の人や環境から影響を受けて生きている。何者からも影響を受けずに生きることなどできない。それは生きた人だけでなく、故人であることもある。別に霊がずっと指示するわけではない。昔聞いた言葉や受け継がれてきた伝統など、色々なカタチをとりながら時空を超えて影響を与える。その意味において、故人はあなたの中に生き続けていると言える。

大切な人を亡くすと自棄的に振る舞ってしまうことがある。何もかもどうでも良くなってしまうような心。とても大切に想っていたから、他の人からはなかなか理解が得られない。そのようななかで慰めの言葉も何にもならない。これ以上、苦しいことはないだろう。

それでも、あなたの中に大切な人は生き続けている。そして、あなたに「幸せに生きてくれ」と声なき声で訴えている。あなたの中に生きる大切な人は、あなた無しには生きられないし、あなたの幸せこそがその人の願いでもあるのだ。

大切な人を想う心にその人はいる。
守れ我が身を、あなたの大切な人だと思って。

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