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現状不満足型の転職と、自己への説明

日本には現状不満足型が多いのではないかという記事が社会学の先生方の周りで回っていたので取り上げたいと思います。記事内では現状不満足型そのものについて否定も肯定もしておらず、疑問を投げかけるような形で結んでいます。

文中では「アメリカの離職率は現在史上最高水準の(月間)3.0%レベル」と驚かれています。おそらく下記のものがソースだと思われます。

2021年厚生労働省の産業別入職者・離職者状況を見ると、日本の情報通信業の離職率は令和2年で年間9.7%となっています。更に産業に絞らない状態で企業規模別離職状況を見ると令和2年の離職率はパートを除いた一般労働者で10.7%となっています。

※6/27 離職率に期間を追加しました。

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/21-2/dl/kekka_gaiyo-02.pdf

自身も6年、2年、2年弱と転職を重ねていますが、ITエンジニアの採用・活躍・定着支援を掲げた流しのEMとして、「現状不満足型の転職」について言及しておきたいと思います。

回避行動型転職

何か問題が発生した際、直ちに逃げることもできますが、どうにかしようと取り組んで見る姿勢は重要ですし、他社から見ても高く評価されるため心身の安全を確保した上で取り組むことが望ましいです。しかし取り組む対象の問題がどうにかなるものかどうかというジャッジは必要です。

技術的な障壁は比較的なんとかなる

サービス障害や、リファクタリングといった技術的な問題の解決は、時間、お金、知識が伴えば(1から作り直すという選択肢も含め)なんとかなる可能性は高いです。

ただしその問題解決に対してお金や時間をかける意思決定となると、多くの場合はエンジニアの手を離れます。どんなにエンジニア側が良質なプレゼンや潜在的なインシデントについて稟議を出しても、決裁が降りないときはあります。予算都合のものなどは特にどうしようもないです。

社内政治は比較的無理

社内政治は多くの場合、一社員レベルでは太刀打ちできません。ベンチャー界隈などでは例え役員であっても「知らないうちに他の役員の入社が決まっていた」というケースも割とよく見ます。

急に上層部がやってくる所謂「パラシュート人事」、何者かよく分からないコンサル、はたまた過激な経営フレームワークですら社長の一存でいつの間にか入るケースはあります。

時を経てヒトは変わってしまう生き物であるためWCM(Will Can Must)は変化するものですが、そのヒトの集合体である企業もまた変わるのです。

意思決定が自分の手の届かないところで起きたとき、どうしようもないことはあります。

環境要因、外部要因

環境要因、外部要因も難しいです。自社のサービスが時流に取り残され、売れなくなったときに現状が変えられるかというと難しいケースは多いでしょう。クイックに商材を変えてV字回復できるケースもありますが、その体力がない企業も少なくありません。再度時流に恵まれるケースもあるので判断が難しいケースです。

残るも移るも自己責任なのでどちらが良いとも悪いとも言えない

そのような状態で残り続ける意思決定は難しいです。こうした局面は何度か見聞、経験しましたが、多くの場合、メンバー層、リーダー層までであれば(部署がなくならない限りは)風当たりが強くなく、生存し続けられる傾向にあります。マネージャー層以上は非常に厳しいです。

厳しい局面に立たされたとき、心身ともに健康で生存できれば良いのですが、病んでしまう人は居ます。

様々な企業でメンタル起因で休職になる方は居られますが、(期間は会社に寄りますが)休職規定も上限があります。メンタルをやられてしまうと必ず完全復調するわけではありません。メンタルに悪影響が及ぶ前に回避行動をするというのはやむなしだと思いますし、回避行動が必要な職場は割と見ます。

転職ガチャはお勧めしません

スカウト媒体を見ていると、毎年転職を続けて10年程度経過している方を一定数見かけます。転職の度に年収が上がるからというのはこの転職頻度と在籍期間だと言い難く、現年収は上がっていないケースが多いです。

中にはコロナ禍前の地方部で転職を繰り返した結果、「もう当該地域に行く宛がない」というほど転職を繰り返されていた方も居られました。こうした方々の転職理由としてよく聞くものとしては「入ってみたら想像と違った」と返ってくることが多くありました。

こうした「いつか出るであろう良質な環境」を巡り、ガチャを回すように転職をするのはお勧めしません。

仮に良質な環境に出会えたとしても、その環境が未来永劫続くことはまずないでしょう。近いものがあったとしても自身が飽きるリスクもあります。

究極的には自身で会社を起こし、且つ環境要因や外部要因の影響を少なくするために全く毛色の違う複数の取引先を持つしかないでしょう。実際、私自身でトライアル中です。

キャリアのポジティブフレーミング

これまでお話してきたようにネガティブ理由による転職理由はあります。更にそのネガティブ要素を構成している根源に取り組んでもどうしようもなかったと言えれば、それは仕方がないと感じます。「知らされていないパラシュート人事の煽りで降格しました」とか事故みたいなものです。

ただネガティブな退職理由しかないなとなってしまうと、その在籍期間が自分自身にとって無為に感じられてしまいます。これが後々のキャリアの振り返りの際に自分自身を追い込んでしまうことがあります。そのためにも下記の3点は言語化していくことを強くお勧めします。

  • ポジティブな転職理由

  • 在籍中に得られたもの

  • 在籍中に残した実績

特に1点目の転職理由については「お金」以外のものを設定することをお勧めします。「お金」軸は比較対象となる上限が多いため、キリがないので虚しくなりやすいです。

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