見出し画像

ミドル世代の8割がスタートアップに転職意欲があるそうなので、アンチパターンをご紹介

エン・ジャパンの発表によるとスタートアップに転職したいミドル世代(30-50代)が約76%居られるそうです。

スタートアップへの転職意欲を尋ねた質問では「積極的に転職したい」が16%、「条件次第で転職したい」が60%で、前向きな回答は計76%を占めた。「どちらかといえば転職したくない」(17%)と「転職したくない」(4%)を上回った。年代別にみると、前向きな割合は50代が82%と最も高く、40代は74%、30代は65%だった。

スタートアップ界隈としても人が居ないわけですし、あるべき論からすると年齢など制限をかけずにどんどん働いてもらうべきなのですが、実際の状況を見ていくとそううまく行かないのがミドルのスタートアップ転職です。アンチパターンを交えつつお話します。

ミドル層の候補者にありがちな3つの傾向

これまでスタートアップやベンチャーでミドル層の面接や受け入れを重ねてきましたが、大きく3つの候補者像に分類できることができると考えています。

1つ目は何かしらのチャレンジをしたいという層です。当該領域を盛り上げたいとか、若手を育成したい、日本の中小企業を元気にしたいなどという声が該当します。こちらはいずれも前向きであり、実態とズレてさえ居なければ特に問題は感じられません。

2つ目は「ここで働かせて下さい」という層です。先に早期退職制度などで現職に辞める意志を伝えてしまった方に多いのですが、数多く落ちてしまったことで千と千尋の神隠しの千のような状態になります。企業がミドル層に求めるものが「ただの作業者」であれば良いかも知れませんが、何かはっきりとしたイノベーションや経験を活かすことなどを目的としているケースでは厳しいです。

3つ目は「なんだか偉そう」なタイプです。年齢層が若い企業だと判断すると急にふんぞり返る方が居られます。明らかに格下に見ている場合に起きがちな傾向で、端的に言うと「今まで大手に居たんだから小さな会社でやっていけるだろう」というのが透けて見えるタイプです。物理的にふんぞり返ってカジュアル面談に来られたケースもありました。それでもハロー効果で入社できることがありますが、うまく行かないケースをよく見聞します。

定着で起きやすいアンチパターン3選

続いてミドル層のスタートアップ転職のアンチパターンについてお話します。先にお話した3つの候補者像のうち、2つ目と3つ目の方々が特に躓きやすいポイントです。

何でもしなければならない

特にスタートアップには大手企業のように優秀な周囲や部下が居るとは限らず、兼務が発生しがちです。一方大手企業であれば分業化が進むため、守備範囲を守ることが求められます。この2つの役割の違いはなかなかに難しく、スタートアップから大企業のフェーズに移ること・残ることも、大企業からスタートアップのフェーズに移ることも双方困難と言えます。

大企業からスタートアップ・ベンチャーの場合、優秀な部下をつければもっとパフォーマンスが出るのかも知れないという方を度々見かけ、居た堪れない気持ちになることがそれなりにあります。

プログラマの場合、スキルセットが見合えば技術的なマッチングができれば良いように思われますが、工程や守備範囲が広くなるケースや、行動評価的にまつわることも広くなりますのでやはり苦戦する傾向にあります。

メンバーシップ採用とジョブ型採用の狭間

メンバーシップ採用(終身雇用、新卒一括採用、年功序列)が前提だった時代では、一度規定路線に載ると人生設計がしやすいという点がありました。

メンバーシップ採用の恩恵を最大限活かしたものがフラット35のような長期固定金利ローンではないかと考えています。真っ当な企業であればベンチャーでも審査は通りますが、35年間同じ生活ができるかというと会社が35年後も変わらずあるかどうかは怪しいので、なかなか思い切った選択だと個人的には考えています。

同様に結婚、出産、子供の進学、子供の結婚、親の介護などのライフイベントも、メンバーシップ採用が一般的であった昭和・平成の時代であればライフイベントの予定が立てやすく、それらを見越したローン設定が広がっていったと考えています。今でも地方部などでは周囲の親戚のバックアップに恵まれればこうした光景は見られるところがあります。

従業員の雇用を生涯守り通せるというのが企業側のスタンスであれば、別にそれで良いのだと思います。ただ多くの企業では早期退職を募るなどしており、メンバーシップ採用を守ることができる企業はごく一握りです。そのため、既に長期ローンを抱えている状態で待遇据え置きでスタートアップに挑むというのはなかなかリスクが高いと考えています。

余談ですがボーナス制も同様のリスクがあります。私も査定する側に立ったことがありますが、業績や本人の活躍に応じて上がることもあれば、下がることもあります。特に下がるほうが厄介で、企業によっては機械的に下がることがあります。そのような中でボーナスが満額でることを想定したボーナス払い込の長期ローンを組むというのは、個人的には理解しかねるところです。

暗に求められる人脈

年齢を重ねると、企業から求められるものは変わるものです。スキルや経験が求められるようになるのはもちろんですが、特にある程度以上の役職では「人脈」が暗に求められます。最も「人脈」の広さはFacebookで確認できたとして、深さを測るのはとても困難です。勢い、入社後に「あの人は○○社のCxOまでやっていたのに顧客のひとつも紹介できない」という話をスタートアップやベンチャー企業からチラホラ見聞します。この点は非常に怖いですし、面接で確認されるポイントでもないのでご注意下さい。

いきなり転職は双方厳しいのでお試し期間が拡がるべき

スタートアップやベンチャーで働いたことのないミドル層の場合、個人的には同一規模の会社で同等の職務内容であるポジションにシフトされることをお勧めしています。あるいはベンチャーの中でも比較的整っている上場企業から選ばれたほうが文化ギャップは少ないでしょう。

それでもスタートアップが良いとなると、現職を辞める前に副業を挟み、お互いにスキルやカルチャーをマッチさせてから正社員になることをお勧めしています。

執筆の励みになりますので、記事を気に入って頂けましたらAmazonウィッシュリストをクリックして頂ければ幸いです。

noteやTwitterには書けないことや個別相談、質問回答などを週一のウェビナーとテキストで展開しています。経験者エンジニア、人材紹介、人事の方などにご参加いただいています。参加者の属性としてはかなり珍しいコミュニティだと思っています。ウェビナーアーカイブの期間限定公開なども実施しています。

頂いたサポートは執筆・業務を支えるガジェット類に昇華されます!