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村上武吉と真霜拳號

ゆうしゃです。

今回は魔界のキャスティングについて少し触れたいと思います。

魔界はプロレスラーが歴史上の英雄に扮して戦うというコンセプトです。

なので、レスラーのキャスティングは歴史上の人物とのセットで考えるわけです。ほとんどの場合はレスラーの候補者がいてそこからストーリーとあわせながら歴史上の人物を嵌めていくという作業となります。

魔界は基本的にあまり有名ではない人物を取り上げて、歴史の奥深さを追求しようという目論見もあるので、時代のバランスやストーリーの兼ね合いを考えると結構、慎重な作業でもあります。

真霜選手はかなり早い段階から候補としてあがっていました。義経役の丸山選手や鶴姫役の志田選手がおすすめしてくれていたのを鮮明におぼえています。

しかしながら、さきほど述べたとおり、ストーリーの兼ね合いもあり、なかなかその機会がありませんでした。

1年目の前半の魔界はどちらかというと義経(丸山敦)、巴御前(ASUKA)の鎌倉時代コンビがストーリーの中心でしたので、真霜選手とイメージがあう役どころがなかったのです。

それが1年目の夏頃から、鶴姫の恋人の越智安成(新納刃)や前田慶次(藤田峰雄)の戦国時代の登場人物が現れ、その結果、義経、巴御前から、安成、鶴姫の大三島の物語に中心が移行しはじめ、そこで村上武吉という存在がワタシの中でクローズアップされました。

大三島の物語と村上武吉は密接な関係があります。村上武吉を出そうと考えに至ったとき、武吉をできるのは真霜選手だけだとワタシは考えました。

そう、魔界では非常に珍しい「歴史上の人物が優先」されそこにあてはまるレスラーをキャスティングという例となったのです。(ほぼ同時に思いつたわけですが)

初登場は1年目の11月、鶴姫が試練を乗り越え復活するというストーリーの中で鶴姫に立ちふさがる役として登場しました。

真霜選手と武吉はなにもかもがワタシのイメージと一致していました。

武骨ながら人望があり、そして華やかさを兼ね合わせ、悲劇に見舞われながらもその弱さを微塵も感じさせない。

魔界のクラウドファンディングで武吉の衣装をほぼ完全再現したとき、衣装を身にまとった真霜選手をみて、戦国時代の武吉が(会ったことはないですがw)目の前に現れたようで感激したのを鮮明におぼえています。

ですので、脚本を書くうえで武吉は非常に楽なキャラクターでもあります。武吉の行動は常に明快なので迷いがないのです。そういうこともあり魔界における武吉の名台詞は実に多い。

「小娘俺様から離れるな」

「おまえはおれの・・・友だ。」

「安房は戻ったのだ・・おまえたちのもとに」

いずれも魔界のクライマックスを台詞でつくりあげたといえましょう。

台詞はアテレコなのですが、それを表現する真霜選手の存在感や色気が素晴らしい。

そして、ストーリーにおいての武吉は、「海を取り戻す」という野望のもと、滝夜叉、藤原純友率いる魔界水軍に属します。武吉は秀吉の天下統一に際してそれまでの瀬戸内海での自治権を奪われました。天下一の海賊が海を奪われたのです。それは家康の創設した江戸幕府においても変わりはありませんでした。ですから、「海を取り戻す」ことは武吉の悲願なのです。

と同時に同じ海で生きた大三島勢に対しては常に温かい目をもって接してきました。鶴姫、安成、安房を見守る武吉の背中は広く逞しいものであります。

第36回魔界〜能島の雨に英雄散る

はそんな武吉がメインの回です。村上武吉と真霜拳號の最高のかっこよさを追求した回となります。

魔界が目指す「かっこよさ」をこころゆくまで堪能してほしい。そんな風に思っています。


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